エリンは獣の医術師をしている母・ソヨンと暮らす十歳の女の子。その目は医術や薬学に秀でた霧の民の特徴である緑色だった。二人の暮すアケ村は《闘蛇》を育てる特別な村で、闘蛇は戦争の道具として使われていた。おそろしい生き物なのに、エリンは怖がるどころか、興味を持つばかり。それはソヨンのような獣の医術師になりたい夢があるからだった。ある日、飼っていた闘蛇の赤ちゃんが逃げ出してしまい村中が大騒動になる。
戦の道具である《闘蛇》を育てるアケ村は特別な村だった。そのために行商人や役人以外の旅人が頻繁に訪れることは少なかった。ある日、エリンが子供の日課であるヤギの世話をしていると、村にや病気になった闘蛇をつれた闘蛇乗りがやってくる。その治療を任されたソヨンは、なぜ闘蛇が病気になったのかを調べ始めるが、なかなか原因がつかめないでいた。エリンもソヨンを手伝いたくて闘蛇乗りに近づこうとするが……。
アケ村で飼われている闘蛇の中でも勇猛で特別な闘蛇は《キバ》とよばれていた。その《キバ》をつかった軍事教練がおこなわれることとなった。戦う闘蛇の姿をみたことのないエリンと、幼なじみのサジュとチョクの三人は大人たちに内緒で訓練を覗き見ようとする。教練場には大公とその息子であるシュナンとヌガン、そして王族のダミヤが視察に訪れていた。そして教練がはじまる。
アケ村から他の闘蛇衆の村に花嫁に出て行くサジュの姉であるソジュ。 きれいな花嫁衣装にエリンもうっとりとなる。だがそのソジュはチチモドキの毒にあたり、高熱を出してしまう。闘蛇衆同士の結婚は村にとっても成功させなければいけない一大事。 チチモドキの解毒のためにソヨンは霧の民がおこなってきた《霧の市》を使うことを提案する。 エリンはソジュを助けたい一心からソヨンとともに霧の市に向かうことになるが……。
年に一度行われる闘蛇の卵狩り。アケ村の闘蛇衆はラゴウの沼から野生の闘蛇の卵をとってきて育てることになっていた。エリンは卵狩りにはじめて参加することを許される。静かなラゴウの沼で闘蛇の卵をさがすアケ村の闘蛇衆たちは、危険な野生の闘蛇の気配にをどこか緊張している様子だった。そのときそんな闘蛇衆たちの様子を伺う怪しげな二人組の姿をエリンが見つけ出す。彼らは闘蛇の卵を狙う卵泥棒だった。
ある夜、アケ村に闘蛇の弔い笛が響く。その声にかけつけたアケ村の闘蛇衆たち。だが彼らがみたものは岩屋のイケの中で腹を向けて死んでいる闘蛇の《キバ》だった。キバは大公から預かった大切な闘蛇。その世話を任されていたのがソヨンだった。死因はなぞの中毒死。イケの水に浸かり、冷たくなった体で帰ってきたソヨンを心配するエリンに、ソヨンは優しく微笑みながら、闘蛇の動きを止める音無し笛を炉に投げ入れる。
キバを死なせた大罪のために連れて行かれたソヨン。エリンはサジュの家に預けられ、ソヨンが帰ってくるのを待っていた。ある夜、エリンはサジュの両親がソヨンが早朝、ラゴウの沼で闘蛇の裁きにかけられることを耳にする。ソヨンが心配になったエリンは闇の中、ラゴウの沼へと走り出す。そして早朝。鏡のように静かなラゴウの沼にソヨンをのせた小舟が流されると、水の下で黒い闘蛇の影がうごめき、水面がざわつきはじめる。
ソヨンの手で闘蛇の背に乗せられたエリンは、アケ村からはるか遠いところにある真王領の川岸に流れ着く。そこで蜂飼いのジョウンという男に助けられるが、傷と疲れのために高熱をだし、意識がないままであった。ジョウンはエリンを自分の小屋へと連れ帰り看病を続ける。意識の戻ったエリンは、窓から見える木に吊り下げられたサナギを見て、亡きソヨンとの暮らしを思い出し悲しみに暮れるのだった。
蜂飼いのジョウンと一緒に暮らすことになったエリン。ジョウンの家には見たこともない道具がたくさんあった。不思議そうにそれを見るエリンに、自分の宝物を見せてやると外に連れ出すジョウン。エリンは興味しんしんでジョウンの後についていく。途中、ジョウンの宝物の一つ、めす馬のトッチとヤギのノロと会う。そしてエリンはいろいろな花々が咲きみだれる場所で不思議な光景をみるのであった。
