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天使の影
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目次

天使の影の作品紹介

天使の影のあらすじ

とある都会の片隅に立つ娼婦リリーは、その繊細な性格から仲間内では浮いた存在。家に帰ればヒモ男ラウールに金をせびられる日々。そんなある日リリーは闇社会の大物であるユダヤ人に見初められるが、次第に破滅願望が強くなっていく。反ユダヤ的とされ非難を浴びながらも、今なお世界中で繰り返し上演されるファスビンダーの戯曲「ゴミ、都市そして死」を、親友でもある『ラ・パロマ』(74)、『ヘカテ』(82)のシュミット監督が映画化。主演はファスビンダーと一時期結婚していたイングリット・カーフェン。露骨な台詞が散りばめられ、絶望に満ちた物語ながら、名キャメラマン、レナート・ベルタが描き出す退廃美に溢れた映像は限りなく素晴らしく、全編に夢のような心地がたゆたう。

天使の影の監督

ダニエル・シュミット

原題
Schatten der Engel/Shadow of Angels
製作年
1976年
製作国
スイス
上映時間
101分
ジャンル
ドラマ

『天使の影』に投稿された感想・評価

5.0
映画とは何か?音声つきの動画は、不可逆的な時間の流れで観るものに供与される。音楽が付与されることが一般的で、演出の一部となる。大抵、2時間前後の長さで、なんの予備知識もなく観に来る人も多い。

上述以外に特に定石はない。セックス、暴力、恐怖、政治、宗教、家族、近未来、絶望、憎悪、ペーソス、料理、愛情、スポーツ、金儲け、戦争、何を描こうが自由だ。映像作家が描いた作品と鑑賞者がシンクロ出来た時に、えも言われぬ感動を呼び覚ますこともあれば、唾棄すべきと感ずるような嫌悪しか感じないこともある。薬のように、癒しを与えてくれることもあれば、毒にしか感じないこともある。

脚本だけで、本作の監督こそしてないが、ファスビンダーは、恐らくは、"映画"を撮り続けなければ、人生を全うすることが出来なかったのだろう。だが、真にクリエイティブな仕事には異常なパワーを必要とするのだろうか。薬物に依存してやがて自分自身を破滅させていくファスビンダーの内面の葛藤と、作品を作り上げていく喜びと、両方私たちは見ているのかもしれない。まさに、薬と毒と。

戦後の西ドイツの復興期から東西統合前までを生きた中で、ネオナチとも誤解されかねない描写に満ちたこの過激な作品は、人生という汚穢に満ちている。登場人物たちは、破滅へ向かっているのが分かっているのに、それを止めることは出来ない。それを美学としたファスビンダーは、最初から死の予感に捉えられた映像作家だったような気がする。

プラトンは、ソクラテスの口を借りて、エクリチュール=書き言葉、より、パロール=話し言葉の方が、言葉として意義のあるものだと、エジプト神話の逸話を借りて語っている。だが、映画には脚本というエクリチュールがあって初めてパロールが顕現する。繰り返しになるが、薬が治療にも毒にもなるように、ものごとには全て両義性がある。

