愛されるために、ここにいるの作品情報・感想・評価

「愛されるために、ここにいる」に投稿された感想・評価

kai

kaiの感想・評価

4.6
フランス映画祭の時のタイトルが「愛されるために、ここにいる訳じゃない」だったことが印象に残る。

この映画は今回観るのが3度目。
観るたびに「こんなシーンもあったなー」と今更ながらに感動している。

「大人の男と女のラブストリー」と言ってしまうと、とても軽くなってしまう気がする。
不器用な50代の男の心にすっぽり寄り添ってしまった30代の女。

例えば「キャロル」のラストでは、ケイト・ブランシェットの笑顔は華やかで全身で喜びを表していた。
この映画では、ほんの少しはにかんだような笑顔が気持ちを伝えている。

大好きな映画だ。
ハル

ハルの感想・評価

3.8
ジャン・クロードは50歳の冴えない中年オヤジである。執行官と言って、家賃滞納者に裁判所の命令を通達する仕事をやっている。とてもじゃないが、やりがいのある仕事とは言えず、本人も嫌々ながらやっているフシがある。そこへ持ってきて、毎週日曜日には、老人ホームにいる父親と顔を合わさねばならず、ストレスはますます募るばかりだ。

そんな中、医者から軽い運動を薦められたクロードは、事務所の真向かいにあるタンゴ教室に通い始める。そこで、高校の進路指導員をやっている女性・ファンファンと知り合い、ひょんなことからただならぬ関係になる。

50歳にして訪れた老いらくの恋は、愛に飢えた中年男に潤いをもたらすかに見えたが、後にファンファンには婚約者がいることが発覚する。


フランス映画はとっつきにくいイメージがあるが、この作品は非常に分かりやすい。脚本が素晴らしくて、舞台をそのまま日本に置き換えても成立しそうだ。笑えるところもあるし、切ないシーンもある。ただ、結末だけは、まことにフランス映画らしい。タンゴのステップのように、二人の恋が成就するのを、願いたくなる。
kie

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4.0
フランス映画らしく最後の結末は観ている人に委ねる。この作品は、実に心地良い放置プレーだった。無理難題ではなく、私ならこう思う!とすんなり結論が出る。

裁判所の決めた判決の執行官が生業のジャン=クロード、50歳くらい。仕事を通して、誰かに愛されるわけでもなく。

家族が見捨ててしまった頑固父さんのお見舞いに毎週行くも、父から愛されているとは思えず。

タンゴ教室で一緒になった若い女性フランソワーズと良い雰囲気になるも、結局フランソワーズが他の男性と婚約中と知り、また愛されているとは思えず。

とにかく、愛されていると実感がまるで無い人。

でもね、愛されていないと思っているのは、言葉の上だけであって、実際のところは違っていた・・・。

随所に出てくるタンゴの調べと、フランソワーズとジャン=クロードとのタンゴ、これが二人の心情を実にうまく描いている。そして、私は思う。世間で言われている幸せの形でジャン=クロードとフランソワーズは結ばれることは無いけど、「愛される」という意味では、二人は永遠に愛し続けると思う。ジャン=クロードがいるから、フランソワーズの結婚もうまくいくだろうし、フランソワーズがいるからジャン=クロードの残りの人生も愛あるものになると思う。

こういう作品に出逢えるから、やはし、映画はええのぅ!!
その当時好きだった人と観た
その日の日記
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主人公は冴えない中年男だし、淡々とした描写だし。エピソードもやり切れない内容の連続。
だけど、タンゴのシーンになるたびどんどん主人公が素敵に見えてくるから不思議。
説明的なセリフも描写も殆ど無いから、ダイレクトに主人公の気持ちに入り込んで一緒に喜んだりイライラしたり傷ついたり。

同行者が居なけりゃ泣いたな。つうか、ちょっぴり涙ぐんだけどさ。

オトナの恋のハナシでした。

くぅぅっ!切ねぇ!!(笑)
こういう小品を観るとすごーく得した気分になっちゃう。
taiju

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3.3
会話の歯切れの悪さ、もどかしさがテンポの悪さになるか思いきや、恋愛の言葉にできない余白を表現する手段として活かされている、短いけど綺麗にまとまった良い作品。
kw

kwの感想・評価

3.6

このレビューはネタバレを含みます

題材:3 物語:4 人物:3 映像:4 音楽:4 総合:3.6

家賃の滞納者などに対して請求をする執行官のジャン・クロード。執行官という職は父の事務所を継いだだけだと語り、そこに自分の意志がないことを感じさせる。そしてその流れは彼の息子にまで受け継がれようとしていた。息子は気弱で父の言いなりとなり、執行官という職に不満を抱いている。
ジャン・クロードは医者から運動不足を指摘され、タンゴを習いはじめる。そのタンゴ教室で結婚を控えた女性、フランソワーズと出会う。フランソワーズは結婚に対して疑問を抱いていた。結婚をして母や祖母を喜ばせたいという想いはあるが、自分の人生の決断としては迷っているようだった。
人生に抑圧を感じている二人は次第に惹かれあっていく。

