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牛
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『牛』に投稿された感想・評価

3.7
この映画のことを思い出すことがあるとすれば、それは台詞もなければ役名すらない(であろう)村人たちの表情、そしてその佇まいだ。今でもイランでこのような画を撮ることはできるのだろうか。
牛を実際に殺したのかどうかも気になって仕方がない。法のみならず、道徳や倫理も不遡及であるべきと理解はしているものの、(あんなにかわいい)牛を引き摺って穴に落として砂をかける画を撮るために殺すという感覚は、今の私にはどうしても受け入れ難い。砂をかけられる度に揺れる小さな耳を忘れられる日はいつになるだろう。
東京フィルメックス2本目は60年代の伝説的なイラン映画。それもデジタルリマスター!

イランの牛飼いのおじさんのほのぼのした話、またはブラックユーモアな作品かと思ったら、、どちらもハズれました^^;

おお、これは中々強烈な映画。

村で一頭しかいない牛を飼ってる男。この牛が、ロバか仔馬みたいで可愛いのです。だから、男は溺愛してる。娘であるかのように。

そんな彼が留守の間に牛が、、。

牛への過剰な愛情が男を狂わせる。それに慄く村人達の右往左往をちょっとホラー的なリアリズムで描いていてます。

初めは同情的だった村人達も、男の狂気の姿に、少しずつ彼を見る目が変わっていくあたり、何か裏側がありそうな気がします、イランですから 笑。

もっと地味な映画かとも思ったのですが、音楽もカットも結構斬新です。そのあたりがニューウェーブと言われる所以でしょうか。

この映画はイランにおける「羅生門」にあたる存在らしいです^_^
Omizu
3.7
【第32回ヴェネツィア映画祭 国際映画批評家連盟賞】
イランのダリウシュ・メールジュイ監督作品。ヴェネツィア映画祭コンペに出品され国際映画批評家連盟賞を受賞、ベルリン映画祭フォーラム部門にも出品されOCIC賞を受賞した。

日本ではソフト化されていないイランの名作映画。ヴェネツィアとベルリンどちらにも出品され賞を受けているという珍しい作品。

男が大事にしていた牛が出張に行っている間に死んでしまい、村人たちはそれを隠そうとするが…

イラン・ニューウェイブの先駆けと言われる作品で、ソリッドな撮影と厳しいストーリーがなかなかに鋭い。ある種の寓話とも解釈でき、ミステリアスな三人の兵隊は国というものの象徴か。

徐々に自らを牛だと思い込み狂っていく男、その狂気が村中にたちこめる。シンプルなストーリーながら村が箱庭のようにみえる撮影や演出が素晴らしい。

陰影を活かした映像や狂っていく男の演技も迫力がある。日本ではなかなか観ることのできない作品であるが、この機会に観られてよかった。

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