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不正義の果て
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『不正義の果て』に投稿された感想・評価

CHEBUNBUN

CHEBUNBUNの感想・評価

3.5
【アイヒマンは決して凡庸な悪なんかじゃない】
クロード・ランズマンのDVD-BOXがプレミアついており、10万円ぐらいする。6万円ぐらいで売っているのがあったので買った。お目当ては『不正義の果て』である。かつてはマーメイド・フィルムのサブスクにて配信さてれいたのだが、サブスクが終わってしまったので日本語字幕で観ることが困難な作品であった。実際に観てみると、これまた強烈な内容であった。

クロード・ランズマンは過去のフッテージを使わず、インタビュー勝負でホロコーストの凄惨さを描くイメージがあるのだが、この番外編はホロコーストを扱った絵や映像を少しばかり挿入しているのが意外だ。それが若干ノイズに感じるも、ベンヤミン・ムルメルシュタインが語り始めると怒涛のように新しい理論が出てくる。ハンナ・アーレントがアイヒマンの行動を「凡庸の悪」と定義したが、実際のところかなり汚職していると語っている。また、ゲットーへの引越し手続きを3日で終わらせた話から、当時のシステム化、ブラック企業化した運用が語られていく。それを飄々と語っていくベンヤミンの言葉を一言も逃さぬように捉えていくクロード・ランズマンの執念が全編に渡ってひしひしと伝わってきたのであった。
タイトルは『不正義の果て』

『SHOAH』には収録されなかった本作の主人公は、ナチスが国外向けとして作った〝模範的〟ゲットー,テレージエンシュタットの最後のユダヤ人長老ベンヤミン・ムルメルシュタイン。

上沼恵美子もビックリのマシンガントーク&林修先生もビックリな博学、そして例え上手。

顎下にニワトリみたいに垂れ下がった皮膚といい、かなり強烈なキャラでした。

ゲットーの長老とは、ナチス親衛隊から住人の管理を任される立場な故、同胞のユダヤ人への厳しい行いや、時には命の選択さえも決断しなければなりません。

この長老はその点、ナチスに信頼されるくらい上手くやっていたのでしょう。
しかし、本人はナチスを納得させながらも、ゲットーのユダヤ人の暮らしが少しでもマシになるように手を尽くしたと言います。

実際そうだったのかも知れません。

アイヒマンに関する発言や、他のユダヤ人長老などの当時のエピソードは、おそらくは真実で、その人物像が少しイメージできました。

本作だけでも3時間40分くらいありましたが、SHOAHを観た今の自分には、集中力が漲っていました。

『SHOAH』を観られた方は、ぜひこちらもオススメします。
これで漸く『SHOAH ショア』が観終わった。
というのも、この作品の大部分の素材もまた『ソビブル、1943年10月14日午後4時』と同様、『SHOAH ショア』のために撮られたものだからである。
しかしインタビューの雰囲気は、確かに『SHOAH ショア』のそれとは違うため、異なる作品として完成させたのは納得の判断だ。

インタビューを受けるのは、ユダヤ人の裏切り者のレッテルを貼られたナチスの操り人形、テレージエンシュタット強制収容所のユダヤ人評議会最後の長老ベンヤミン・ムルメルシュタイン。
世間から批判を浴びている彼が、その不正義の果てに何を求めていたのかを明らかにする。

ムルメルシュタインは裁判で無罪とされるが、自ら有罪であると責任の認識をしている。
それでも「ゲットーを守ることは、私を守ること」であったと言う。彼の生き残るための権力欲を否定はできないが、それは仕方のないことのように思う。
むしろ、選ぶこともできた安全圏への移住もせず、欺瞞だらけのプロパガンダ用ゲットーであるテレージエンシュタットに残り、彼が街の美化に努めたおかげで、シラミやチフスの難から救い、老人ホームを用意でき、自由時間をも与えることができ、結果的にムルメルシュタインの操作は多くのユダヤ人の助けになっていた。
最不幸中のわずかな幸いである。
「操り人形が糸を引く」とは、完璧な例えだった。



ホロコースト記念博物館のお蔵入り研究資料になりかけた、このムルメルシュタインへのインタビュー映像。
その貴重な映像素材への博物館の扱いに憤慨したランズマン監督が、映画として完成させ世に送り出したことで、自分のような世間知らずの日本の若者でもちょっと財布のヒモを緩めれば鑑賞できることが有り難い、有り難い。

まだフィルマークスに登録されていないランズマン監督の過去作品、『なぜイスラエルか』『ツァハル(イスラエル国防軍)』『生者の世界からの訪問者』『光と影』『カルスキ・レポート』の5タイトルも、是非日本で劇場公開して欲しい。

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