ファスビンダーは、破滅と創造という両義性を体現した映像作家だったのだろうか。そんなことを、つらつらと考えてしまう作品だった。
4.2
 オペラが鳴り響く鉄橋の下では何人もの娼婦たちが連れ立って並んでいる。その中から美しい娼婦たちが次々に消えて行く。その品定めの瞬間だけが男と女がときめく瞬間なのだ。美しく知的な野心家のリリー・ブレスト(イングリット・カーフェン)は男たちに積極的に愛してもらおうとは考えていない。彼女は退廃的で哲学的な言葉を吐くばかりでセックス・アピールのないほとんど客の付かない娼婦だ。彼女は、自分が稼いだわずかなお金をひたすら競馬やギャンブルに費やす怠惰なボーイフレンドのラウル(ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー)に全て注ぎ込んでいる。いわゆるジゴロの洗脳に完全にやられたリリーはダメ男を更生させるのは自分しかないと思い込む。当時、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーの2人目の妻だったイングリット・カーフェンとは離婚してそんなに時間が経っていないが、今作の主演女優に彼女を起用し、自分は彼女の恋人と脚本を担当するというある種、倒錯的な構造を持つ。然しながらナチズムの迫害から逃れ、自由を手にした金持ちのユダヤ人(クラウス・レーヴィチュ)と呼ばれる町の権力ブローカーは彼女の内面の魅力に気づき、愛人として経済的に囲って行く。街の有力者に圧倒的な劣等感のあるラウルはリリーの無意識的な姿勢に絶望し、男への嫉妬を繰り広げる。

 別れた元妻と悲劇的な男のこんな痴態を自分で監督せず、盟友で共同経営者のダニエル・シュミットに監督させること自体、いったいどんなプレイなのかと思う。驚くべきことに自分はフリー・セックス、フリー・ジェンダーを公言している人物で自分は良くても、相手が別の男にのめり込むことは心中穏やかではいられないラウルという人物をライナー・ヴェルナー・ファスビンダー本人が嬉々として演じる。ファスビンダーは言葉に出来ない言葉を無意識的に映像化していたのだ。『イノセンツ』の猫の落下の描写が今作にもオーバーラップして驚いたが、暴力が無ければ成立しない恋愛関係を共依存と呼ぶならば、今作は観念の檻に閉じ込めたはずの男の病巣から、ヒロインを掬い上げんとする奇妙な男が立ち現れる。街の秩序を一手に引き受けようとする男の姿は明らかに腐敗しているが、リリーには被膜に満ちたそこが見えない。リリーの衣装の白と黒の変化も見事だ。社会的規範や社会正義のみで時代の空気を切り裂こうとするラウルも名無しのユダヤ人もまた、世界の秩序にアンチテーゼを説き、この世界でもがき苦しむ。然しながらファスビンダーはリリーの父のミュラーがユダヤ人虐殺に大きな影響を及ぼした人物であることを明示するのである。同僚のエマ(イルム・ヘルマン)の冷笑と壁際の決別を3度繰り返す物語は、処刑を完了したかに見えてその辺りの結末をぼんやりとしか示さない。レナート・ベルタの図式的な構図も女たちが嵌った蟻地獄のような世界と愛の不毛を切り取る。極めて演劇的な悲劇的な戯曲を映画に落とし込むならこれしかないだろうという所にダニエル・シュミットの演出はピタッ、ピタっと落とし込もうとする。その様子が痛快で、ファスビンダー研究にとっても別視点を運び込んでいる。
3.5
ライナー•ヴェルナー•ファスビンダーの戯曲『ゴミ、都市そして死』をダニエル•シュミット監督により映画化された異色作。

確かに映像美を得意としている監督だけあり美しかったのですが、これは単純に好みではなかった。

戯曲とあり、まさに舞台劇風。台詞が敢えて詩を棒読みするような感じ。言葉が全く入って来ず。

このジャケ写のイナバウアーもどきのようなシーンは凄かったです。
主役の娼婦リリー役をイングリット•カーフェン(細過ぎて折れそう、なんか若い頃の浅丘ルリ子みたい)が演じていますが、抱き抱える男はリリーのヒモ男ラウール役のファスビンダー(若くて細くて下世話な言葉しか吐かないクソ野郎が似合ってる)
この2人、数年前は2年間夫婦だった。
ファスビンダーの作品は性別関係なく、元カノや元妻やリアル彼氏だの内輪で制作してるのも観ようによっては面白いのだけどね。

なんか観ていて不愉快さが勝ってしまい、芸術性は解らないではないけど...あくまで好みの問題。
ファスビンダーの戯曲性が強い作品は苦手気味です。

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