エリンとジョウンが暮らす山に、夏が訪れようとしていた。夏の準備のためにふもとの街へと買い出しに出かける二人。生まれて初めて見る大きな街の賑わいに驚くエリン。道端で音楽を奏でる楽師たちの中に、ひときわ美しい音色で竪琴を弾く青年がいた。楽師たちの演奏を楽しんだあと、目的の店をたずねるエリンとジョウン。しかし、女主人は病に倒れていた。そこに役人に追われた女主人の息子がやってきて……。
カショ山にあるジョウンの夏の小屋に引っ越すことになったエリンとジョウン。大掃除が始まり、奥の部屋を掃除しようとするエリンに、絶対に中に入ってはいけないとジョウンが言う。その翌日。ジョウンは近くの村に住む蜂飼いの師匠・ドランの家に馬を借りに出かけてしまい、留守番をすることになるエリン。奥の部屋に何があるのか知りたくてたまらず、エリンは部屋の扉を開けてしまう。そこで見たのは、思いがけないものだった。
いよいよ、夏の小屋への引越しをはじめるエリンとジョウン。カショ山の険しい山道から見える美しい自然に、エリンは目を輝かせる。たどり着いた夏の小屋はホコリで真っ黒だった。ついてきたヌックとモックも加わり、賑やかに夏の小屋の大掃除が始まる。エリンが煙突にもぐり込んだとき、何かの影が頭上の光を一瞬さえぎった。それが気になってしかたないエリンは、その影の主を探しに森へと入っていく。
チゴの根を採りにカショ山の山奥へと向ったジョウン。チゴの根は内臓にできる腫れ物によく効き、大粒銀一枚で売れる。しかし「チゴは闘蛇の息で育つ」と言われるほど深く危険な峡谷で育つことを知ったエリンの脳裏に、ラゴウの沼での恐怖がよみがえる。不安にかられたエリンは、ヌックとモックとともにジョウンの後を追いかける。崖に突き出た岩のそばでジョウンの荷物を見つけるが、ジョウンの姿はどこにもなく……。
夏の小屋で生まれて初めて王獣を目の当たりにしたエリンを、霧の中から見つめる霧の民の探索者・ナソン。アケ村より真王領に流れ着いたエリンの後を影のように追い、見守ってきたナソンは、ソヨンを失ったエリンがジョウンのもとで暮らしてきた四年間の様子を長老たちに伝えるために霧の民の村へと戻る。長老たちは、ナソンの語るソヨンとエリンの親子の物語に黙して耳を傾けるのだった。
ジョウンの元にきてから四年もの月日が流れ、十四歳となったエリンは、自分で蜂を増やして蜜を売り、お金を稼げるまでに成長していた。ある日、ジョウンを訪ねて見知らぬ男がやってくる。その顔を見て驚くジョウン。男がジョウンにかけた言葉は、エリンにとって思いもよらないものだった。そんなエリンに、ジョウンはひた隠しにしていた自分の過去を語り出し、またエリンもジョウンに自らの生い立ちを包み隠さず話しはじめる。
カザルム王獣保護場から《入舎ノ試し》についての返事が届く。合格の条件は厳しいものだったが、特別に試しを受ける許可が下りたエリンは、ジョウンと共にカザルムへと向う。その旅の途中、エリンの竪琴が壊れてしまう。修理のために立ち寄った楽器職人の家を訪れたエリン。その竪琴を見て驚いた職人のヤントクは、エリンに竪琴をどこで手に入れたのかを尋ねるのだった。同じ頃、ヤントクの工房にはセ・ザンのイアルの姿があった……。
ジョウンのタムユアン時代の友人である教導師エサルの計らいにより、カザルム学舎で《入舎ノ試し》を受けることになったエリン。カザルムに向かう途中に立ち寄った街で、真王の60回目の誕生日への贈り物を運ぶ大きな荷車の列を見る。王宮の大広間では、真王陛下を祝おうと、大公や貴族たちが真王陛下のもとに集まっていた。式典が始まり、ダミヤが真王に献上したものは、荷車に積まれていた幼い王獣だった。
鐘の音が高鳴るカザルム王獣保護所ではエサルがエリンとジョウンを出迎えてくれた。エサルによって教導師長室に案内される二人は、たくさんの学童たちが獣ノ医術師を目指して一生懸命に勉強している雰囲気を感じるのだった。そして教導師長室に通されたジョウンは、昔なじみのエサルが教導師長になっていたことに驚く。やがてエリンの前に答案用紙が置かれ、《入舎ノ試し》がはじまる。
