【戦争映画のススメ】
　地獄の黙示録 (1979)
◆本作で描かれる戦地
ベトナム戦争 (フィクション)
◆本作のポジショニング
　人間ドラマ □□□■□ アクション

〈本作の粗筋〉 eiga.comより抜粋
・サイゴンのホテルに滞在していたアメリカ陸軍のウィラード大尉は、軍上層部からカーツ大佐の暗殺を命じられる。カーツ大佐は任務で訪れたカンボジアのジャングル奥地で勝手に自らの王国を築きあげ、軍から危険人物とみなされていた。
・ウィラード大尉は部下たちを連れ、哨戒艇で川をさかのぼってカーツ大佐の王国を目指すが、その途中で戦争がもたらした異様な光景を次々と目撃する…。

〈見処〉
①戦争。アメリカ。地獄の黙示録。
　魂を揺さぶる２時間３０分の旅——
・『地獄の黙示録』(原題: Apocalypse Now )は、1979年に製作された製作映画。
・本作は『ゴッドファーザー』シリーズで世界的成功を収めたフランシス・フォード・コッポラ監督が、19世紀のイギリス人小説家ジョゼフ・コンラッドの小説「闇の奥」(1899)の舞台をベトナム戦争下のジャングルに移して、戦争の狂気を描いた叙事詩的映画(エピックフィルム)である。
・当初は、コッポラと同じ南カリフォルニア大学の映画学科に在籍していたジョージ・ルーカスとジョン・ミリアスが共同で進めていたものであったが、1970年代初頭はベトナム戦争に対する企画は通らず、後にルーカスが『スター・ウォーズ』製作するにあたり、作品の権利をコッポラに譲り渡したのが始まりとされる。
・映画史に残ると云われるほど過酷で困難を極めた本作は、公開時に賛否両論を招いたが、第32回カンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールを受賞。近年ではアメリカ映画史上重要な地位を占める作品として肯定され、2007年に更新された『アメリカ映画ベスト100』中第30位にランクインしている。
・また、本作製作過程のドキュメンタリー『ハート・オブ・ダークネス/コッポラの黙示録』(1991)を始め、2001年には、コッポラ自らの再編集による、50分近く長い『地獄の黙示録　特別完全版』も製作・公開され、再評価されている。
・出演は『ゴッドファーザー』のマーロン・ブランド、ロバート・デュヴァルに加え、マーティン・シーン、デニス・ホッパーらレジェンド俳優が大挙出演。また、出演時間はわずかながら「ルーカス大佐」という役目でハリソン・フォードも出演している。

②伝説の撮影
・アカデミー監督、フランシス・フォード・コッポラによるベトナム戦争やアメリカ軍を批判的に扱った最初の映画として物議を醸した本作の製作発表。しかしながらキャスティングのトラブル、コッポラの完璧主義によって、撮影は17週間の予定が61週間まで延伸。さらに編集にも2年余りの時間が掛けられたため、本作より後に製作が始まった『ディア・ハンター』に「最初のベトナム戦争作品」として先を越され公開された。
・ケチのつきはじめは、主人公のウィラード大尉を務める予定であったハーヴェイ・カイテルが契約のトラブルが原因で撮影開始2週間で降板。以降カイテルはハリウッドを干され、インディペンデント映画中心に活躍する遠因となる。
・代替候補のハリソン・フォードも『スター・ウォーズ』撮影とバッティングし、最終的にマーティン・シーンがキャスティングされたが、新たに起用されたマーティンも、拳で鏡台を叩き割るシーンで、切傷を負って流血。さらに撮影途中に心臓麻痺で倒れ、一時生死の境をさまようほどの状態となり、混乱を招く。
・また、撮影中にはキャストやスタッフにマリファナやLSDが蔓延。報道写真家役のデニス・ホッパーは、麻薬中毒でセリフが覚えられず、事あるごとにコッポラと衝突した。
・それ以外にもマーロン・ブランドが撮影当時極度に肥満しており、物語の設定を一部変更。ブランドはデニス・ホッパーと一緒に撮影されることを拒否するなど自己中心的な主張を繰り返し、遂には監督であるコッポラが心労で倒れる事態にまで陥る。
・撮影においてもフィリピンの熱帯雨林をベトナムに見立て、セットを構築したが、台風により全崩。また、米軍の協力が得られず、作品に登場する戦闘機やヘリコプターをフィリピン軍の協力に頼ったが、内戦やイスラム教住民の反乱の実戦出動を優先され、スケジュールの遅延を招いた。
・これらのトラブルにより、ストーリーも大きく変更され、後に脚本担当のジョン・ミリアスが不快感を表明。1200万ドルだった予算は、最終的に3100万ドルに達し、その一部はコッポラ自身が拠出した。

