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狂乱の大地
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『狂乱の大地』に投稿された感想・評価

3月14日は43歳で早世したシネマ・ノーヴォの牽引者グラウベル・ローシャ監督の生誕79周年に当たります。

発展途上にあったブラジルの映画界において、フランスのヌーヴェルヴァーグと同様に"シネマ・ノーヴォ"という新たなムーヴメントを巻き起こし、革新的な作品で世界の映画シーンに一石を投じたローシャ監督。
ゴダールをして「もっとも新しい映画監督の一人」と言わしめ、
今からちょうど半世紀前の1967年に公開された本作はカンヌ国際映画祭にてルイス・ブニュエル賞、国際映画批評家連盟賞などを受賞し、その名声と"シネマ・ノーヴォ"の確固たる地位を築き上げました。

本作はブラジルのフォークロア的下地を基に形成された現代政治寓話ですが、舞台は架空都市エル・ドラド。
エル・ドラドといえば16世紀にスペイン人が挙って追い求めた伝説の黄金郷であり、
この裏側にあからさまなブラジル政界批判を盛り込んだ作風は、当時の軍事政権下の厳しい検閲を免れる意図が挙げられます。

詩人でジャーナリストであるパウロは野心的に変革を求め、聖職政治家ディアスや民衆のリーダーである地方議員ヴィエイラ、資本家フエンテスの元へ次々に仕えるものの、
闘争の火種は失意のもとに潰え、その挫折を時に荒々しく、時に繊細なタッチで描き出します。

理想と現実の狭間で苦悶し、どれだけ権力者の助力で抑圧された人々の自由と解放を扇動しようとも、結果支払われる犠牲は決まって搾取される側の弱者であること。
虚飾と怠惰にまみれた上層社会の内部をアヴァンギャルドな手法で暴き出し、
回想から夢想、イデオロギーに至るまで、交錯する映像は鮮烈なまでに混沌とした狂乱の心象を構成していきます。
それはまるでローシャ監督の根幹的「怒り」に直結するかのよう。

土着音楽をメインとする宗教儀式の歌と打ち鳴らされる太鼓のリズム、そして激しい銃声音は、終演後も暫し鳴り止む気配がありません。
No.475[政治を巡る狂気と混乱の寓話、グラウベル・ローシャ特集③] 90点

南米の架空の共和国エルドラドの政治闘争を巡る狂気と混乱の寓話であり、ローシャ渾身の"論争的扇動的映画"。主人公はジャーナリスト且つ詩人という軍事政権に真っ先に目を付けられそうな経歴の男パウロであり、彼が政治闘争に猪突猛進する姿からブラジルの延いては世界に起こりうるの問題を鋭く提示する。

パウロは保守的政治家の庇護下にあって首都で享楽的な生活をしていたが地方の活動家サラに出会って彼女の活動を支援するうちに地方で人気の議員ヴィエイラに与するようになる。しかし進歩的だったヴィエイラも知事に当選するとしがらみに捕らわれて動けなくなり、パウロは失望する。パウロが首都に戻って享楽的な生活を楽しむが、国の現状を確認してヴィエイラと再び組むことにする。政治とは結局は中間層のお祭り騒ぎであり、言葉に固執して批判者に反政府的とレッテル貼って殺してしまうことで本当に"政治"が目を向けるべき部分から目を背ける。政治とは狂乱のゲームなのである。

話自体は政治についての説教臭い話で退屈なのだが、画面にはそれを魅せ切る力があり、テンションの緩急の付け方が非常に上手い。途中の劇中劇のとこなんかローシャ以外がやったら説教臭さの方が上に出て見るのも耐えられない代物になったんじゃないか。冒頭に戻ってくるラストも反則的に面白い。

東欧諸国然り南米諸国然り抑圧されてる方が面白い映画が出てくる気がするんだけど、やっぱり抑圧はされないに限るね。題名に相応しい"狂乱"の映画だった。
para
-
架空の国、エルドラド。
オープニングとラストがカッコ良い。
大写しとなる顔面は迫力があり、
演出はどこか演劇的。(階段で歌劇が流れる場面とか)

アナーキーな詩人が敵対する勢力各々に肩入れしながら描かれる、退廃と政治や社会の混乱。
階級社会の上位に属する支配者、市民の声を聞くが決断出来ない指導者。
奇想天外というよりは、まさに狂乱の大地。

ジャズのドラム、劇伴になってる銃声も効いている。

奇想天外映画祭2022



途中少し寝てしまったため、スコアなし。

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