灰の記憶の作品情報・感想・評価

『灰の記憶』に投稿された感想・評価

ればこ

ればこの感想・評価

3.5

このレビューはネタバレを含みます

原題はTHE GRAY ZONE。
灰の記憶ってタイトルだと女性的だけど、原題だと男性的な感じがして映画の見え方が変わる気がする。字幕の訳も男性的。私の言いたいこと伝わってます…?
ちなみにGRAY ZONEってゾンダーコマンドの立場を考えるための概念として作られた、確立した言葉らしいです。

しかしジャケットの綺麗な女性はどこに出てた人だったんでしょか…。ジャケットも映画の雰囲気とちょっと違う気がする。ジャケットで想像するとドラマチックな映画に思えるけど、本編は割と淡々とした感じでした。特典映像も「観たかったら観れば?」みたいな感じで、説明とか何もなくて、なんだったら声とかちっさくて聞き取れなくて特典な情報があまりないっていう。

アメリカの映画だからか、なんだか色々綺麗で収容所の生活の過酷さはあまり伝わってこなかったです。処刑とかガス室の残酷な描写はあるものの、収容者の服とかは小綺麗に見えるし、収容所内に草が青々と茂ってるのとかもワァ綺麗だなぁって。

でまたスティーブブシェミの使い方の贅沢さ!ブシェミに目が馴染む前にブシェミ死んでしまいました。ブシェミー。

第2次大戦末期にアウシュビッツ強制収容所で実際に起きた事件をもとに映画化。

第2次大戦中のナチ強制収容所。食事などの特別待遇と4ヶ月の延命とを引き換えに、死体処理作業を行うユダヤ人を“ゾンダーコマンド”と呼んだ。ある日、そのひとりがガス室で奇跡的に生き残った少女を見つけ、何とか命を救おうと奔走する。

彼らにできる最後の抵抗は…。

軍曹役のハーヴェイ・カイテルは、プロデューサーも兼任している。
むぅ

むぅの感想・評価

3.7
"鋼"ではないけれど"豆腐"でもない。

自己分析による、私のメンタルの強度。年々強度を増している事は確か。強くしなやかにありたいが、単に図太くなってるような気もする。
しんどいな、と思いながらも大抵の映画は目を逸らさず観ている、と思う。そして、せっかく映画が好きなのだから、定期的に観ようと意識しているのがホロコーストについての作品。

[ゾンダーコマンド]
絶滅収容所で殺害されたユダヤ人犠牲者の遺体処理を任務とされた、ユダヤ人部隊。
『サウルの息子』で初めて知った存在だった。その事実を飲み込むことで精一杯で、レビューは書けなかった。
先日観た『黄色い星の子供たち』で、美しい景色を眺めながらヒトラーが何気なく「灰は語らない」と言った。殺害し燃やしてしまえ、というその言葉に寒気とも違う震えがした。
語れなくても、その灰に記憶はある。そんな風に描かれているのだろうかと思い、名前だけ知っていた今作『灰の記憶』を観ようと思った。
ちなみに、このコロナ禍でのニュースでユダヤ教は戒律で火葬が禁じられている事を知り、有毒ガスで殺害し焼却炉で灰にするその行為が幾重にもおぞましく、魂までも何度も何度も殺す行為だったのだと今更ながら思う。『サウルの息子』を観ている時にはそこまで考えが及ばなかった。
ゾンダーコマンドに関する資料を読んでいて、焼却後の灰は1人の大人で640gという記述を見つけ、指先まで冷たくなった。


ゾンダーコマンドになる報酬、それは4ヶ月の処刑延期。
「どうせ死ぬのだから」
彼らはその前に焼却炉の破壊を企てる。
そんなある日、ガス室で少女が奇跡的に生き残っているのを見つけて...。

実際の事件がベースになっている。ゲットーや収容所での反乱を描いた作品はこれまで『ヒトラーと戦った22日間』しか観たことがない。『ヒトラーの贋札』も多少はその要素があるが。
ギリシャ語で"焼かれたいけにえ"を語源とするホロコーストで亡くなったユダヤ人は600万人とされる。
嫌な表現になるが、その600万人を"分母"とするならば、私が知らないだけかもしれないが反乱を描いた作品はとても少ないように思う。抵抗ではなく、反乱。
それほどまでに、魂を削がれるような加害行為だったのだとも思うし、知られていないだけで握り潰された数々の反乱もあったのだとも思う。

