狩人の作品情報・感想・評価

「狩人」に投稿された感想・評価

長いワンカットの中で時制が揺らぐ。凄いのは手法の独創性もさることながらそれがこの上なく効果的な表現になっていることじゃなかろうか。
過去は無くならず現在もその一部であり続ける、だのにその事が忘れられる、揉み消されてしまうことへの怒り。
なんでこの場面を? と勘ぐってしまうがただただ撮りたい場面を撮って繋げてるんだなと思うと納得してしまう。湖畔のうえを横切る赤い船たち(二回左から右、右から左)はもちろん、上着を脱げ、と言ってほんとに服を脱いだら、離れるとか。望遠レンズで階段と床を映して超マニエリスムなショットがあってそこもやたら印象に残るし。撃たれた死体が起き上がって、屋敷に戻って踊り出したと思ったら、最初のマクガフィンの死体にやたら近寄るから起き上がるかと思うもピクリともしない外しの演出になんか清を感じた。カメラの影が三回は映ってたなぁ
脚本 5
演出 5
画作り 5
音 5
独創性 5
関心の持続 5
演技 5
陶酔感 5
言葉 5
バランス 4
旅芸人の記録でも見られた政治的主張を映画に委ねる青臭さがまだ残っているものの、前と比べるとウザったいところも少なくなったし、何より2シーン1カット等の長回しをさらに洗練させていたのが良い。

前作でこれ見よがしに掲げてて気持ち悪かった赤旗が美しく見えたのも良し。
まだまだ未見作ばかりだが、これがアンゲロプロスの本気なんじゃないかと思ってしまう。パンするだけで、もしくはカメラが車を追いかけるだけで、この後一体何が映るんだろうかとドキドキする。ワンカットの密度、というかこんなシーケンスショット群は見たことない。
という一方で、この映画の中心にはギリシャの歴史があるわけで、ちょっと馴染めないというか。個人的な好みとして歴史よりも人物が中心にいた方が見やすい/楽しいという感じがあって、そういった意味では現状『霧の中の風景』『永遠と一日』の方が好きだったりはする。
メモ:窓を通した視点が多い。
saeta

saetaの感想・評価

4.4
未見のアンゲロプロス映画。

ファーストシーンの雪上の情景から引き込まれてしまい、大量の赤い帆船が湖を移動して行くシーンはとても美しかった。
テーマは明るくないが、パーティやダンスのシーンなんかも多く、意外と爽快感のある鑑賞だった。
毎度思うが、アンゲロプロスのあの長回しはどういう演出をしてるんだろう!
1976年大晦日。雪原にいた6人の狩人たちが見つけたのは、今存在しないはずの革命軍兵士の死体。

戸惑いながらもホテル館内に運び込むと、そこから内戦後の情景と狩人たちの隠された過去が呼び起こされる。

ギリシャは戦後1946年から49年にかけて内戦が勃発。終戦後もアメリカの介入や軍によるクーデターが起こるなど、国政が安定することはなかったが、73年にギリシャ共和国が成立して漸く民主主体の国家となった。

時空を超えて兵士の死体が物語るのは、民主主義発祥の地であるギリシャが、動乱期を経て真の民主主義を獲得するまで、多くの同胞の血が流れたという史実を決して忘れるな、ということなのかもしれない。

いやーそれにしても、この作品は1カットがとにかく長い!長回しは好きなんだけど、一つ一つのカットが長いので、途中何度も意識が飛びました…

でも、1カットに現在と過去がつながっていたり、一風変わったカメラワークに時々ハッとさせられるんですよね〜。

アンゲロプロス監督が拘った時の流れの描写に感服。
長回しの極致。エアセックスからダンスがはじまり、周囲の人が消えていくシーンには度肝を抜かれる。厳密にワンショットでないことも含め、計算され尽くしたカメラワークは驚嘆の一言。雪原や岸辺のロングショットも素晴らしく、ボート映画としても鮮烈な印象を残す傑作。
久テオ

忘れたほうが都合がいいこともある、っていう怖さ

最初はすりガラスを通したようなものしか見えなかったけど、オレンジ貴婦人でハッとなって、それ以降はどっぷりテオの沼にハマった。172分を観続けることでしかテオの映画は見えてこない…辛い、悲しい、楽しい。
森下

森下の感想・評価

3.6
うーん、ギリシャの歴史や当時の社会情勢について全く知識がなかったので、わからなかった。
ただ、それでもアンゲロプロスが撮った美しいカットを楽しむことができた。今回は3時間に及ぶ大作をたったの47カットで構成しているらしい。長い長い長回しが楽しめる。
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