ジャンは毎週末、介護施設に預けられている父を訪ねます。父はジャンに厳しく、ジャンは言いなりとなり反発することはできません(これはジャンとその息子と同じ構造をしています)。ジャンは介護施設からの帰りの車の中で不満を叫ばずにはいられないほど、苦しんでいました。一方、父は介護施設から帰るジャンの姿を、いつも窓から見守っていました。厳しい態度でしか息子に接することができない、それでも息子を大切に思う、不器用な彼の切なさを感じさせます。
ある日ジャンは父に対して溜まりに溜まった不満をぶちまけます。もう二度と会いたくないと。それを父は身動きひとつせずに黙って聞いています。
やがて、父は自殺をしました。
ジャンは父の私物をとりに施設を訪れ、鍵のかかったクローゼットに気が付きます。父の着ていたスーツから鍵を見付けクローゼットを開けると、中にはジャンが子供の頃に獲得したテニス大会のトロフィーが綺麗に飾られていました。そのときはじめて、ジャンは父が自分を大切に想っていたことを知ります。
トロフィーを手に施設を後にするジャン。車に乗り込むそのとき、かつての父の部屋だった窓を見つめます。わずかに開いたカーテンの隙間から父はいつもジャンを見つめていたのですが、ジャンは気付くことはできませんでした。父が亡くなってはじめて、ジャンは窓を見つめ返すことができました。
ジャンは事務所に戻ると、息子に対して執行官を辞めろと伝えます。父がジャンにのこした優しさは、ジャンが息子を想う気持ちに受け継がれました。

登場人物の誰もが、心を圧し殺して生きています。その世界観の中で、タンゴダンスが象徴的な役割をしているように見えました。ダンスというものは形式やリズムなど様々な型があり、その型の中で表現をするものです。型によって不自由は感じるでしょう。そのせいでぎこちない躍りを強いられている人々もいます。それはまさに、序盤の登場人物のように。しかし、型があるからこそ、その型の中では自由であると気が付いたとき、まるで泳ぐかのような優雅な踊りをすることができます。
エンディングのジャンとフランソワーズのダンスを見ていると序盤に見られたような二人のぎこちなさは感じられず、それぞれの人生の抑圧を振り切り心を通じ合わせた二人は音楽の中を流れるように踊ることができていました。
nami

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2.0
2人の愛がはじまるところの感じ、もう少していねいにして欲しかったかな。。と少し物足りなさを感じたかな。
mimo7391

mimo7391の感想・評価

4.8
ジャン=クロードの不器用で気難しい性格がとても愛おしく感じた。ふたりの無言の時間が繊細で一番好きなシーン。
slow

slowの感想・評価

4.7

このレビューはネタバレを含みます

裁判所の決定を伝える執行官と言う仕事に、嫌気がさし疲れ切った様子の中年男。階段を上る足取り一歩一歩が、まるで溜息のようである。
そんなある日、職場の窓から見えたタンゴ教室。興味を持った男は、医者の運動の勧めもあり、思い切ってそのドアを叩くのだった。

ああ、だから映画はやめられない。
上質な映画観たなという印象。1時間30分という尺、思ったよりユーモアもあり、とても観やすかった。

アンヌ・コンシニがまた素敵な演技。期待を裏切らなかった。
脇役の存在も大きい。
そして何より、主演のパトリック・シェネとその父親役のジョルジュ・ウィルソンが素晴らしかった。

8%を許せない気難しさ。父も子もわかっている。わかっているのに…
愛しいものを見る姿。そっくりで愛しい。
この映画に銃なんて出てこない。家族の会話を聞かせ、男の後ろ姿を見せ付け、タンゴを贅沢に感じる。そんな映画。
AIRI

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3.7
バイト先の人に勧められて、しかもアルゼンチンタンゴの映画と聞いて見ないわけいかないと思い、早速鑑賞。
セリフは最小限、90分程度と少々短めの時間ではあるものの、ここまで上質で繊細で鑑賞者を一気に燃え上がらせるラブストーリーに仕上げられるのは驚き。言葉のないシーンほど表情や仕草が歯止めのきかない恋心をよりリアルに表現している。何と言っても、作品の軸となっているアルゼンチンタンゴがやはり素晴らしかった。作品自体に派手さはなく、静かな空気が漂い続けるからこそ、熱いタンゴが際立つ。そして徐々にテンポが盛り上がるアルゼンチンタンゴの楽曲を巧みに使い分けることで、徐々に加速していく愛をより助長させる。また、この作品の更に良いところは、ただのラブストーリーではなく、親子の関係も描かれているという点。そうゆう意味でも色んな感情が溢れ、鑑賞後は余韻で幸福感に包まれる。やはりフランス映画は粋でお洒落で好きだと感じたし、楽曲の使い方や色彩、会話の間とか、全てがとにかく絶妙で素晴らしい。
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