片田舎の豪邸に招待された青年(沢田研二)が、素性の知らない中年男性(杉浦直樹)を執事に迎えた共同生活を始める。北海道渡島地方を舞台にして、異端分子にさせられた青年の生活風景を描いている、サスペンス映画。丸山健二の小説を原作に取っている。
闇組織の傀儡になっている執事と女性(樋口可南子)が、ジュリーの特異な人間性に惹かれていく物語。個人的には、ジュリーを問い詰めようとするカップルの彼女役が、亜湖であることに注目せざるを得ない。
本作のジュリーの役柄は、若松孝二監督「性賊<セックス・ジャック>」の主人公と、そのまま重ね合わせることが可能。普段は温厚でストイックなのだが、眼の奥底では独自のパッションを滾らせている。
ゴダール的演出に賛否が分かれそうだが、物語の全貌がボヤけたままで、まさにサスペンド(宙吊り)された状態でドラマが進行するところが面白い。若松孝二の革命家視点の作品を嗜好する人は迷わず観るべし。
岸部一徳が海辺でジュリーを口説いた挙げ句鯖折りで殺されるシーンは失笑しました。
>HKさん 役者を岸部シローにして、ザ・タイガースのメンバーを一人ずつ暗殺する展開でも良かったと思います。