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『盗馬賊』に投稿された感想・評価

No.775[ブラックアウトが連続性を完全に殺している] 60点

1923年のチベットで起こる馬泥棒一家の悲劇の映像詩。上映前にリマスターされた本作品がチベット語オリジナルではなく中国語吹き替えであることを伝えられ、口の動きばかり見てしまった。ロシア語版「ざくろの色」やイタリア語版「ルートヴィヒ」を思い出して背中がむず痒いったらありゃしない。プーさんめ、やることがエゲつないな。

貧しさから馬泥棒を働き部族から追放されて破滅の一途を辿るノルブ一家の年代記であり、映像が美しすぎて悲劇性が極まる。紙吹雪、マニ車、水鎮祭等々チベット文化の儀式を巡るだけでこうも美しくなるのか。

しかし、毎シーンブラックアウトで終わるのが気にくわない。没入感を阻害するというか、連続性を完全に殺している。吹き替えとブラックアウトで私もアウトだった。最後雷に打たれて爆散したとこ以外は乗り切れず、と言うより乗る前にシーンが終わってたという印象。

にしても寒そうなのにノルブはほぼ上裸であり、こっちがくしゃみしそうだった。そんなバーチャル体質は私と深川麻衣だけなようだ。

追記
中国の伝説なら「風の物語」の方が好き。
2.5
鳥葬の読経大合唱と小太鼓のビート、祭壇前に灯された蝋燭の方陣、次々と回転していくマニ車、チャムとかいうアゲアゲな仮面劇(もっと見せろ)、いちめん雪におおわれた高原などはよかった。が、話がしょぼすぎてつまらない。昔の生活様式を再現したいんだったら、神話や伝承をベースにしてもよかったはず。いちいちブラックアウトするシーンのブツ切り感とか、アクションの流れのぎこちなさとか、五体投地巡礼のディゾルブ乱発とか編集も謎。劇中への没入を阻害しまくるクサい吹き替えはマジで最低。
やはり自分はドラマの為に描写する映画よりも描写や映像の為に申し訳程度のドラマを設ける映画の方が好きなのだと改めて実感。

チベットのとある部族、特に一人の男とその家族に焦点を当てたこの作品は自然かつ神秘的で美しい描写が目立ち、さながらフラハティのモアナとテレンス・マリックの天国の日々を合わせたようなものとなっていて、自分の好みにドハマりだった。

こういう見知らぬ部族の暮らしぶりや儀式を淡々と映しただけで気に入ってしまう自分は我ながらちょろいなと思いつつも、それが自分の嗜好なのだからしょうがないし映像美も優れていて感服せずにはいられない。(特にラ・トゥールの絵画の如き室内の灯りは最高の一言)

今度の東京フィルメックスで有難いことにデジタル修復版が上映されるが、この機会に素晴らしく雄大な映像美に触れてみることを強く勧めたい。(自分もできれば見たいけど他にも沢山見たい映画があるから余裕が出来るかは残念ながら甚だ微妙)

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