スペシャリスト 自覚なき殺戮者の作品情報・感想・評価・動画配信

「スペシャリスト 自覚なき殺戮者」に投稿された感想・評価

歴史は繰り返し、終わりません。

ドキュメンタリー映画なので、ストーリーも、エンディングもありません。
事実を伝えているだけです。

原題は「UN SPECIALISTE」です。
邦題は「スペシャリスト 自覚なき殺戮者」です。
スペシャリストとは、アドルフ・アイヒマンのことです。
アドルフ・アイヒマンに、殺戮者としての自覚はあったと感じたので、原題の方が良いです。

日本では、人気のない裁判映画ですが、ドキュメンタリーです。
裁判について知らないと何も理解できません。
裁判では、裁判長、検察官、被告人と弁護士が法廷に集まり、冒頭陳述に始まり、証人尋問、証拠に関する質問、被告人に対する質問、被告者への警察の尋問に対する質問を通して、被告人の有罪か、無罪か、量刑を決めます。
この映画も時系列に従って進みますので、裁判の進め方を知っていると、理解しやすいです。

ユダヤ人虐殺に関与した人物の唯一の肉声でもあります。
アドルフ・アイヒマンは課長で、責任を上司や部下に押し付け、自分には責任はなく、やり過ごそうとする姿は、日本の組織の課長と変わらない印象です。

馴染みのない東欧諸国の地名がたくさん出てくるので、メモをして、鑑賞後に調べる必要があります。
ナチス・ドイツの組織と役職者についての知識についても必要なので、メモをして、鑑賞後に調べる必要があります。
一度鑑賞しただけでは、理解することはできないでしょう。

今でも、ウクライナとロシアで戦争をしていて、殺戮をしているので、このような映画を理解する必要はあります。
日本中いたるところで行われているいじめ、パワハラ、セクハラも同じような感じなので、この映画を理解する必要はあります。
私もパワハラは、ずいぶん受けてきたので、よく理解できます。
いじめ、パワハラ、セクハラをしている人に何を言っても無駄というのは、アドルフ・アイヒマンが「抵抗しても無駄」、「焼け石に水、蒸発して終わり」と言っているのに同感できます。
今の日本でも、命令に従わないと言うのは大変難しい時代のままですし、日本政府によって、犯罪が隠蔽され、正当化されている時代です。
この映画を理解する必要はあります。
今は私は、早期退職したので、パワハラの心配はしなくて良いです。

ナチス・ドイツによるユダヤ人虐殺に関する映画は数多く制作され、公開されているので、ナチス・ドイツによるユダヤ人虐殺の理解を深めたいなら、以下の映画をお勧めします。
ナチス・ドイツから米国に亡命し、ユダヤ系米国人で政治哲学者であるハンナ・アーレントがこの公判を傍聴し、ザ・ニューヨーカー誌にレポートを発表する実話映画「ハンナ・アーレント」です。
ナチス・ドイツの国民啓蒙・宣伝相ヨーゼフ・ゲッベルスの秘書を務めたブルンヒルデ・ポムゼルが、撮影当時103歳にして初めてインタビューに応じたドキュメンタリー映画「ゲッベルスと私」です。
ユダヤ人虐殺の有無を現代の英国裁判所で問う裁判映画「否定と肯定」です。
絶滅収容所について描かれた映画なら「シンドラーのリスト」、「サウルの息子」、「アウシュヴィッツ・レポート」、「ヒトラーと戦った22日間」、「ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命」です。
ノルウェー人がユダヤ人虐殺に関与した映画「ホロコーストの罪人」です。
この映画が理解できないようであるならば、上記の映画の鑑賞をお勧めします。

今になっても、同じようなことが繰り返されている今、鑑賞するべき映画です。
norisuke

norisukeの感想・評価

3.0
「アイヒマン裁判」の映像をハンナ・アーレントの著作「イェルサレムのアイヒマン」に従って編集したドキュメンタリー作品。映画「ハンナ・アーレント」の公開を記念しての特別上映。「ハンナ」を見てなければ決してこの映画を観ることはなかったと思う。

神経質そうな表情のアイヒマン。彼の主張はいかにも官僚的で確かに凡庸に聞こえる。終始一貫して「命令に忠実に従った。義務を果たした。他に選択肢はなかった」と繰り返す。彼自身の判断ではなかったのだと。

アイヒマン自身が署名して指示を発している行為さえ、「署名せざるを得ない。署名を拒否する選択肢はなかった」という。「この文書に出てくる私というのはあなたですね」と聞かれると「単なる官僚用語です」と答える。

終始モノクロで裁判の様子をたんたんと写しているので、正直に言うと睡魔との闘いもあったけれど、それでも戦争裁判のドキュメンタリーなどあまり見る機会がなく貴重な体験。「ハンナ」を見た後だったので、「ハンナ」の主張を説得力を持って伝えてくれる映像だと思った。

