Winter Wind(英題)を配信している動画配信サービス

『Winter Wind(英題)』の
動画配信サービス情報をご紹介!視聴する方法はある?

Winter Wind(英題)
動画配信は2025年7月時点の情報です。最新の配信状況は各サイトにてご確認ください。
本ページには動画配信サービスのプロモーションが含まれています。
目次

『Winter Wind(英題)』に投稿された感想・評価

[ハンガリー、疑心暗鬼に陥るテロリスト] 80点

傑作。ヤンチョー・ミクローシュ長編八作目。1934年10月9日、マルセイユにてユーゴスラビア国王アレクサンダル1世とフランス外相ルイ・バルトゥーが暗殺された。背景はこうだ。第一次世界大戦の敗戦によって解体されたオーストリア=ハンガリー帝国の構成地域は新たな国家であるユーゴスラビア王国を誕生させたが、その喜びも束の間、異民族への敵対心に蝕まれていった。国王となったアレクサンダル1世はセルビア系以外の民族を弾圧し、国粋主義者や分離主義者は国を離れて近隣国(ドイツ/ハンガリー/イタリア)に移住した。中でもハンガリーでは、執政ホルティが進んで彼らを匿ってトレーニングキャンプまで用意していた(勿論この事実は秘匿された)。彼らは国境を何度も超えてテロ行為を行っていたらしい。本作品では、架空の人物を中心として、アレクサンダル1世の暗殺を企てるテロリスト集団を描いている。彼らはハンガリー政府を頼ってハンガリーのキャンプに入ったが、その真意が見えずに疑心暗鬼になっていた。中心となるテロリスト集団リーダーのマルコ・ラザルはジャック・シャリエが(プロデューサーも兼任)、謎のヒロインをマリナ・ヴラディが演じているのも相まって、彼らの出自はボカされているように感じる。それが最もよく分かるのは冒頭にある白昼の襲撃シーンだ。相手が誰なのか、味方が誰なのかすらよく分からず乱戦に発展するという実にヤンチョーっぽい長回しだ。そして、マルコは屋敷にやって来る人々に必ず銃を向けて、自分に敵意がないことを確認している。ただ、劇中で銃は西部劇や貴族の鴨撃ちから形式だけ抜き出したような使われ方をしているので、殺傷能力だけはありながら"何を/誰を撃ったか"という意味が抜け落ちてしまっている。内ゲバにも暗殺にも使われていることから、わざと儀式化することで究極としてテロ行為そのものが無意味であると言いたいのか。

本作品は上映時間の大部分を隠れ家で過ごすという性質上、家の中と外を頻繁に行き来する。お得意のロングショット長回しも、森の中の開けた土地或いは密集した家々というロケーションによって、奥行きが壁によって潰されたり、逆に外に出て拡張されたりと縦横無尽に動き回る。また、さっきまで別の場所に居たはずの人物が次の瞬間にフレームに入ってくるとか、さっきまで誰も居なかった場所に人がいるという"視界/視覚の信用ならなさ"のようなものが、マルコの疑心暗鬼と重ねられているのが上手い。ここまで屋内と屋外を巧みに横断するヤンチョー映画は初めて観た気がする。
3.5
ヤンチョー・ミクローシュ特集二本目の本作「シロッコ」は、前回と違いカラーだった。雪が積もる森の中にある屋敷が舞台になっているのだが、こちらの映像も綺麗だった。そしてお馴染みの長回しも特徴の一つで、75分しか無いのに12ショットしかない!しかもカメラはぬるぬると対象の周りを衛星のように動き回る。どうやって計画して撮影したんだろうかと思うほど凄い。

舞台はハンガリーだが、ユーゴスラビアの状況が大事な要素になっている。冒頭のニュース映像でも説明されるが、30年代のアレクサンダル1世統治下はセルビア人が優遇され、クロアチア人との対立を極めていた。主人公マルコはクロアチア人側の活動家で、クーデターに失敗してハンガリーに逃げ込んだ。

テロ組織ウスタシャがマルコを匿ってくれ、ある屋敷に身を潜める。組織から歓迎されるマルコだが、組織が仲間を殺してしまう姿や、ハニートラップ的に派遣された女などに疑念を抱き、彼の理想との違いが浮き上がり、誰が仲間なのか疑心暗鬼になっていく。そして、組織にも厄介者と思われ始めーー。

主人公マルコを演じるのは「悪の眼」のジャック・シャリエで、プロデュースもしているらしい。先週見た「赤と白」と違い個にキャラクターがあり、追いやすかった。だけど長回しと技巧的カメラワークにクラクラしてしまった。
reb
3.5
「新文芸坐シネマテークvol.48/驚天動地ー。ヤンチョー・ミクローシュ」で鑑賞。

1930年代初頭、ルーゴスラビアの革命家マルコ•ラザールは、自国でクーデターを起こした後、ハンガリーに逃れる。
しかし彼の理想主義と組織の考えは、次第に食い違っていく。

75分で12ショット。驚異の長回しの中で、出演者は絶えず動き回る。
しっかりとした脚本も無かったらしいので、さぞかし大変な現場だったのでは。

前にシャブロルの「悪意の眼」の時のシネマテークでも大寺さんから説明があったが、奥様であるBB様の妊娠で「太陽がいっぱい」のリプリー役を断っちゃったという、なんとももったいないことをしたイケメン俳優ジャック•シャリエがマルコ役。

そしてハンガリーでマルコを匿っていた組織は、大寺さんの解説によると、実在する“ウスタシャ“という団体で、これがかなりヤバい組織だったらしい。
指導者アンリ•パヴェリッチは、ムッソリーニやヒトラーとも関係を持ち、セルビア人や同胞のクロアチア人の反対派を、大量虐殺したとか。
本作でも、マルコの為にとても美しい女性を用意し、裏切り者は容赦なく射殺する。
しかし立場が違えばその逆もありで、殺し合いは終わらない。

本作は史実を下敷きにしながらも、架空の悲劇の英雄を中心にして、ファンタジーのような味わいもある。

シロッコとは地中海の北岸に吹く熱い南風で、夏のイメージが強いが、冬にはヨーロッパ側に大雪をもたらすこともあり、災いをもたらすというような意味合いもあるとか。

獣から剥ぎ取ってそのまま使ってるみたいな毛皮のマントをひらりと羽織った男たちの、思惑や使命感にゆれるドロドロした思い、そして流れた多くの血を、全て消してくれるような、美しく深い雪景色が印象的だった。

『Winter Wind(英題)』に似ている作品

シシリーの黒い霧

製作国:

上映時間:

124分

ジャンル:

3.4

あらすじ

1950年のある日、シシリー島の小さな村で1人の男が殺された。彼こそ誰もが捜していた独立義勇軍の闘士、サルバトーレ・ジュリアーノだった。彼を利用し、殺害したのは誰なのかを追求するが、重要な…

>>続きを読む