マクガフィンさんの映画レビュー・感想・評価 - 41ページ目

四月の永い夢(2017年製作の映画)

3.6

3年前に亡くなった恋人による喪失と、前に進めなくなった女性の再生の物語。

ゆったりした長回しのシーンが多く、会話のテンポも緩やかに。個々の描写の帰着の緩さや曖昧さが、主演女優の滲み出るようなやさしい
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セラヴィ!(2017年製作の映画)

3.4

パリの結婚式を舞台に、人々の人生と思惑が痛快に交差する様子を軽妙なタッチ描いたドタバタ人情喜劇。

冒頭から続く序盤の皮肉、罵声、怒号に、「ザ・スクエア」を彷彿させる、寛容のキャパを測られているよで引
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少女邂逅(2017年製作の映画)

3.7

高校3年生の進路の岐路に立たされるような、思春期の終わりを迎える多感な時期。現在・将来の不安や鬱積が混在してバランスが崩れる刹那的な少女の青春の終焉を独自の映像美で繊細に表現していて、大いに堪能する。>>続きを読む

ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー(2018年製作の映画)

3.1

スター・ウォーズ(SW)シリーズのスピンオフ作品。

ハン・ソロという名前の由来、チューバッカとファルコン号の出会い方などの旧三部作などにリンクする起源や謎や経緯の細部が可視化された喜びや、謎が分かっ
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パンク侍、斬られて候(2018年製作の映画)

2.3

権謀術数による企みは、妄想的な仮想敵の脅威を煽るポストトゥルース手法だけでは物足りず、仮想の敵を実際に作り、貧困のコミューンとするカルト集団化して暴走し、虚構と現実が揺らいでいる模様は日本の社会や人々>>続きを読む

焼肉ドラゴン(2018年製作の映画)

3.5

高度経済成長期の片隅で、誰もが貧困に喘いでいたが、それでも寄り添いながら助け合い、ひた向きでたくましく生きていくことに心を掴まれる。
日本と韓国の狭間で戦争や政治に翻弄されながら、如何に国有地を不法占
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フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法(2017年製作の映画)

3.8

フロリダ・ディズニーワールドに関連した設定が良い。東京ディズニーランドは、土を盛り、木で遮り、パーク内から外部の余計な景色が入っていない設計である。おそらくフロリダも一緒だろう。徹底的に外の情報を排除>>続きを読む

Vision(2017年製作の映画)

3.2

永瀬正敏の渋い表情に終始することやジュリエット・ビノシュの微妙な表現で行間や心情の解釈を委ねる演出は、双方とも面白みに欠ける役だが、外国人女優と日本人男優の組み合わせた違和感を感じないことは好感で、邦>>続きを読む

アイ, トーニャ 史上最大のスキャンダル(2017年製作の映画)

4.0

トーニャとDV夫の食い違う証言を基にしたモキュメンタリー的な構成で、トーニャの半生と事件までの経緯とその背景が描かれる。

貧困から脱出するために、娘を幼少の頃から全てをフィギュアスケートに縛り付けた
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フューチャーワールド(2018年製作の映画)

1.9

灼熱の砂漠を舞台に無秩序な荒廃した未来を演出したいと思うのだが、既視感溢れる設定やご都合主義な展開と雑なディテールが全編を通して続くことに驚きを通り越して呆れる。

傍若無人な暴君が暴れまくるが、美女
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オンリー・ザ・ブレイブ(2017年製作の映画)

3.4

山火事の知識が殆どなく、気候が関連しているとはいえ頻繁に火事が起こることは想像できないが、江戸時代の大火事の防ぎ方と違う、気候によって変わる火の進行方法を予測しながら火をもって火災を制する方法に興味津>>続きを読む

ニンジャバットマン(2018年製作の映画)

3.3

バットマンのクールさとジョーカーとハーレイ・クインのカオスでブッ飛んだ対比が良く、アニメならではのオフビートな展開はエネルギーやバイタリティーに溢れて、ジョーカーをメタ的にしたようにも。ハーレイ・クイ>>続きを読む

