めちゃくちゃおもしろい史劇でした。

19世紀のナポレオンの時代、
名誉をかけた決闘をテーマにした2人の男の物語。

VHSの頃、
『バリーリンドン』とか『山猫』の並びにあったので、レンタルして観てみました。

美しい風景と緻密なセット、ゴージャスな衣装が組み合わさり、19世紀のフランスの雰囲気が再現されてます。

話が進むうち、ある思いが頭をよぎります。

しつこく食い下がってくるアイツってエイリアンみたいじゃない？

監督は、リドリー・スコットでした。

長編デビュー作だったんですね〜

デビューからセンスあるなぁ、と思いましたよ。

人間て、わけわからず執着されるのが怖いのです。

恐怖を煽る心理の本質という普遍的テーマの側面がおもしろかったです。

21世紀でも、破滅型のストーカーとか、名誉毀損の裁判を繰り返すYouTuberとか、存在だけで恐ろしいものがありますよ。


1800年、フランス軍士官のデュベール中尉（キース・キャラダイン）は、フェロー中尉あての軍令伝達の任務を受ける。

フェロー中尉（ハーヴェイ・カイテル）は、有力者の甥と剣を交え、重傷を負わせたかどで、謹慎処分を下された。

デュベールは、フェローにその旨を伝えただけなのに逆恨みされてしまう。

そして、決闘を申し込まれた。

デュベールだって、名誉を重んじる軍人だから、それを受けざるを得ない。

2人の最初の決闘は引き分けに終わるものの、それ以来フェローはデュベール打倒に燃える。

フェローは、デュベールの行く先々で難癖をつけて、決闘を挑んでくるようになる。

デュベールは辟易しながらも、2人の決闘は15年間も続く。

ナポレオン帝政の崩壊後、デュベールは時流に乗って順調に出世し、結婚を機にフェローとの関係を終わらせようとする。

一方、フェローはくすぶっている。

そして、諦めずにデュベールに決闘を申し込んできた。

デュベールは、フェローとの6度目の決闘にいどんでいく…

記録。
プライドの害悪。

『最後の決闘裁判』が好評のリドリー・スコットが1977年に放った長編デビュー作。あの『エイリアン』の2年前の作品だ。

本作は18世紀末〜19世紀のフランスを舞台にした歴史ドラマとなっている。タイトル通り決闘がテーマであり、決闘を挑む者と挑まれる者の長きにわたる因縁が描かれる。

正直、左右の跳ねたちょびヒゲに三つ編みクルクルなオッサンが剣を振るような世界観が非常に苦手なので、真面目に観る気が起きなかった。なので終始入り込めずに鑑賞を終えたことを前置いておこう。

決闘好き(←これがそもそも理解不能)のハーヴェイ・カイテルが、決闘中に市長の甥を負傷させる。ソレはアカンやろ！てなった将軍のオッさんが、謹慎や！お前伝えてこい！とキース・キャラダインをパシる。素直に従うキャラダイン。

そうこういう事でお前謹慎やで、と伝えるキャラダイン。それを受けて、なんでやねん！とキレてキャラダインに決闘を申し込むハーヴェイ・カイテル。

これほどキレイな逆恨みを僕は見たことが無い。いや、一応女性の面前で恥をかかされたという彼なりの理由はあるんですけどね。にしても…んー下らん。

以降、事あるごとに難癖つけて決闘を仕掛けてくるハーヴェイ・カイテル。マジでしつけーしうぜぇ…！(笑) 無駄にプライドが高く粗暴、そして粘着質。現代であれば(当時もか？)最も嫌われるタイプやな。

リドリー・スコットならではの映像美は目を惹くものの、前置きの通り真面目に鑑賞する気が起きなかった僕にとって、200年前のヨーロッパに存在したストーカーを眺める映画でしかありませんでした。

お好きな方、ゴメンなさい…。

執念と名誉の決闘


　リドリー・スコット監督の長編デビュー作で、人間の執着と矛盾に満ちた壮絶な物語。ナポレオン時代のフランスという厳格な階級社会と名誉を重んじる文化の中で、フェローとデュボールという二人の将校が、些細な誤解から始まる決闘にその身を捧げていく姿は面白おかしくも圧倒的な人情に包まれています。

　この先、数々のリドスコ映画でもテーマとして描かれる「決闘」という行為がもつ心理的な深みを丁寧に掘り下げる。彼らの執拗なまでの敵対関係は、時代の流れや個人的な成長を超えた「因縁」そのものとなり、名誉や復讐心が彼らの生きる指針を歪ませていく過程が緻密に描かれています。

　リドスコが得意とする映像美はこの時から桁違いで、陰鬱な風景描写が登場人物の内面的な葛藤や物語のテーマ性を一層際立たせています。とりわけ、決闘シーンの撮影には『バリー・リンドン』のようなリアリズムと詩的な美しさが融合し、芸術性を極めています。

　自己破壊的な名誉観が引き起こす悲劇を浮き彫りにし、人間の脆さと愚かさを鋭く描写した本作。リドスコの全てがここから始まったのかと思うと感動してしまいます。次作が『エイリアン』、その次が『ブレードランナー』だもんな。

2024.11.6 初鑑賞