ヨーロッパを巡る旅に出た映画俳優と彼のマネージャーが行く先々でそれぞれの人生を振り返りじぶんたちが下してきた決断や功績を振り返る。世界的映画スターの軌跡と刹那をたどる。ロードムービーを通じた成功と後悔のアンチテーゼ。成功者ゆえの特異の虚無感。名優G・クルーニーならではのウィットに飛ぶ説得力や反響するメッセージ色強し。もちろん彼の巧妙洒脱なジョークも然り。”生涯の探索”をグルービーなユーモアある角度から見つめ直す作劇は、物語の芯ときっちりと呼応していて映画界の舞台裏ものとしても見応えある。人間の表層に潜む脆さや、成長の伸び代をドラマに落とし込む。ジェイを完璧無敵の偉人には持ち上げず、血を通わせたひとりの人間として普通の男に昇華させたのは、メタ目線でもこの映画の功績だとおもう。

• #J_2025劇場鑑賞
• #人生の遺産
• #ハリウッドスター

2025年劇場鑑賞165本目。
これは！ネトフリに来ちゃう前に劇場で観ないと！ってことで、初日に行きましたよ、ノアバームバック。僕は好きです、この作品。もう映画愛溢れる感じで、いろんな名作や名優へのオマージュも盛り沢山、演者は最高。監督も確かキャメオしてる？ジョージクルーニーも素晴らしかったけど、アダムサンドラー、よかったなぁ…前のバームバック作品でもよかったけど、これは悲哀を込めて素晴らしい演技。ローラダーン、よかったです。もちろん、グレタさんもちょい役ながらも、最高！娘さんたちも泣かせてくれます。これこそ、スクリーンで観ないとですよね。ああ、よかったなぁ。

会話劇が主体となった映画だが、細かく人を動かして、常に画面にアクションが絶えない造りになっているのが流石バームバック。オープニングの映画撮影現場を長回しで見せる場面から些細な会話のやり取りでそれぞれの人物の関係性が提示される手際の良さが光る。終盤の横移動を用いた演出や、窓や扉といった室内のギミックを利用してスムーズにクルーニーの過去を映した場面に移行していく演出も流石に巧い。少し長い気はしたが良い映画。役者はやはりアダム・サンドラーが最高。