『路地へ 中上健次の残したフィルム』青山真治
新宮へ向かう車。大友良英の研ぎ澄まされた音が鳴る。
中上健次が撮ったという路地の映像。失われた街並みが幻のように映る。
音楽。被差別部落。ぼくの関心が…
かつて在った路地を巡った、朗読+ロードームービー。ストローブ=ユイレの影響が強い。ある土地の捉え方は中上健次の遺したフィルムによって、確かに在った路地の輪郭が朧げに見えてくる。感動的なドキュメンタリ…
>>続きを読むこのレビューはネタバレを含みます
移動することによる位相の変化と言葉、映像による、失われた小さな世界の反魂行為。
それはあらゆる失われる町、そこにあった物語、そこにしかあり得なかった交流、人の関わり、思い出、をわたし達にいっとき手繰…
田舎の小学校から海、また地方都市の街並みから山へとカメラを振っていくという極めて単純で且つ大胆な旅への誘惑、もしくは批評的な何かに惚れた。真似て自分もこの夏、島崎藤村の小説持って岐阜の中山道行こうか…
>>続きを読む墓参りをする井土紀州の砂利を踏む音が心地よかった。那智黒の七里御浜か、三輪崎あたりの海だろうか、映画的に切り抜かれた海を背景に『地の果て 至上の時』を朗読するところで涙がにじんだ。
中上健次の評伝を…