《入舎ノ試し》に合格し、カザルム学舎の中等二段に編入されたエリン。ジョウンと二人きりの生活から、同じ年頃の子供たちとの初めての共同生活が始まる。編入した中等二段の学童達と仲良くなろうとするが上手くいかずに戸惑うばかりで、エリンが安心できるのは、たくさんの本に囲まれた図書室の中だけだった。そんなエリンを気遣って声をかけてくれたのは、同じ部屋で寝泊りするユーヤンという明るい性格の女子学童だった。
初等の学童たちにまじり、エリンの王獣舎での実習が始まった。寝藁敷きやフンの始末も、エリンにとっては楽しくてたまらない。実習に飽き、フン投げ遊びを始める学童たちをよそに、集めた王獣のフンをヘラで分けては、食べた物やお腹の具合から王獣の体調を知ろうと観察する。ある日、野生の王獣とカザルムで育てられた王獣の違いを話すエリンに、エサルはある一つの望みを託そうとする。それは、傷つき弱った幼獣の世話だった。
幼獣・リランの世話係となったエリン。王獣舎に泊りこみ世話を続けるが、リランはうす暗い王獣房のすみに座ったまま、水しか口にしない。このまま餌を食べなければ、リランは死んでしまう。リランに餌を食べてもらいたい一心のエリンは、トムラに幼獣の世話の仕方を教えてもらいたいと頼みこむ。世話係を外されたトムラはエリンを苦々しく思っていたが、リランを思うエリンの必死さに負け、協力を約束する。
リランに応えたい。昔聞いた、野生の王獣の親子が交わしていた鳴き声を竪琴で奏でられれば、リランも餌を食べるのではないか。エリンは大切にしてきた竪琴に手を加えようと決意する。トムラと共に、かつて竪琴を直してくれた王都の楽器職人・ヤントクの店を訪ねて、エリンは王都に向う。その頃、とある仮面の出所について探るイアルを殺すべく、物陰から黒い影が襲い掛かる。
餌を食べるようになり、元気に水浴びをするリランの姿にエリンはほっと一息つくが、学童たちの間では、エリンが霧の民の不思議な力を使ってリランに餌を食べさせた、という噂が広まっていた。教導師たちを集めたエサルは、エリンが竪琴を使ってリランに餌を食べさせたことを話す。しかし、竪琴を使って王獣を育てるのは、王獣規範(おうじゅうきはん)に書かれた規則に背くことになってしまう。悩むエサルが下した結論とは。
幾度となく繰り返される、隣国・ラーザとの戦い。終わりの見えない戦いに、国の行く末を案じる大公の息子・シュナンは、傷つき前線から戻って来た兵士の姿をやりきれない思いで見つめる。弟・ヌガンは、シュナンと共に戦場で戦いたいと大公に願い出るが許されない。それぞれの思いを胸に、幼い日に兄弟で植えた中庭の木の前で言葉をかわすシュナンとヌガン。「二人でこの国を守ろう」そう誓いあった幼い日に思いをはせるが。
ラゴウの沼で命を救われて以来、エリンを追ってカザルムまでついて来たヌックとモック。カザルムで雑用係として働くものの、失敗続きで寮母のカリサに怒られてばかりの毎日。ある日、カリサに言われて市場に買い物に出かけた二人は、この買い物を成功させカリサを見返してやろうと決意するが、さっそく預かったお金をなくしてしまう。途方に暮れた二人は、何とかしてお金を稼ごうとするのだが。
リランの世話に追われるエリンは、王獣学以外の小試験でひどい点を取ってしまう。進級のための《夏ノ試し》に落第すれば、カザルムから去らなくてはならず、特例はない。リランと一緒にいるためにも頑張らなくてはと気を引きしめるが、勉強を始めた途端にリランがじゃれつきはかどらない。リランを叱るエリン。しかし、落ちこんだ様子のリランを見て、リランは怒られたのがわかっているのかもしれないと、驚くのだった。
毎晩、ソヨンの夢ばかり見るエリン。寝坊してリランの餌やりに遅れてしまう。いつもと違って顔色も悪く、どこかぼんやりしたエリンを心配するエサルたち。ある夜、霧の中を飛びかう不思議な光を見かけたエリンは、翌朝、その場所に行ってみる。そこに立ち並ぶたくさんの王獣の石像。それは王獣たちの墓だった。カリサによれば、霧のたちこめる夜には不思議な光が飛びかい、迷いこんだ人間の魂をヒカラに連れて行くと言うが……。
