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ハデウェイヒ
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『ハデウェイヒ』に投稿された感想・評価

[垣根を越えて神を求める愛] 90点

大傑作。ハデウェイヒとは、13世紀に実在した神秘主義者の女性詩人である。本作品の主人公はキリストへの恋文を書いたとも言われる詩人の名を冠したセリーヌ・フェル・ハデウェイヒだ。冒頭、修道院にいる彼女は食事を取らないという方法でキリストへの深い"愛情"を示そうとするが、死なれては困る(=殉教者)として修道院から追い出される。彼女は困った様子もなくパリにある裕福な実家に帰り、機能不全に陥った家族の下へ戻る。その後、パリの街でヤシンというイスラム教徒の青年に出会い、彼のすすめで彼の兄であり宗教指導者ナシールと知り合うことで過激主義・テロリズムに染まっていく。彼女のことを理解もしないし興味もなさそうな父親が強烈で、恐らく彼に反抗するために信仰の道を選んだのだろう。彼女は献身的であるが、それはイスラム教原理主義者との関わりの中で、ある種の純粋さとナイーブさとして描かれているようにも見える。だからこそ、妄信的に神の愛を信じて神を愛し続けている。そして、キリスト教やイスラム教という宗教の垣根を越えて、"神"そのものに接近していく(双方の神が同一かという話ではない)ことも特に抵抗がないのもナイーブさの発現のようで興味深いし、宗教の共通性をスルッと指摘してしまうデュモンの手腕には感服。インタビューでも言っていたが、宗教という"舞台"の上で、神の存在を追い求めたいという欲求=愛を展開していくのは、どこか根源的な要素があって極めてデュモンっぽい。

セリーヌの物語の裏側で、収監されていたダヴィド・ドゥワエルが更生して真っ当な仕事を始める姿が映し出される。彼は『アウトサイド・サタン』で世界を浄化する男を演じており、本作品でも同様の役割を追っていることから二つの作品が精神的な繋がりを持っていることが分かる。
4.0
【敬虔と社会不適合者】
先日、第74回カンヌ国際映画祭のラインナップが発表されました。カンヌ国際映画祭は非常に保守的であり、今回はNetflix作品がゼロなのは勿論、カンヌ経験者が殆どをしめている入りづらい居酒屋状態となっている。正直、カンヌの真面目だけが取り柄な作品がパルム・ドールを獲る状況には辟易としているので、地雷が多くても意欲的なラインナップを揃えるベルリン国際映画祭のサブ部門の方が関心高いのですが、ブリュノ・デュモンの新作『France』が来るとなれば話は別だ。2010年代は、素人俳優を起用し、地方都市でユニークな作品を撮っていた彼が、レア・セドゥを主演に交通事故で人生の歯車が狂い始めるジャーナリストの人生を描いたらしい。パルム・ドールはカンヌ歴が長い且つ社会派が受賞する傾向がある。雰囲気的にアスガル・ファルハーディーの新作『A HERO』が獲りそうな気もしますがダークホースとして応援したい。

閑話休題、カンヌシーズンとなりましたので特集をしようと思う。今回はブリュノ・デュモンの『ハデウェイヒ』について書きます。

宗教とは人間の心の拠り所である。この世の理不尽を避雷針のように受け流す役割がある。そして、ある規律に人々が従うことで良質な人間関係が築けたり、孤独が癒えたりする。しかしながら、敬虔すぎるとそれは悪にも変わる。人間は機械ではないので一貫性を保ち続けるのは困難だ。宗教は非科学的な側面もあるため、矛盾が生じていたりする部分もある。宗教を真として一途を貫き通すことは周囲にとって厄介なことだったりする。

ブリュノ・デュモンはそんな宗教の矛盾を、建築で象徴させている。冒頭、リフォーム中の教会を背に仄暗い空間でハデウェイヒ(ジュリー・ソコロウブスキ)は長い長い祈りを捧げる。そして、その後彼女は修道院から出て行けと言われる。敬虔、神聖な空間であっても思考はアップグレードしていく。それに適応できない様子がこのシーンから読み取れる。

実家に帰るハデウェイヒ。彼女の実家は裕福であり城のような空間で暮らしている。保守的な家に思えたが、それはハリボテであり、宗教の孤独を癒す側面は存在しない。彼女は居心地の悪さを感じている。

そんなある日、カフェでイスラム教徒のヤシーヌ・チク(ヤシーヌ・サリム)と出会う。彼は盗んだバイクで走り出す不良だ。しかし、彼の勧めで兄が率いるイスラム教原理主義のセミナーと関わる中で、彼女の求める宗教観が一致し、過激派の道へ転落していくのだ。キリスト教だろうが、イスラム教だろうが敬虔さがいきつくところの過激な原理主義という本質的なものを鷲掴みにしつつ、保守的な空間、現代的な建築、そして改装される教会という空間をハデウェイヒに横断させることによって映画的視点を導き出したブリュノ・デュモンはやはり天才だなと思いました。と同時に、単に宗教を批判したり、宗教にのめり込む社会不適合者を破滅させる安易さに陥ることなく、社会からの拒絶と罪と、救いの境界線を曖昧にしていく演出がよかった作品でもあります。

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