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山の焚火 デジタルリマスター版の作品紹介

山の焚火 デジタルリマスター版のあらすじ

広大なアルプスの山腹。人々から隔絶された地で、ほぼ自給自足の生活を送る4人家族。10代半ばの聾啞の弟は、その不自由さゆえに時に苛立つこともあるが、姉と両親の愛情を一身に受け健やかに育つ。ある日、草刈り機が故障したことに腹を立てた弟は、それを投げ捨て、父の怒りを買う。家を飛び出し山小屋に隠れ、一人で生活をする弟。そこに食料などを届ける姉。二人は山頂で焚火を囲み楽しい時間を過ごすが、やがて姉の妊娠が発覚し……。

山の焚火 デジタルリマスター版の監督

フレディ・M・ムーラー

原題
Höhenfeuer/Alpine Fire
製作年
1985年
製作国・地域
スイス
上映時間
117分
ジャンル
ドラマ
配給会社
ノーム

『山の焚火 デジタルリマスター版』に投稿された感想・評価

煙
3.8
画面の質感や映し方に『バベットの晩餐会』や『ケス』を思い出した。80年代ヨーロッパのフィルム。カメラの横移動。冒頭の右から左のショット二回。
4.0
アルプス山中で暮らす四人家族の、閉ざされた生活を描くスイス映画。
フレディ・M・ムーラー監督による1985年の作品を、特集上映「マウンテン・トリロジー」の一作として鑑賞。

捉えどころのない山の生活の描写が続く前半は、ちょっとウトウト。
時代は1980年代と思われるが、家の中に電灯は見当たらず、近代的な器具は乾電池で動くラジオくらい。姉弟が学校に通っている様子もない。

ところが、物語は次第にのっぴきならない様相を帯び始める。
その背景にあるのは、前近代的な家族の状況。監督は、現代のアルプスを舞台にした神話を描きたかったのかもしれない。

『四つのいのち』のような、山の人々の営みを静かに捉えた作品かと思いきや、思いがけない結末へと至る異色作。
唐突に終わるラストカットに、名状しがたい余韻がたなびく。
舞帝
3.6
屈指の”山”映画とはなんぞや...という好奇心から鑑賞。
圧倒的なロケーションもさることながら、そこで生きる家族の描写にも力点を置いた独創的な作品。



人里を離れたアルプス山脈の中腹に暮らす家族。堅物で気難しい父と内向的で信仰に篤い母というやや歪な家庭環境の中、学校を中退した姉が聾唖の弟をケアしつつ、二人の良好な関係性が思わぬ事態を呼び起こしていく。
本作に登場する家族のあり方については考察の余地が色々とあるが、自分にとっては違和感の方が大きく、機能不全に陥っている印象が強かった。
両親は確かに家族愛を持っているし、子どもに冷淡に接しているような場面はそこまで多くない。だが肝心なところで子どもと向き合うことを避け続けているように感じた。
そんな中で、姉だけは弟に寄り添って親身に接している。両者の関係性の変化、要は近親姦という流れは古来の神話に近い精神性を感じさせるが、そもそも生理的に受け付けないところがあって肯定的に評価しづらいところがあった。
悲劇的な結末の中に、新たな物語の幕開けを見出すという展開も、正直好みではなかったかな。

ただ、要所で感嘆すべきシーンがいくつか見受けれられ、視覚的に充実した時間を過ごせたことは間違いない。
丘の向こうにやってきた人との対話。雲海に佇む家屋、家畜。賽の河原か玄界灘の石塁かと言いたくなるような積み上げられた石のオブジェの数々。薄暗い屋内でランプに照らされた人物の表情。そのどれもが印象的で、心地よさと非現実性をもたらしてくれた。
現地の人々に古くから根付いている精神性。すなわち、大人になるとはどういうことなのか、山で生きるとはどういう意味を持つのか、家族とはどのような存在なのか...といった要素も、我が国と比して鑑みると新たな発見があって興味深い。

特殊な環境で暮らしていくうちに価値観が独自に進化していくのか、そしてそれがどのような意味を持ちうるのか。転じて都会や他者に対する羨望は生じ得ないのかといった様々な疑問が芽生えつつ、そういった推測すらも無意味、人間本来の原初の生業の姿を刮目すべきという気持ちにもさせてくれる、映画体験として充実の一本。



※決して時代に取り残された原始的な生活水準というわけではなく、文明の利器を仕入れたり、機械化すべきところはしていたりもする。だからこそ、麓の人々への複雑な感情や、表出しにくい内面性に余計関心が向いたようにも思う。
※いやそこは公共の福祉を頼れよ………と思ってしまうのは自分の硬直化した価値観の表れか。

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