ある夏の日、エリンの元にジョウンの息子アサンからの手紙が届いた。その手紙の内容は、王都に戻り静かに暮らしていたジョウンの死を知らせるものだった。エリンはジョウンの遺した書物を前に、必死で涙をこらえる。心配するエサルを前に、大丈夫だと笑みを見せ、気丈にリランの世話をこなすエリン。そんな様子を見ていたエサルは、エリンをつれて小旅行に出かけるのだった。
夏休みも終わり、学童たちが戻ったカザルムはいつもの賑やかさを取り戻す。ジョウンの死を知ったユーヤンはエリンを気遣うが、エリンは明るく振る舞おうとする。リランは産毛の生え変わりの時期を迎え、その毛並みを整えてやろうとしたエリンはヌックとモックに頼みこみ、毛を梳く大きな刷毛を作ってもらう。出来上がった刷毛で毛を梳いてもらうリラン。気持ちよさそうにのどを鳴らして喜ぶが……。
十八歳になったエリンは、カザルムの最上級生になっていた。教導師長室で、カリサと話していたエサルは、ジョウンに連れられたエリンが《入舎ノ試し》を受けに来た日を思い出していた。「この世に生きるものが、なぜ、このように在るのかを、知りたい」と書かれたエリンの作文に感心し、カザルムへの入舎を許してから四年。その月日の間にエリンの身に起こったさまざまな出来事を、エサルは思い返すのだった。
カザルムでは、王獣規範に従わずに王獣を育てている。という噂がラザルに流れていると、研修から戻ってきたトムラがエリンに話す。時同じくして、タムユアンから新しい教導師・キリクがやってくる。美しい容姿を持ち、惜しげもなく王都の菓子をくれるキリクに学童たちは夢中になる。しかし、やたらとリランについて訊ねるキリクに気が抜けず、気晴らしにと出かけた谷川で、エリンとリランは思わぬ事態に直面する。
エリンを背に乗せ大空を舞うリラン。上空の寒さに震えるエリンの耳に、かすかな指笛の音が響く。眼下にたたずむ灰色の人影。地面に降り立ったエリンを迎えたのは、霧の民のナソンだった。竪琴で王獣と言葉を交わすことは大罪であると言うナソン。母・ソヨンも口にした「大罪」とは何を意味するのか。ナソンは、太古の昔、アフォン・ノアの彼方に栄えた王国・オファロンに起きた出来事を話し始める。
エリンは、リランが自分を乗せて空を飛んだことをエサルに報告する。叱られるとばかり思っていたが、リランを観察をすれば王獣の生態についてより深く知ることができるとエサルは喜ぶ。しかし、リランが放牧場から飛んで逃げてしまっては大問題になりかねない。エリンは、トムラやヌックとモックの助けを借りて、リランの飛翔訓練を始めるが、エリンの言うことを聞かず、まったく飛ぼうとしないリランに困り果ててしまう。
セィミヤに献上された王獣が爪に怪我を負い、ラザルからカザルムに運び込まれた。動けないほどに弱った王獣の息から漂う甘い香りに、エリンはアケ村でソジュが倒れた時のことを思い出す。原因はチチモドキの毒にあると気づいたエリンは、解毒剤を求めて、トムラと共に王都の薬問屋に急ぎ向う。その頃、セィミヤを狙って仕込まれたチチモドキの毒に倒れたセィミヤの侍女・ナミの命を救うため、薬問屋に向かうイアルの姿があった。
カザルムに羽根に怪我を負った野生のオスの王獣が運ばれてくる。見上げるような巨体にきらめく瞳をもつこの王獣はエクと名付けられ、エリンが世話係として指名される。エクは音無し笛で硬直させて治療をしても、硬直がとけるたびに暴れて傷が開いてしまうのだった。エリンは泊まりこみでエクの世話にあたる。ある日、しきりにエリンの臭いを嗅ぐリランの毛を梳いてやっていたエリンは、リランの胸の体毛が赤く染まっていることに気づく。
カザルムに羽根に怪我を負った野生のオスの王獣が運ばれてくる。見上げるような巨体にきらめく瞳をもつこの王獣はエクと名付けられ、エリンが世話係として指名される。エクは音無し笛で硬直させて治療をしても、硬直がとけるたびに暴れて傷が開いてしまうのだった。エリンは泊まりこみでエクの世話にあたる。ある日、しきりにエリンの臭いを嗅ぐリランの毛を梳いてやっていたエリンは、リランの胸の体毛が赤く染まっていることに気づく。