③結び…本作の見処は？
公開当時の論評「前半は満点、後半は0点」は頷ける作品。
◎:「朝のナパーム弾の臭いは格別だ」…ワーグナーの「ワルキューレの騎行」をBGMにヤシの木の密林に爆撃するナパーム弾の大爆発シーンは、『プラトーン』『プライベート・ライアン』に先駆ける、戦争映画のエポック・メイキング。映画史に残る必見シーン。
◎: ドアーズの「ジ・エンド」、ローリングストーンズの「サティスファクション」、プレイメイト・ガールズの登場。60年代末期の病めるアメリカの世相を反映した作風は「アメリカン・ニューシネマの最期の作品」と称されるに相応しい。
✕: 「撮っていて途中で分からなくなった」と後にコッポラが述べるほど、混沌とした作品。終盤のマーロン・ブランド出演場面がいかにブラッシュアップされていたとしても、長尺の完全版を鑑賞する自信がない。

• #戦争映画のススメ

深淵の悪夢のような傑作。

フランシス・フォード・コッポラの悪夢のような戦場体験映画にも関わらず、ここまで劇場で高揚させられ、別世界に没入した経験はそうはない。

戦場の生々しい匂いが満ちていて、後半はこの世の最果ての地に放り込まれる。

ワーグナーのワルキューレをバックにヘリの編隊が迫り、ベトナムの村がナパーム弾で焼かれていく。

ジャングルの川下りの先にカーツ大佐を扮するマーロンブランドがあの奥地で待っている。

そこに至る全ての景色をもう一度劇場で体験したい✨

「黙示録」＝ 人間の力ではわからなかったことを明らかにすること、あるいは、秘密が明らかにされること。まさにこの映画で描かれてる事は黙示録ですよね。事実かどうかそれは人間には分かり得ない。神話レベルの話。
　
　戦争映画ベスト5とかに絶対入ってる傑作。ずっと観たかったんです。やっと観れて最高です。内容も期待通り、いやそれ以上に素晴らしかったです。他の戦争映画では体験したことのない世界観。夢見てるようでした。

　本作品観終わった後に一番思ったのは、映画で描かれてることが実話なのか作り話なのかってことです。舞台はベトナム戦争で、主人公が軍のお偉いさんに「カンボジアの近くに流れてる川の上流に気の狂った軍曹がいるから暗殺してこい」って言われるんですね。（プライベートライアンの逆バージョン）主人公は「まじかよ、おめえらも十分狂ってるよ…」なんて思いながら渋々了解するわけです。それでまあ川とか昇りながら気狂い軍曹がいるとこに向かうんです。
　ここまでは聞くとまあなんかありそうな話ですよね。ただ、観進めていくにつれて、あれなんかこれおかしくないか？ってなるんですよ。嘘だろ！とはっきり言える訳ではないです、それは私たちが知らない領域なんで。でもこれ有り得たら相当やばくない…？とは思うんですよね。

　ジョゼフ・コンラッドの小説『闇の奥』を、巨匠フランシス・フォード・コッポラが舞台をベトナム戦争時代に置き換えて映画化した巨編。ベトナム戦争後期、米軍を脱走しカンボジアで王国を築き上げた大佐と、その抹殺指令を受けた大尉の狂気に満ちた体験を描く。