不安は魂を食いつくす/不安と魂の作品情報・感想・評価

「不安は魂を食いつくす/不安と魂」に投稿された感想・評価

やや誇張され演劇的で絵空事のように描かれたダグラス・サークの『天はすべて許し給う』を元に、デタッチメントでドライでリアリズムを追求した究極のメロドラマ。身分違いや差別と戦いながらも最終的に「男と女の話」に持っていくところがすごく、このオチは『ジョゼと虎と魚たち』にも影響を与えたのではないかと。

フォロワーがオリジナルを超えた一作。文句なしのオールタイムベスト。震えた。『エデンより彼方に』と併せてどうぞ。90分で終わるのもいいね。
シャケ

シャケの感想・評価

3.5
普通の大人っぽい人たちがあまりに浅はかなディスコミュニケーション繰り返すのものすごい辛くて吐きそうになった。
他人の、自分に全く関係ないプライベートにあれこれ言うの本当に分からなすぎる〜ああいう時に人が生き生きするのってどういうメカニズムなんだろう。
ドイツの人種差別を描く方法としてこれは一般的な雰囲気なんだろうか。ミュンヘンが保守的な土地なのはわかる。
構図やスローなアングル変化は相変わらずファスビンダーらしいけど今回はそれがそこまで強調されてなかったように感じた。ストーリーが分かりやすくてそっちに集中しがちだったからかもしれない。
木木

木木の感想・評価

4.5
二人が育む生活を周囲の偏見でストレスで歪む、壊れていく。愛の可能性を投げかけるファスビンダーの優しさに胸いっぱい。
リメイクとされる作品でプレゼントとされるテレビが、今作では息子たちに再婚を拒絶されテレビが破壊するので登場するのが興味深い。
hiro

hiroの感想・評価

5.0
 冒頭のダンスシーンのアングルは個人的にかなり好きです。
 人種差別という外圧に耐えながらも2人は愛しあっていたが、偏見や差別の矛先が変化し、外圧がなくなると今度は2人の内側から問題が生じてしまい、問題が起きるばかりで、終わり方も希望を持てる人もいれば絶望感を味わう人もいるなと思った。
 "幸福が楽しいとは限らない"言葉の真意は少しだけわかった気がする。
原題の文法的な間違いからもわかるようにドイツ語も覚束ないモロッコ人のアリと掃除婦の老女エミの恋愛。
困難が多いほどに絆は深まるが突如平穏が訪れるとすれ違う二人。幸福が楽しいとは限らない。
c5

c5の感想・評価

4.0
◯「幸福が楽しいとは限らない」

◯『不安は魂を食いつくす』『不安と魂』タイトルが二つあって困る。

◯ダグラス・サークの『天はすべて許し給う』のリメイク(実際はもっと複雑な背景あり)。60歳の女性と20歳以上若い黒人男性とのメロドラマに翻案されている。

◯2人には年齢の壁、人種の壁があり、周囲は差別的態度を取る。2人の愛を周囲が肯定した時、2人は2人の愛を否定し始めてしまう。しかし、監督曰く「現実と可能性とを」描いたとのこと。なるほど。

◯カウリスマキっぽいな思ってたけど、どうやら撮影直前にめちゃめちゃ影響受けたらしいです。
ファスビンダーの中ではかなり好きな方。
昔好きだった人に「〇〇くんってめっちゃ『魂』て言葉使うよね」て指摘されて恥ずかしかったことを思い出した。
2021年2月1日、2回目。
元ネタになっているサークの「天は全て許し給う」見たので、久しぶりにこっちも見た。
たしかにサークを元ネタにしているが、それでもめちゃくちゃファスビンダー色が強い。サークの映画見て感動して、サークみたいな映画を撮りたい!と思って、この男優と女優を主演にして映画を撮っているところが凄い。
インタビューとか読むと早撮りのファスビンダーにしては珍しく、この映画は結構時間をかけて撮ったらしいが(とはいえこの映画を撮った1974年にも4本撮ってる)、たしかに他の映画に比べて真面目に丁寧に撮ってる印象がある。

特典映像見て知ったけど、この映画ファスビンダーのお母さんも出てたんだ。ファスビンダーのお母さん初めて見たわ。
サーク『天はすべて許し給う』との比較として、あの作品の最大の魅力であったブレヒト的異化効果が無いサーク式メロドラマというのはかなり味気なく感じてしまったが、一つのストーリーとしてはちゃんと面白かった。確かにカウリスマキっぽい。
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