新しい学童たちがカザルムに入舎する季節。エリンは教導師見習いから教導師になり、リランのお腹もすっかり大きくなっていた。エリンは、今年の新入生で唯一の女子・シロンが、他の学童たちと遊ばず一人で本を読んでばかりいるのが気になり、声をかける。誰にも負けないよう本を読んで勉強し、絶対に一等を取り教導師になると答えるシロン。エリンは、本を読むのも大事だが、自分で見聞きし感じることも大切だと教えるが……。
リランの子・アルを見るため、生まれて初めて王宮から出た真王が、カザルムを訪れる。リランたちと竪琴で心を通わせていることは、誰にも知られてはならない。そのため、エリンは人前に出る事を禁じられる。リラン親子の美しさに見とれ、一歩また一歩とリランに近づく親王。子育てでいつもより気がたっているリランに近づいては危ない。エサルの注意も忘れ、エリンは思わず親王の前に飛び出してしまう。
王獣の糞集めの指導をしていたエリンは、放牧場で仲良く毛づくろいするリランとアルの姿に、普段の生活が戻ってきたように感じていた。真王が王都に戻る日、カザルム河を下る真王の乗った巨大な御座船に、歓声をあげる学童たち。しかし、遠眼鏡をのぞいていたシロンが、支流から流れてくる人が乗った丸太のようなものに気づく。とっさにそれが闘蛇だと気づいたエリンは、真王や御座船に乗った人々の命の危険を察して走り出す。
闘蛇に襲われ、壊れた御座船の船内で眠るように横たわる真王ハルミヤ。エリンが真王を診た限りでは大丈夫なように思われたが、医療器具も薬もない今は、人間を診る医術師が来るのを待つしかなかった。エリンから肩の手当てを受けたダミヤは、リランとエリンが闘蛇を相手に起こした奇蹟を目の当たりにし、エリンに注目し始める。一方、エリンは船内で闘蛇の牙で傷ついたイアルを見つける。
カザルム河での襲撃事件から数日がたち、一命を取りとめた真王ハルミヤは回復へと向っていた。一方、日常を取り戻しつつあったカザルムでは、リランたち親子の世話をするエリンの姿があった。そのエリンのもとにエサルが現れ、カザルム候の館で行われる真王の晩餐の招待状をエリンに渡すのであった。人には馴れぬはずの王獣が人を乗せて空を飛ぶのを目の当たりにした真王はエリンに何を言うのだろうか。覚悟を決めたエリンは、カザルム候の館に向かう。
真王が亡くなったという知らせにエリンは衝撃を受ける。大公領では、真王領へ攻め込む絶好の機会だと考える大公を、国を平定する方法は他にもあるとシュナンが説き伏せる。一方、王宮には、唯一の肉親である真王を亡くして悲しみにくれるセィミヤの姿があった。次の真王となるセィミヤは、思いのままに好きな者を婿に選べる立場。ダミヤはセィミヤをなぐさめながらも、一番愛している者は誰かと問いかけるのだった
カザルムの実習農園で学童たちに山リンゴの接ぎ木の仕方を教えるエリン。シロンが木に巻きつけたヒモのぶかっこうさに笑う学童たちであったが、エリンの顔に笑顔はなかった。そんな中、息を切らせて駆けつけたトムラが、エリンに急を告げる。真王からの命を受け、ラザル王獣保護場のオウリが、リラン一家を連れにきたのだった。必死でリランの王獣舎へと走るエリンの頭上を暗雲が覆い始めるのだった。
ラザル王獣保護場へと連れてこられたエリンだが、馬車が向った先は、ダミヤの館だった。ダミヤの部屋へと通されたエリンの前に現れたダミヤは、手袋で覆われたエリンの左手を見つめ、エリンが恐怖に負けることなく王獣を制していると褒める。しかし、リランと自分の間に今までのような親しみはもうない。顔を強張らせたエリンにダミヤは、大公の闘蛇部隊に対抗する王獣部隊を作るよう命じる。王獣を戦いの道具にすること。それはエリンがもっとも嫌う選択だった。
