夏をゆく人々の作品情報・感想・評価

「夏をゆく人々」に投稿された感想・評価

ほとんどのシーンの切りどころが素晴らしい。静謐な中に訪れるマジックの数々に唸った。画作りも程よく力が抜けていてGOOD。主題とされる部分にもフォーカスを当てすぎず観客に委ねていて映画の可能性を信じている監督なんではないかと思った。
Rea

Reaの感想・評価

4.0
イタリアの世俗から離れた田舎で、養蜂を営み暮らす家族の生活史。伝統的な手法や質素な生活を守っている尊さと、隔絶された小さな世界で生きていく残酷さ。生活の術を身に付け大人よりも大人であり、強さしなやかさを携えたジェルソミーナが父との関係のなかで見せる、やはり「まだほんの子ども」でもある側面。その双方へ揺れ動く描き方、演じ方が何とも言えず胸に響き、美しい映像と共に深い余韻が残った。人間は、その経験からある程度「間違い」を予測しリスクを避けるのは当然のこと。でも、子どもの前にはやはり未来という無限の可能性が広がっていて、勿論それを導くのは大人の責任だけど、その芽を摘み取ってはいけない、ということを改めて強く感じた。子どものそういうパワーと、家父長制への批判を私は感じ取ったけど、監督の真意は如何に。ジェルソミーナと家族、マーティンはどうなったのか、どうなっていくのかなぁ…。このような物語は、得てして淡々として退屈に思えてしまうこともあるけど、繊細な感情描写に引き込まれたまま最後まで観ることができた。「幸福のラザロ」も楽しみです。
イタリア語の授業で。真夏の夜の夢的な。。モニカ・ベルッチがきれいよ。
カンヌで高評価を受けた作品らしく、虚飾を排した演出。俳優たちの演技もナチュラルで、制作陣の取りまとめ能力は極めて高い。
伝統的な養蜂業をリスペクトしているようでありながら、内部の不調和で先細りになっていく姿を追うかたちで、やや不毛な気分にも。
若いって向こうみず。あまり意味を持たない目的のためにすべてを破壊し、なお意気盛んでも、失われたものは二度と戻らない…、そんなひと夏の風景。
REINA

REINAの感想・評価

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このレビューはネタバレを含みます

観たなぁ、前に。

厳しいお父さんと多くの兄弟。
滝みたいなところで女優さんと出会う。
[ラクダの存在感の無さは異常] 60点

凋落したイタリア映画界の希望の星であり新世代の代表格であるアリーチェ・ロルヴァケルの日本初公開作。岩波ホールで上映するという納得の待遇であるが、当時行く予定だったのにスルーしてしまったのをよく覚えている。加えて"思い出系"映画が苦手になったのもあって、この映画から気持ちが離れていたが、新作「幸福なラザロ」の公開もあることだしこの際全部の長編を見てみようと鑑賞。

トスカーナに暮らす養蜂家一家の四姉妹(特に長女)を主人公に自然に人間の手が加わる姿を描いた作品であるのだが、場面の選び方が上手いにも関わらずその使い方を含めた画作りに拘っていない感じが凄く嫌いだった。魅せようとせず、ただ写している感じがするってのはやっぱり"思い出系"映画の枠組みを出られていない証拠なんだろう。たまに良いシーンもあったが、それだけでホームランって訳にもいかない。テレビ番組が絶妙に安っぽいのは想像通りでウケた。ラストは時間を超越した感じで好ましい。

四姉妹で下の二人が完全にガヤなのも気になる。「カラスの飼育」は次女以外空気だったが、それでも長女と三女にはそれぞれの役割が与えられていたし、本作品のような"添え物"ではなかった。同系列の映画の「悲しみに、こんにちは」も同じような事案が発生していた。

加えて、重要な主軸の一つである"自然と人間"の媒介として触れられるのが養蜂であるが、これがあまり活かされていないのも残念だった。映像でも魅せきれていないし、と言うよりほぼ蜂蜜の話だったし、養蜂そのものが別のものと可換であるのも納得いかない。

あと私の中で"ココ"って役名で許されてるのは「ブレードランナー2049」で殺された検視官の兄ちゃんだけだから。
kaz

kazの感想・評価

3.2
舞台はイタリア・トスカーナ地方。養蜂を営む一家(両親+4姉妹+居候の叔母)の話。
ドイツ人の非行少年を預かったり、テレビ番組「ふしぎの国」に出演することになったり、、、
ある夏の出来事。