忠実なスペシャリストだったアイヒマンが、裁判の終盤に自分も加担した悲劇を振り返っていう。「ナショナリズムは極端になるとエゴイズムに陥り、そして悲劇を生む。そういう時代だったのだ」。

無自覚に時代に飲み込まれてしまうことの恐ろしさを伝える言葉。

このレビューはネタバレを含みます

どう考えても負け戦の中で淡々と最善手を打ち続ける様はある意味で美学を感じてしまう。

これはとんでもなく恐ろしいことなのだろう。
es

esの感想・評価

3.8

このレビューはネタバレを含みます

1961年にイスラエルで行われたアドルフ・アイヒマンの裁判映像をハンナ・アーレントのザ・ニューヨーカーに発表したレポートを基に編集したもの。

裁判当時、数少ないナチス大物の生き残りでありユダヤ人を始めとする社会の憎悪の対象となっていたアイヒマンを「小役人」と捉え悪の凡庸さと表現したハンナ・アーレントの言葉が終始頭の中に浮かんだ。ユダヤ人でありユダヤ社会からの期待を背負った彼女が、どれほど冷静な目線で裁判を見つめ的確な表現をしていたのか、実際の記録映像の一部に触れ改めて改めて実感した。

ヒトラーは「独裁者であるには自らの行動全てに責任を取らなければならないから大変だ」と当時の駐ドイツ特命全権大使であった大島浩に吐露していたらしい。擁護するつもりは毛頭無いが、少なくともヒトラーは行動に責任が伴う事を自覚していた。巨悪というのは狂人だけでは成立せずただ従うだけの複数の凡庸な悪が狂人の暴走に付き従う事で生まれる。従わなければ酷い目に合うという前例をいくつも見ていれば、自己保身のため加担する。
アメリカで行われたミルグラムの服従に関する心理実験で多くの人々がアイヒマンになり得る事が明らかになった。
裁判当時まるでショーのようにアイヒマンを猛烈に責め立てる事を望んだ人々も、立場が違えば被告席に立っていた可能性が多いにある事を忘れてはならない。

ナチスで起きた事は、小さな世界で言えば、クラス内の"いじめ"(この表現は正しいとは思えないが)もほぼ同じ構造。決して遠い世界の他人事ではない。自分の中にヒトラー、ヒムラー、ハイドリヒなどの要素はなくともアイヒマンの要素は眠っている可能性が高い。歴史から学ぶという重要性はこのような部分にあると思う。

350時間近い裁判の記録映像全てに目を通し、たったの2時間に纏める苦労は想像しただけで頭が痛くなる。
欲を言えば何日かかっても良いのでノーカットで全て観てみたい。
alf

alfの感想・評価

2.7
【これでも人間なのでしょうか】

貴重映像。
たんまり2時間すべて、裁判そのものを撮って切って出したもの。

この法廷では誰が何をどこまで求めていたのだろうか?
検事からすれば勝ち確じゃないのか?
20年ちかくも昔の細かい証拠をほじくってても退屈になってしまう。
終始防弾ガラスの囲いの中で感情を露わにしないアイヒマンのペースで、〝自分はただの戦争期の忠誠心高い役人であり、絶滅を目的とした大量殺戮や残虐行為には心底関係がない〟といった態度。
裁判が終わったらつつみ隠さず本にして、後世に残したいとも口にしてた。
頭脳明晰なんだろうが、折角なら判決の瞬間の顔まで見たかった。


1961年イスラエルの首都エルサレムで行われたこの裁判。判決は絞首刑。
獄中記は出たのだろうか?
トチ狂っていったナチス(国民社会主義ドイツ労働者党)の内々についての証言やアルゼンチン逃亡とかも気になる。
イシ

イシの感想・評価

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まあそりゃこういうドキュメンタリーになるよなっていうドキュメンタリー

っていうか
『ルート181』のこと思い出したのでマークつけとこ~と思ったらページないやん~
エリアル・シヴァンはまだ活動してるっぽいけど、ミシェル・クレイフィ何してるんやろな
アイヒマンだけを被告として裁判するのって難しいなぁって思った

ハンナアーレントのことはよく知らずにみたのだけど、これはちゃんと知ってから観るべきだったのかも...
akira

akiraの感想・評価

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ちょっと演出がくどくて、しかも350時間の記録を2時間に再編しているからつぎはぎ感すごくて物足りない。でもアイヒマンの表情や、立ち振る舞いを観ることができて面白かった。
YUNA

YUNAの感想・評価

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全部裁判の映像なんだけどあっという間だったし、一回たりともアイヒマンの表情が変わらなかった気がした
れん

れんの感想・評価

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正直いうと、かなり面白くない。
それがこの裁判の異常性を示すものの一つ。

って教授も言ってた。
同意しかない
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