イワン雷帝の作品情報・感想・評価

「イワン雷帝」に投稿された感想・評価

二兵

二兵の感想・評価

4.0
セルゲイ・M・エイゼンシュティン監督による、旧ソ連時代の大作。

その苛烈な性格から"雷帝"の異名を取ったモスクワ大公国出身のツァーリ(ロシア皇帝)・イヴァン4世を主役とした作品。

皇帝vs大貴族の構図。親衛隊の力も借りて、貴族は弾圧し、農民には農奴制を施し、カザン=ハン国など、周辺の国を次々と領土に組み込んでいく皇帝。恐ろしかったが、衣装・美術など美しさを感じさせるところもあった。

観て思ったのが、見得を切る皇帝など、演劇的な要素が多分に含まれているなという事。そして雷帝を始め、登場人物たちの目つきが怖い。執拗なほどのクローズアップにより、インパクトは抜群。

そして皇帝を演じた俳優の成り切りぶりが、長身な体躯と目力もあって、もう凄まじくて…。

ほぼ白黒だが、終盤はカラー。皇帝の憤怒を表すかのような赤色がとにかく目に残る。しかし、一部二部合わせて3時間もあり、正直眠くなってしまった。

時のスターリン政権に第2部の出来を批判され、第3部が幻となってしまったそうだが、作中で描かれるイヴァン4世とスターリンが、被って見えたのは気のせいではないだろう。実際、スターリンはイヴァン4世を尊敬していたそうだし、第1部で描かれた、偉大な指導者としての皇帝の姿は、プロパガンダの側面もあると思う。

この映画の続きを是非見てみたかった。
演劇や絵画のように極端に様式化され整然とした演技・構図。ほとんど瞬きせず目を剥いたり睨み付けたりの俳優陣の形相は浮世絵の役者絵のよう。貧民と貴族とでは目のキツさがまた別種

絶対主義を志向するイワン4世と大貴族・教会勢力との闘争。イワンは理解者を失い孤立を深め、益々非情となり「雷帝」が誕生する。時を経て峻険になっていく彼の顔

うごめく濃い影が随所で印象に残る。イワンと、天球儀を挟んで臣下の影が壁面に映じるショットでは、イワンのそれが異様に巨大。第二部終盤、ウラジミルに臣下たちがゾロゾロ付き従うシーンの無数の影も不穏

ロシア貴族のファッション、皆体躯が巨大な上に盛りに盛ってて超すごい。平民による皇帝親衛隊の揃いの黒いコートもカッコいい

第一部ラストの、地平線まで続くかと思われる民衆の十字架行進がヤバい!その手前にイワンの横顔のクロースアップを配置したのはさらにヤバい
迫力のある幾多のショット、美しきセットの数々。素晴らしい映画でした。
イワン雷帝。凄いのだが第2部は迷子な気が。ラジンスキーによるとスターリンは第1部はお気にで病気で引退しようとするくだりはまんまらしい。(やめないで下さいと言わなかったやつらは全員粛清された)。第2部ラストの極彩色はしゅごい。
ハマオ

ハマオの感想・評価

4.2
黒澤明が選ぶ100本の映画に入っていたのを知り興味本位のつもりで見て第一部のスケール感、第二部の豪華絢爛なる宮廷闘争劇や作品を盛り上げるダンス、作品全体で目を見張るショットを連続して作品の完成度を高めていると実感した。
ただ、イワン雷帝と同じ時期か少し前に作られた風と共に去りぬ、駅馬車、市民ケーンなどを先に見ていると編集などで技術的に違和感を感じてしまう点も少々。
DVD盤では傷などが多く、モスフィルムが修復した2K修復版をyoutubeで公開されているため作品の画のキメキメ感を楽しみたい人はそちらを見た方が良い、ただし日本語字幕は無いです。
やはりこの作品は70年以上経っても数々のショットが名画だと感じさせてくれると実感しました。
milagros

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4.1
ショットがそれぞれで強いのに、連関するとやばい。人間こわい。
KICCO

KICCOの感想・評価

4.0
完全にホラーだな😆
カラーになる宴のシーンは溢れる人!『戦艦ポチョムキン』のオデッサの階段を彷彿とさせる。
好きでした〜!
昔BSで観てブッとんでアナログ時代の映画技法の超絶面白さに興奮。後にコッポラが『ドラキュラ』でこれの技法をそっくり再現してたり、スコセッシがヒッチコック技法をデジタルがんがん使って再現してるの観てもやっぱり映画は面白いなと思える。面白くないのは技術だけの映画。結局アナログもデジタルも只の技術で、はて役者を見れば、その声を聞けば技術を支えていた人間自体の厚みの違いがドーンと見えてきて、なんかもう歌舞伎と能とシェークスピアとインドネシア影絵芝居とサスペリアを合体させて煮込んだみたいな猛烈古典。そんなこんなでCG技術に侵食され気味のお目々も洗われた気分。けどジュラシックワールドIMAX3Dで観たいよ。あと雷帝の骨格はめっちゃメーテル。
abdm

abdmの感想・評価

4.0
イヴァン雷帝の戴冠と没落の物語。
本来は3部構成予定であったが、当時2部がスターリンの政治姿勢を風刺し批判しているように見え、公開は1部のみとなり、3部目が作られることはなかった。
端的にいうと、
1部がイヴァン雷帝が皇帝になり老害からごちゃごちゃ言われながらも平民からの支持を獲得していき、世界的にも台頭していく話で2部がその老害どもを粛清し独りぼっちになるという、『ゴッドファーザー』『ゴッドファーザー2』が踏襲したような話。

貴族と教会から金を貪り、それに対して老害がギャーギャー言ってるのは滑稽で楽しかったし、なんなら粛清された時はバーフバリッならぬイヴァーーーーーンとなったがこの考えは過激なのかな?
スターリンなんざこれっぽっちも賞賛してないけどイヴァーーーーンはカッコいい。

そしてなにより2部ラストの曰く付きシーン!!
2時間半以上ずっと白黒映像だったものがラストの30分で全画面が赤色に変わる。
『サスペリア』の妖艶不気味なネオンの赤、『マルホランド・ドライブ』の混沌とした暗い赤とはまた異なる力強い赤が観れる。
lag

lagの感想・評価

3.7
イヴァン4世の話。眼球がギョロギョロしてる。まさに総合芸術。第2部の終盤は極彩色の世界。

全3部の予定で1946年に第2部を製作したものの暗に政権批判をしたとされてそこで打ち止めになり、第2部の公開は12年間公開延期されたという曰く付き。第1部は彼を敬愛する時の最高指導者スターリンも絶賛したという。
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