鑑賞前の勝手なイメージは、トスカーナの美しい風景が堪能できて、設定も面白そうなんで、ちょっと笑いもありのハートフルな映画かな?と妄想してたんですけど、全然違いました…(苦笑)

風景は確かに美しいですが、どちらかというと寂れた田舎の風景で、寂しさ強めな印象。
そしてコメディ要素ゼロ。笑うところありません。割とシリアス。
感情移入しにくい映画でしたね。

何より一番の問題が親父ですよ!
超ムカつく野郎です!
仕事に対する誇りとか娘への愛情とか垣間見えるのは見えるんですが、それ以上に嫌悪感を抱いてしまう存在。強権的で絶対的な存在。
このおっさんの存在に慣れてしまわないと挫折します。(笑)

非常に比喩的な表現も多く、説明らしい説明もないので、ボーっと観てたらいつの間にか終わってしまいました。
しかし何故かちょっと気になる感じの映画でしたね。
あとモニカ・ベルッチがめちゃめちゃキレイ!っていう印象だけはやたら残っています。(笑)

いずれ再鑑賞してから正式な評価になるかもしれません、、、
1993

1993の感想・評価

4.0
映像がとにかく綺麗。
イタリア・トスカーナの土地に広がるみずみずしくて透き通った緑や青、そこに映える女性たちのカラフルな衣服や光に煌めく髪の毛一本一本の美しさに思わず息を呑む。フィルムカメラの写真みたいな奥行きのある、どこか懐かしい感じがしてずっと観ていたい映像ばかりだった。
14歳という、子供だけど、大人の女性になりかけている、その絶妙な少女の心の揺れやその時期ならではの父親に対する態度、素直に受け入れられない感じがとても繊細に描かれていたと思う。
突然一家の前に現れた少年との暮らしは「淵に立つ」の浅野忠信のような不気味な展開を予想させたけれどこの映画はそうはならず、まだ熟していない二人、ジェルソミーナと少年がゆっくりと歩み寄り心を通わす美しい物語だった。

ラストシーンは未だに腑に落ちてなくて、もしかしたらあの夏の出来事はすべて夢の中での出来事だったのではないかとも思う。あの美しい色彩溢れる夏は過ぎ、セピア色の秋の訪れ。セピア色ともとれるラクダの到来は夏の終わり、秋の訪れを示唆せるメタファーか何かなのか。深読みかもしれないけれど「夏をゆく人々」のタイトルの意味がなんとなくわかった気がした。
図書館の上映会にて。ストーリーより、そのはちみつ衛生的に大丈夫?とか、次女が韓国の子役アンソヒョンに似てるなとか関係ないことが気になり。あと、お父さんのヒゲ!
ちろる

ちろるの感想・評価

3.4
イタリアのトスカーナ地方を舞台にした作品はいつも無条件に私をワクワクしてくれるはずなのに、子どもらしくいられる時間を削られたジャルソミーナを見ながら何事もなかったように美しく笑顔で過ごす場面を見てもすっきりとはせず、私はどうもモヤモヤしてしまった。
子供は子供らしく、無邪気で親の顔色なんか伺わないでほしいと思うのも私のエゴイズムなのかもしれないけれど、例え娘が父を慕い父が娘を愛していても娘は父の完全な私物ではないはずだ。
家の仕事を学ばせる事で成長させることは素晴らしいことでも、家の事業の働き手として子供を作っているように見えてしまうこの父親は最後までどうしても好きになれなくて、みずみずしい子どもたちの描写も、自然と一体化した美しい家族の営みもすんなりと受け入れられなかった作品ではありました。

自然と営む家族を描いたという点では似たような話で「はじまりへの旅」を思い出すけれど、この家族の父親ウルフガングの威圧感はあの作品のベンのように私にとって愛すべき不器用な父親とは映らなかったのは、母親の立場に共感してしまったからなのかな。
子供の視点を中心に自然な演技を導き出すドキュメンタリータッチの作品で、少女や少年たちの自然な動きや表情が可愛いのでそこはこの作品の癒しポイントでもある。

日本でいう是枝作品のような風味があって、この手の雰囲気は嫌いではないのにもっとこのウルフガングの事が好きになれればこのストーリーも好きになれたのにと思ってしまいました。
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