震災で妻を亡くし、散骨業で生計を立てながらひとり娘と暮す男の葛藤と再生を描いた作品。
フィルマの詳しすぎるあらすじが全てでもある今作。気になるところは諸々あるけれど、思考が深まる、けれど答えのない作品だった。
ただ、個人的には忘れる事と風化させる事は違うと思う。
人間は忘れる生き物だからこそ前を向けるのだから。
家族を無くした父と娘、散骨、殺人者の命、殺人者の家族の人生、震災で亡くなった方たち、ジャーナリズムのあり方、SNSの影響力…
盛り込み過ぎてテーマがぼやけてしまった気もするけれど(特に職場の同僚のエピソードは要らなかったなぁ)、視点は素晴らしいと思う。少なくとも個人的には新鮮味を感じた。
因みに、俳優の小林且弥の監督デビュー作との事。彼の演技は一度も観てないけれど、次作に期待したいと思える作品だった。
いずれにしても、ピエール瀧の演技が味わい深い。
ただの骨だ
あんなのただのカルシウムだよ
死んだら終わりなのに
骨なんてなくったって気持ちがあればいい
骨に価値なんてないんだよ
私はお母さんの骨が欲しい
ほんの一欠片だって