ゾンダーコマンドの生存者 シュロモ・ヴェネツィアさんが「1、2週間すると、結局慣れてしまいました。すべてに慣れました。むかつくような悪臭にも慣れましたね。ある瞬間を過ぎると、何も感じなくなりました。回転する車輪に組み込まれてしまった。でも何一つ理解していない。だって何も考えていないんですから」と語っていた。
私はその言葉でアイヒマンを思い出してしまった。
ゲシュタポのユダヤ人移送局長官でアウシュヴィッツ強制収容所へのユダヤ人大量移送に関わったとされるアドルフ・アイヒマン。
イスラエルでの裁判を描いた『スペシャリスト 自覚なき殺戮者』や『アイヒマンショー/歴史を写した男たち』で、彼は「私の罪は従順だったこと。命令に従う責任を果たしただけ。歯車の一つに過ぎない」といった発言をしている。

"思考不可能な状況に追い込まれること"と"思考しないこと"には大きな隔たりがある。
「歯車だった」という共通する彼らの発言は同じではない。
けれども、"脱人間化の極限"へ堕ちていくための歯車。
急斜面を下る加速する"歯車"を止め、そこから登っていくために必要な数々のものの中に"思考"があるのだと思う。

『灰の記憶』で、アウシュヴィッツに到着し、そのままガス室に送られるためのユダヤ人の長蛇の列、その横で明るい音楽を奏でる縞模様の演奏者たち、その背後にある煙突から立ち昇る黒い煙の1枚の絵のようなカットがあった。
静かに、でも、急速に堕ちていく。忘れられない映像だった。

「アウシュヴィッツはどうしてドイツじゃなくてポーランドにあるの?」
「アーリア人以外をドイツに入れたくなかったんじゃないかな」
「?」
歴史の授業でホロコーストに触れ、ふと疑問に思った事を父に聞いたらそう返ってきた。
その時は全くピンとこなかったが、今ならその言葉の持つ"嫌な強さ"がわかる。

強く、しなやかであるために。
"思考すること"は大切。
そう思う。
ふふふ

ふふふの感想・評価

3.8
とにかくガンガン死んでいく、ガシガシ殺される、生き残ったって希望なんてありゃしない。

このレビューはネタバレを含みます

徹底的なリアルさ、生々しさがある。

『ライフ・イズ・ビューティフル』はぬるいと感じてしまうほどに。
最後の少女
怨念のこもったような声が怖い。

彼らは漂い、どこにでもいる存在となった。
重たかった。

簡単に人が死んでいく世界。
サウルの息子でこの人たちの存在は知っていた。
想像を絶する世界だと思う。

ドイツ兵も次死ぬのは自分かもしれないという
恐怖のもとで生きている。

戦争は何も生まない。
ましてや虐殺なんてもっとうまない。
しんどすぎた。
2020-09-01 ぽすれん
アウシュビッツが舞台だが、コトバは英語
米国インデペンデント系の役者を動員
全体的に暗い作品だった。
実在したユダヤ人医師の手記を基に作られた本作。ガス室で亡くなったユダヤ人を、同じユダヤ人が処理することで処刑を延期にしてもらえる部隊の話。
拷問シーンはあるけどエグい描写は特になく、精神面では安定して観ていられるけれど、観たあとに何も感じなかった。
そういう部隊が存在することは知っていた。ただ彼らがどういうことをしているのかは知ることができた。
そんなもの食べてるの!?と驚いた。
mh

mhの感想・評価

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絶滅収容所のゾンダーコマンドについての映画。
ユダヤ人の処刑の手伝いや死体処理の使役をするかわり、四週間だけ処刑が延期になる。その恩恵に浴しているのがゾンダーコマンドで、彼らもまたユダヤ人たちだった。
「サウルの息子」ではわからなかった、ゾンダーコマンドの日常も描かれていた。
この映画のナチス親衛隊は大量にひと殺す。拷問シーンも長かった。
表面的にキツいので話が面白いかどうかなんて関係なくなってる。
こんなことが地上で行われていたということを信じたくない。でも、おそらく現在進行形で似たようなことが起きている。
つくづく戦争はよくない。
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