紛争中のボスニアを舞台にユーモアを交えながらも戦争の本質を描いた戦争ドラマ作品。

1993年6月、ボスニア紛争の真っ只中。霧で迷ったボスニアの兵士チキは、塹壕に身を隠した。そこはボスニアとセルビアの間の無人地帯「ノー・マンズ・ランド」。そこにセルビア人兵士ニノが偵察に訪れる。チキとニノが一触即発の睨み合いをする中、思いもよらない事態が幕を開けるのだが…


『この戦争は、何のため？』


戦争は人を変えてしまう、人が戦争を変えてしまう。何かしらの理由で起こってしまった戦争は、人々の想いが詰まったひとつの行動指針。それは、あまりにも虚しく悲しく最悪な結末を迎えてしまう。この馬鹿馬鹿しい無意味な戦争を繰り返してはいけないと思う人は多い。しかし、平和の為に武力を利用する場合もあるのは事実。話し合いで解決する程度なら、戦争なんて起こらない。

国も歴史も文化も違えば、物事の捉え方も当然違ってくる。努力や失敗の末に迎えてしまった最悪な選択の中にある立場を超えた関係は、妙に考えさせられる部分で人間らしさを感じさせてくれる。

武器を持ち戦う事は恥ずかしい、そんな事を教えてくれる作品です。

「人々がスポットライトを当てたがるもの」と「スポットライトを当てなければならないもの」とが必ずしも重なり合うとは限らない

極めてその乖離が激しい今作は背景が戦争映画であるというのに、気がつくとそれを失念してしまっている自分がいる

製作陣の意図的な論点外しが見事に奏功した異色の一本

• #世界はドラマであふれてる

ボスニア紛争を舞台にブラックユーモアを交えたヒューマンストーリー。
紛争がテーマの作品だけど、コメディのジャンルだったし、銃撃戦のシーンは少なく、割とポップな作りだったので軽やかな気持ちで観てしまった。
でもそんな自分に猛省。

特殊な地雷を身体の下に埋め込まれた負傷兵とその仲間。
そして埋め込こんだ兵士の部下。
の3人の緊張感ある会話劇がメインなわけだが、欺瞞 同情 裏切り 絶望 の感情が数分ごとに入れ替わるので、舞台劇にもなりそうなお話だと思った。
戦闘服を脱いだら敵か味方もよくわかんない。
軍の仲間がいない一対一の世界ならばそれは紛争を一旦脇に置いておいてもいいのだけど、なまじ会話が通じる同士だからすぐに言い合いになる。
銃を突きつけながら
「どっちが戦争始めた？」の喧嘩がマジ不毛。
会話通じなくて英語喋れるか？とかフランス語喋るのか？とかそんなやりとりから始まる会話のせいで、一刻を争う事柄の対処がなかなかできないなど、
矛盾に満ちたやり取りを見せながら、人間の起こした「争い」という概念を根元からあざ笑うかのような作りはかなり辛口でシュールな仕上がりになっていた。

訴えかけるものはあるけど、非常にシンプルな作りなので、こういう類の作品が苦手な人にもおススメしたい作品です。