中世からの石造りの聖堂、回廊─ 。冬から春へ、ゆるやかにめぐる季節、くり かえされる祈りと務め、修道士たちの澄んだまなざし、空のうつろう青の色、雲、 ふりしきる雪、火、窓辺の明かり─ この世の喧騒からとおく離れ、まったく異なる 時間が流れてゆく。中世から朗唱されてきた聖歌のように。質朴な家具にさしこ む日の光、訪れる人と去りゆく人、生と死、闇と影、ろうそくの灯、星々、月、太陽、 風にゆれる木々、氷、水滴、水紋、清冽な川の流れ、かたい土を耕し、芽吹く 緑、はじけるように咲くクロッカス、日のぬくもり、労働と休息、聖なる言葉、鐘の音、 はるかなる山々─ 。この作品は修道院を撮影したというよりむしろ、映像が修 道院そのものとなったと言える。 今日の社会のように、かたちや結果に価値をおくのではなく、内なる精神に意味 を求める日々、この沈黙にみちた、深い瞑想のような映画には、進歩、発展、テクノ ロジーのもとで、道を見失った現代社会に対する痛烈な批判と、今日の物質文 明を原点から見直そうとする思いが根底にある。森羅万象、瞬間がこの上なく尊 く、観る者はこの2時間49分をとおして、かけがえのない経験をすることだろう。
ムーラーが自らの故郷ウーリ州の山岳地帯で撮った長編ドキュメンタリー作品。変わりゆく山岳地帯に住む山人たちの生き方と精神世界に迫る。民俗学的なテーマや、共同体の閉鎖性など『山の焚火』に直接的…
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>>続きを読む広大なアルプスの山腹。人々から隔絶された地で、ほぼ自給自足の生活を送る4人家族。10代半ばの聾啞の弟は、その不自由さゆえに時に苛立つこともあるが、姉と両親の愛情を一身に受け健やかに育つ。あ…
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>>続きを読む秋、収穫の季節には畑仕事をして、森でイチヂクを摘む。冬、厳しい寒さの中、火の周りで身を寄せ合う。春、アーモンドやりんごの花が咲き、世界がふたたび色づく。夏、緑と太陽の光あふれる美しい季節の…
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