そうして私たちはプールに金魚を、(2016年製作の映画)

4.1

祭りの金魚すくいの狭い水槽に閉じ込められた金魚を自分達に見立てて解放するが、その場所がプールなことが田舎の閉鎖感を象徴しているかのようで興味深い。プールは水槽に比べれば広いが枠には変わりなく、狭い世界>>続きを読む

空飛ぶタイヤ(2018年製作の映画)

3.3

予備知識なしで観賞したが、冒頭のシーンで三菱自動車リコール隠し事件がモデルなこととタイトルの意味がわかる。人が亡くなっているのに、それでも変わらない隠蔽体質は空いた口が塞がらなく、落ち度のない事故を起>>続きを読む

ワンダー 君は太陽(2017年製作の映画)

3.5

難病・差別問題を題材としたシンプルな催涙系や教示系映画かと思いきや、生まれつき顔立ちが人と違う少年オギーの成長譚を主軸とし、その周囲の人々の視線を取り入れる語り口の変化とドラマの幅を広げて絡ませるのが>>続きを読む

わたしは、ダニエル・ブレイク(2016年製作の映画)

2.9

日常生活でありえそうなエピソードやイギリスの福祉制度と貧困の実情を淡々と積み重ねによって共感を誘うスタイルはケン・ローチならでは。声高ではないが、まくし立てるようなシビアな皮肉や批判は大仰だが、字幕だ>>続きを読む

女は二度決断する(2017年製作の映画)

3.3

ある日突然愛する夫と息子をテロで失ったヒロインの苦難の日々は、心象背景の淀んだ空や雨のように重いテイストに。麻薬で心象描写するのは如何と思っていたが後の伏線にも。全身にTATOOを散りばめている場合で>>続きを読む

ファントム・スレッド(2017年製作の映画)

3.8

仕事ができて魅力的な男と美人か不美人か判別しにくい若い女の物語。

好きな男は仕事ができて魅力的だが、人間味が欠陥している。仕事第一で生活のルーティーンを乱されることも嫌う完璧主義。かまっても褒めても
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羊と鋼の森(2018年製作の映画)

3.5

ピアノの調律に魅せられた青年が、調律師として社会と調律の深い森の中を彷徨い、深淵の縁に立たされて、先輩たちの行動やアドバイスで自分を見つめて、少しずつ歩んでいく成長譚に。原作未読。

ピアノの音が情景
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OVER DRIVE(2018年製作の映画)

3.3

ラリーの世界で過去の確執や葛藤を持つ兄弟を主軸とし、エージェントの女と若いメカニックの仕事の悩みを絡ませて、自分の殻を破ったり、立ち止まった者たちが状況を打破する成長譚に。

森川葵のラリーの知識がま
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デッドプール2(2018年製作の映画)

2.8

前作からテイストも若干変わっておりアップデートされている。下品なネタや様々な映画とキャラをディスったり、ディープな引用やパロディやバイオレンスでグロいバトルは、隅々まで悪ふざけでサービス精神の詰まった>>続きを読む

50回目のファーストキス(2018年製作の映画)

2.9

新たな記憶を一夜で失ってしまう瑠衣(長澤まさみ)と天文学の勉強をしながらツアーガイドする大輔(山田孝之)の物語。オリジナル版未見。

難病が絡むので、重くシリアスになりそうな所を調和するような山田と長
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犬ヶ島(2018年製作の映画)

3.3

冒頭の和太鼓の音の衝撃と呼応するかのような胸の高鳴りが心地よい。

ストップモーション・アニメの良い所は、CGにはない厚みや微妙な表情や体の細かな流麗な動きにリアルティがあり、血肉を得たかのような温か
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モリのいる場所(2018年製作の映画)

3.7

30年間一歩も家の外へ出ることがない95歳の画家のある一日を描いた物語。
昼間はもっぱら自宅の庭で生命を見つめ続けて、夜は学校と呼ばれるアトリエで絵を描き続けたのだが、熊谷守一のこれまでに見てきたシン
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万引き家族(2018年製作の映画)