大勢の人々の前で、リランに乗って空を飛ぶ。そんなことをエリンが承知するとはとうてい思えないキリクは、自室でくつろぐダミヤにそれを問いかける。『建国の夜明け』の日、シュナンをはじめとする闘蛇軍の前で、エリンはリランに乗って空を飛ぶだろう。まるで確信したようなダミヤの言葉に、キリクはうなだれる。そんなキリクを尻目に、ダミヤは自らの計画を妨げる可能性のある人物をキリクの毒で消させようと、画策する。
ダミヤに毒を飲まされ、仮面の男たちに襲われたイアルは、その追撃からかわし、ラザル王獣保護場へと逃げ落ちる。そこにはリランたちの世話をするエリンの姿があった。傷ついたイアルを見つけ、その治療をするエリン。傷から来る熱と毒とにうなされながら、悲しい過去を夢見るイアル。エリンはイアルの右手を握りしめ、やさしく見つめるうちに、イアルに安らぎが戻るのだった。幸せに時が過ぎる中、ダミヤの追っ手が、ラザルへと迫ろうとしていた。
真王と、千の闘蛇の軍がぶつかり合おうというタハイ・アゼでの決戦がせまり、王{の中にある禊の森へと赴く真王セィミヤ。ダミヤの言葉のままに、ダミヤとの結婚こそがリョザを清らかな国に導く手段だと信じて疑わぬセィミヤだったが、シュナンはセィミヤを愛するからではなく国のために結婚しようとしているのではないか。その疑念がセィミヤを迷わせるのであった。そんなセィミヤの前に現れたのは、リランに乗ったエリンだった。
雪の舞うタハイ・アゼに、大公の誇る勇猛な闘蛇の軍が集っていた。朝が来て、大地を日が照らせば、闘蛇の軍を真王に向けて進めなければならない。緊張高まる真王の天幕の中にはリランとエリンの姿があった。リランを戦いの道具にすることがないようにと願いながら、エリンはただセィミヤがすることを見つめることしかできないでいた。一方、イアルは傷を負いながらも真王の天幕に近づこうとしていた。だが急ぐイアルを待ち受けていたのはキリクだった。
タハイ・アゼの夜が明ける。はるか大地の向こうに陣取る大公軍を前に、ダミヤはセィミヤに言った。あれがそなたの軍なのだと。その言葉を聞いたセィミヤは決心を固めるのであった。そして時は満ち、雲間から射した光が大地を照らし、シュナンの黒鎧を輝くと、静かに闘蛇の群れが動き始める。リョザを隣国の脅威から守ってきた強力な闘蛇の群れが、わずかばかりの手勢を連れただけの真王、目指して。天幕の中、エリンは決断が下るのを待つのであった。
セィミヤの手により青い旗は振られた。皆が大公と真王とが手を取り合う新たな時代の訪れを信じていた。だがそれは突如走り出した闘蛇の群れによっておきた混乱の中で潰されてしまう。孤立したシュナンを助けるために、エリンはリランを空へと舞わせる。シュナンを亡き者にしようとする矢、守ろうとする矢が雨のように降りそそぐ中、エリンはシュナンをリランの背中へと乗せる。その最中、エリンの背中を矢が貫く。
子どもの時にリアルタイムで観てた
配信が始まったのを知り観てみた
ついいっき見しちゃうみたいな感じはなくて途中で飽きたりもしながら…
特に展開に意外性はなかったけど成長物語としておもしろかった
思…
獣の奏者(闘蛇編)(王獣編)のアニメ化
アニオリが30%,回想が30%ぐらいでまあまあ結構アニメーションが使い回されてるなと言う感じで
アニオリも多く、これ必要ある?みたいな蛇足感があった
キャラの…
小学くらい?の時にNHKでやってるの何となくみてた
高校生で改めてみてどハマり
分厚い原作夢中で読み倒した
小説で1番好き
外伝が高校の図書館にはなくて、すごい勢いで町図書館まで借りに行ったの…
我が家のバイブル
養蜂業に就いていた父がジョウンおじさんの登場をきっかけにどハマりし、
初めて父が本を読む姿を見た。
仕事先でも放送日は必ず見ていたらしく、気づけばOP「雫」がセトリに入っていた…
「精霊の守り人」(2007)が気に入ったので、同じ原作者 上橋菜穂子さん、同じアニメ制作会社 Production I.G、さらに放送局も同じ NHK教育テレビ(しかも50周年記念番組という肝入りで…
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