モディリアニの絵が子供の頃すごく怖かった。
私が画商なら選ばなかったかもな…

画家モディリアーニの破滅的な3日間を描いた戯曲「Modigliani（1980年初演）」でモディリアーニの人生に強い共感を抱いていたというジョニー・デップが、1970年代後半からモディリアーニの伝記映画を作りたいと考え、その脚本の創作権を持っていたアル・パチーノ（本作にも出演してます）から監督を持ちかけられたということで、『ブレイブ（1997）』から約30年ぶりの監督作。

モディリアーニと親交の深かった画家仲間モーリス・ユトリロ（ブリュノ・グエリ）とシャイム・スーティン（ライアン・マクパーランド）。
恋人の作家ベアトリス（アントニア・デスプラ）
画商レオポルド・ズボロウスキー（スティーヴン・グレアム）
アメリカのコレクター、モーリス・ガニャ（アル・パチーノ）
といった出演者。

商品や投資対象としてしか見ないコレクターへの反発（が故の貧困）。
天才だが評価を得られない芸術家、酒やクスリでの破滅的な自己破壊...といった、芸術家のステレオタイプとも言える展開ではありますが、モディリアーニを演じたリッカルド・スカマルチョは、モディリアーニの写真にも似ていてハマり役でした。

タイトル「Modi, Three Days on the Wing of Madness」≒ モディ(モディリアーニの愛称)、狂気の翼に乗った3日間。
つまり、モディが狂気に運ばれるような破滅的な3日間というニュアンスでしょうか。

ただ、彼を含めた登場人物の心理描写が浅く感じられ、モディリアーニという人物の複雑さが十分描き切れていない感じはしました。
モーリス・ユトリロやシャイム・スーティンの描き方も極端過ぎ？という印象も。

以前から絵画を制作し続けていて、諸々問題も抱えてきたジョニー・デップがモディリアーニに共鳴し、自身の人生と重ねているのであろうことは十分に伝わりました。

首と顔が細長く、瞳のないアーモンド型の目が特長のモディリアーニの絵画及び彫刻。改めて鑑賞したくなります。

ジャパンプレミアにて鑑賞。

モディリアーニという画家がどれだけ偉大だったかを描くのではなく、芸術家としての生き様、情熱的で野生的な部分を切り取り、ステレオタイプが強いながらも、ジョニーデップの芸術に対する向き合い方を見ていれば、そりゃこういう映画になるよねとなんとなく納得はできる。

1961年のパリが舞台とだけあって、視覚的な楽しみはあったが、色彩に変化はあまりなく、主人公の心情をそのままにレトロなエフェクトを載せて描く。もはやジョニーデップぐらいになるともう商業的な事は一切考えていないのだろう。大衆伝記映画とは一戦を画す作り。

とはいっても内容は「認められない天才芸術家の破滅」という如何にもよく見る構成なので、そこに新鮮味は感じられない。

モディリアーニという画家の歴史的重要性や芸術的価値を求めているのであれば、今作はお粗末になるに違いない。

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