狩人の作品情報・感想・評価

「狩人」に投稿された感想・評価

otom

otomの感想・評価

4.8
うーむ、アナーキー。お前らの罪深さはこうなんだと壮大な仕掛けで展開される。3時間の尺でたった47シーンの長回しで連なる、美しく流れるような映像と演出は感嘆に値する。寝落ちの危険度は高めなものの、終わってみれば割と丁寧かつ皮肉的に(ラストも然り)近代ギリシャ史が描かれている事に納得。彷徨い続ける亡霊よろしく、まるで三途の川を漂い続けるかの様な赤旗革命軍(圧巻)。この無念が晴れる時まで、震えて眠れ狩人たちよと訴えている様な。国の情勢がどうあれポロっと入れられた台詞、「人間らしく生きたい」。結局のところ、この辺りにアンゲロプロス監督の想いが込められている気がしなくもない。傑作。
アンゲロプロス初鑑賞。
前提として、ギリシャ近代史を知らない。
まるで舞台劇のように過去と現在が入り混じった場面転換。しかもそれが1カットで、現在→過去、過去→現在と、2シーン1カットで描かれる。
以上のことを私の脳みそが理解できるまでに、1時間以上かかってしまった。
しかも登場人物の顔の区別があんまりつかないまま話が進んでしまい、正直ちゃんと理解できてない…。
タルコフスキーの映像美と、ルイス・ブニュエルの世界観を合わせたような映画。
アンゲロプロスの演出が完璧すぎて、役者さん達はまるで人形のように指示された演出どおりに動いてる印象。役者の即興性がない演出だな〜と思いました。
またしばらく時間をあけて再挑戦します。
なんなんだか分からないが素晴らしい。
そう言わざるおえないほど思考停止にもって行くほど、断片的かつラジカル。
それぞれの記憶と虚構と演劇。
中断させる銃声。
不気味な死がテーブルには居続ける。受け継げながら修正される歴史。
そして常に繰り返される享楽と死。
テオの美と恐怖がともに見ていて襲ってくるような作品。

そう言えば早稲田松竹で見ようとして逃しててあの時フィルムで観れてたらと後悔。
長いワンカットの中で時制が揺らぐ。凄いのは手法の独創性もさることながらそれがこの上なく効果的な表現になっていることじゃなかろうか。
過去は無くならず現在もその一部であり続ける、だのにその事が忘れられる、揉み消されてしまうことへの怒り。
さとう

さとうの感想・評価

4.0
なんでこの場面を? と勘ぐってしまうがただただ撮りたい場面を撮って繋げてるんだなと思うと納得してしまう。湖畔のうえを横切る赤い船たち(二回左から右、右から左)はもちろん、上着を脱げ、と言ってほんとに服を脱いだら、離れるとか。望遠レンズで階段と床を映して超マニエリスムなショットがあってそこもやたら印象に残るし。撃たれた死体が起き上がって、屋敷に戻って踊り出したと思ったら、最初のマクガフィンの死体にやたら近寄るから起き上がるかと思うもピクリともしない外しの演出になんか清を感じた。カメラの影が三回は映ってたなぁ
脚本 5
演出 5
画作り 5
音 5
独創性 5
関心の持続 5
演技 5
陶酔感 5
言葉 5
バランス 4
旅芸人の記録でも見られた政治的主張を映画に委ねる青臭さがまだ残っているものの、前と比べるとウザったいところも少なくなったし、何より2シーン1カット等の長回しをさらに洗練させていたのが良い。

前作でこれ見よがしに掲げてて気持ち悪かった赤旗が美しく見えたのも良し。
まだまだ未見作ばかりだが、これがアンゲロプロスの本気なんじゃないかと思ってしまう。パンするだけで、もしくはカメラが車を追いかけるだけで、この後一体何が映るんだろうかとドキドキする。ワンカットの密度、というかこんなシーケンスショット群は見たことない。
という一方で、この映画の中心にはギリシャの歴史があるわけで、ちょっと馴染めないというか。個人的な好みとして歴史よりも人物が中心にいた方が見やすい/楽しいという感じがあって、そういった意味では現状『霧の中の風景』『永遠と一日』の方が好きだったりはする。
メモ:窓を通した視点が多い。
saeta

saetaの感想・評価

4.4
未見のアンゲロプロス映画。

ファーストシーンの雪上の情景から引き込まれてしまい、大量の赤い帆船が湖を移動して行くシーンはとても美しかった。
テーマは明るくないが、パーティやダンスのシーンなんかも多く、意外と爽快感のある鑑賞だった。
毎度思うが、アンゲロプロスのあの長回しはどういう演出をしてるんだろう!
1976年大晦日。雪原にいた6人の狩人たちが見つけたのは、今存在しないはずの革命軍兵士の死体。

戸惑いながらもホテル館内に運び込むと、そこから内戦後の情景と狩人たちの隠された過去が呼び起こされる。

ギリシャは戦後1946年から49年にかけて内戦が勃発。終戦後もアメリカの介入や軍によるクーデターが起こるなど、国政が安定することはなかったが、73年にギリシャ共和国が成立して漸く民主主体の国家となった。

時空を超えて兵士の死体が物語るのは、民主主義発祥の地であるギリシャが、動乱期を経て真の民主主義を獲得するまで、多くの同胞の血が流れたという史実を決して忘れるな、ということなのかもしれない。

いやーそれにしても、この作品は1カットがとにかく長い!長回しは好きなんだけど、一つ一つのカットが長いので、途中何度も意識が飛びました…

でも、1カットに現在と過去がつながっていたり、一風変わったカメラワークに時々ハッとさせられるんですよね〜。

アンゲロプロス監督が拘った時の流れの描写に感服。
>|