3.8

日常生活を淡々ながら丁寧に積み重ねるモキュメンタリー風な展開は是枝監督ならでは。家族の何気ない日常の中から社会の中で見過ごされがちな人々を可視化し、様々な社会の根底の問題を焙り出す。

家族の血縁、ネ
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恋は雨上がりのように(2018年製作の映画)

2.8

女子高生が冴えないファミレス店長に片思いする物語。原作未読。アニメ未見。

アイデンティティが揺さぶられる大怪我をして、心の保護やケアを求めることは、何てことのない、お姫様願望的なのだが、女性の恋愛が
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コードギアス 反逆のルルーシュIII 皇道(おうどう)(2017年製作の映画)

4.2

少年・ルルーシュの壮絶な野望を描く物語。3部作の最終章。アニメ未見。

何が嘘で何が本当かが分からない、目まぐるしく変化する怒涛の展開で、それぞれの思惑が交差していく模様は興味が尽きなく、中盤・終盤・
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友罪(2017年製作の映画)

3.7

「if もしも親しくなった友人が過去に世間を震撼させた殺人事件を犯した少年Aだったら?」を本筋として、交通事故の加害者家族視点を並行する群像劇は、罪についての罰・贖罪・赦しを焙り出す。原作未読。
エン
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GODZILLA 決戦機動増殖都市(2018年製作の映画)

3.2

ゴジラを倒し、地球を取り戻そうとする人類を描く。アニゴジ3部作の第2章。

メカゴジラが概念的でビックリするが、地球を支配しているゴジラに、最高峰科学を象徴するメカゴジラ・シティに人類が付随する形で対
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全員死刑(2017年製作の映画)

3.4

暴力団組長一家4人が、貸金業者一家などの4人を殺害した、「大牟田4人殺害事件」の当事者である次男の獄中手記をベースにしたフィクション映画。DVD観賞。

ヤクザ一家4人が一家4人(1人は友人)を殺し、
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ラプラスの魔女(2018年製作の映画)

2.8

連続して起きた奇妙な死亡事件をきっかけに、様々な視点により事件の真相をあぶり出す。原作未読。

原子と運動量による予測の道具立ては些か荒唐無稽だが、青江教授(櫻井翔)視点で、謎の可愛い少女・羽原円華(
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のみとり侍(2018年製作の映画)

2.7

藩主の命令を受けて、女性を奉仕する「のみとり」業をすることになった武士が繰り広げる人情喜劇。

ひょんなことから、猫の蚤という職業になり、「娼年」のように様々な女性を癒しまくり、精神と身体の解放させる
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ランペイジ 巨獣大乱闘(2018年製作の映画)

3.5

遺伝子実験の失敗により、ゴリラ、オオカミ、ワニなどの動物たちが巨大化して狂暴化する怪獣パニックアクション映画。

冒頭の、宇宙空間の無重力の設定に感心する。未知な生物に狙われる生死の狭間に悪徳企業の非
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モリーズ・ゲーム(2017年製作の映画)

3.0

ポーカールームの女性経営者、モリー・ブルームの半生の実録劇。

冒頭の、冬季五輪最終予選でのモーグルの模様を、雪斜面の角度・気温・採点を記号や数字化して表すことは、経営やポーカーなどに重要な数字の大切
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リズと青い鳥(2018年製作の映画)

3.2

高校生活という小さく複雑な社会での葛藤を描く青春群像劇。原作未読。

若干、女性版BL的なテイストの臭いが漂う、思春期の女の子たちの恋愛感情にも似た危うい友情関係は、高校3年の進路選択を迎えたことで、
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ダンガル きっと、つよくなる(2016年製作の映画)

3.6

冒頭のシーンで、父親のハヴィル(アーミル・カーンマ)のTVでオリンピックのレスリングを見ながら、自分との意見の相違でレスリングで決着を着けることをTVの実況に絡ませる模様に唸らされる。レスラーのような>>続きを読む