映画武士道

ソード・アーチャー 瞬殺の射法の映画武士道のレビュー・感想・評価

4.5
超多忙だったために本当に久しぶりのレビュー。レビューの腕が落ちてるかも(もう一つの趣味の写真のコンテストで大きな賞レースがあり、かなり本気でやっていたため寝る間も惜しんでそっちやってました)

結論としては非常に面白い!
ただしこの作品はストーリーを楽しむものではありません。ストーリープロットとしては稚拙というかチグハグというか・・・何をしたいの?と思わせるとこがありますがそこもリアルな人間らしさを感じました。(リアルな人間て結構いきあたりばったりだったりするじゃないですか。私の空手の師匠も元自衛官で私が師事していたときは空手家になっていましたが、本業は別にあって紆余曲折の人生って感じでこの主人公に似た感じでした)
武術の空気感を楽しむ作品です。
私も若いころは空手をやっていまして、私の住んでいる湘南も昔は怖い人たちがたくさんいたのでストリートファイトの実戦も何度か経験したことがあります。
(主に怖い人たちに絡まれたのが原因。全て撃退していますが私も無傷ではなく殴った指を折っちゃうことが多くて病院通いになることが多かったです・・・とほほ。才能がないんだよなあ。空手の。これでもそこそこ有名な空手の先生に師事していました。先生は元自衛隊のレンジャー部隊出身と言うこともあって実戦でもめちゃくちゃ強かったそうです。先輩方も実戦で武勇伝を語っていましたので強かったみたいです。私は本当に不出来な弟子。)

私もそれなりに実戦の空気感というのを知っていますので、この作品の戦闘シーンのピリピリ感。空気感はだいぶ実戦に近い感じで楽しめました。
派手なカンフーアクションではないのですがこの空気感を作れるのは「グランド・マスター」の武術顧問シュ・ハオフォンが作ったからでしょうか?素晴らしいです。
この方の情報を少しググりましたがこの方も武術家だったりするんでしょうか。

ストーリーとしては乱暴者の若い男が寺で改心を迫られる。
まっとうな人間に生まれ変わるために名前を捨てろ。寺から出たとき最初に出会った人間の名前をもらって生きろ。と言われます。
そうして出会ったのがなんと、伝説の武術家柳白猿。
柳白猿は武術流派同士のもめごとのいざこざを治めるために抗争に乗り込んで双方を武力で制圧するという伝説の武術家という設定(昔の武術界は自分の流派の宣伝のために他の流派に喧嘩を売って潰すようなことを結構やっていた。)。例えるなら圧倒的武力で紛争に介入していくガンダムWですね。
武術界の正義の執行者ということなのですが、そのため恨みを買いやすく歴代の柳白猿は途中で命を落としてしまい短命な運命らしい。
主人公の師匠になる先代柳白猿はたった7年しか持たずに死亡。(作中で死因はよくわからないですが、武術の怪我が元になってる感じです)

その柳白猿の名を受け継いだ主人公。武術界の正義の執行人として生きていくのですが、たえず命を狙われるその生活はかなり殺伐としていて緊張感に溢れている。
そんな中出会った謎の武術の達人の老人。最強と言われてる老人らしいです。
そして武術と正義の命を捧げると誓ったはずの主人公に訪れる恋の予感!
柳白猿の武力を目的に政治結社の残党の美人ちゃんが父の仇を打つために力を貸してくれ!みたいなことを言ってハニトラをしかけてきたり、芸者みたいな美人ちゃんに言い寄られます。
でもその女は実は武術の達人の老人の若い奥さん。すごい老人なのにモテモテらしく、しかも奥さんを柳白猿をスパイさせる目的で奥さんにハニトラをしかけさせる。怖い。
主人公の周りの人間がとにかくみんな怖い人ばかりで孤独ですね~。寄ってくるのは命を狙ってくるやつか柳白猿の武力を狙って利用しようとしてくるやつばかり。正義って大変なんだなあ。
そんな主人公柳白猿もついに負ける時が来てしまいます。腕の筋を着られてすまきにされて川に投げ込まれる。(北斗の拳のケンシロウも負けて同じようなことされて九死に一生を得ましたね)。無事生還するも、主人公はもう柳白猿やめちゃおう!無理!故郷に帰る!
としたんですが故郷に帰ってみると故郷は荒れ果てて誰も家族は残っていない・・・唯一の肉親だった姉は村人に強姦され、それを恥じてどこかに行ってしまったらしい・・・
怒りにまかせて姉を強姦した犯人に制裁を加える。そして姉を見つけ出すことを新しい目標にした主人公ですが姉は見つからない。
結局、武術界に戻る柳白猿(武術がやっぱり好きなんでしょう、あと負けたままだったのは相当心残りだったと思います)そして最強と言われる謎の老人達人に挑んでいく・・・というストーリーです。

ストーリー全体に中国作品でよくある無常感。(人生ははかない、思い通りにいかないままならないものだ。みたいな)
謎の老人達人も若いころは実は政治家を目指していたらしいのですが、全然そっちの才能がなく早々に諦め武術を極めて国を救えるような指導者に護衛として仕えるのが夢だったみたいなのですが何十年もかかって老境に入りやっと見つけたようやく仕えるに値する指導者も達人が所用で目を離した隙にあっさり暗殺されてしまいます。
最強と言われるほど武術を極めてもどうにもならない世の中・・・
主人公も結局人生思い通りにはいかない。それでもあきらめずに生きていく・・・そんなストーリーです。
私は結構こういうの好きですね。人生って結構そういうものじゃないですか。頑張ってもなかなか結果がでない。理不尽な目にあう。いい人が憂き目に遭う。
だけどもそんな世の中でもなんとか生きていくしかない。そんな作品です。
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