虞美人草の作品情報・感想・評価

「虞美人草」に投稿された感想・評価

三四郎

三四郎の感想・評価

4.9
着物、畳、障子、和室…なんと落ち着く風情。街道、子供たちの歌声…日本映画は絵になる。
この小説は、宗近君がいいんだよなぁ。
漱石の小説の映画化を初めて観たが、素晴らしい出来栄えだ!
霧立のぼるのような目のクリクリした西洋人形のような人に藤尾の役は無理だろうと思っていたが、見事に演じきっている。鋭い目線、妖婉な動き、高笑い…。糸公と宗近君の会話から花火、顔の動き、バックに流れるメロディ、日本人形、観覧車…素敵だ、実に綺麗な綺麗なシーンだ。
台湾館での会話、メロディ、亡国の菓子、西洋人、全てが素晴らしい演出。霧立の表情も台詞回しも流れるようだ。

甲野さんが宗近家を訪ねて行き、糸公が接待する場面。糸公は彼に座布団を敷き、自らは畳の上に座る。これこそ日本の美。ベルリン留学中に観た映画なので、余計にこのシーンに「日本の美」を感じた。古い映画には学ぶことが多い。
「あなたは気楽でいい」「そうでしょうか」「それでいい。いつまでもそれでなくっちゃだめだ」漱石は、ハイカラな女も多く描いたが、彼が幸福にしてやろうとする女、印象良く好ましく描く女は、糸公のような純粋な、清純な女性だ。彼はモダンすぎる気の強い女を嫌ったのだろう。
「兄さん…、女は驚くうちは楽しみがあるって、あれ本当?」こうゆうシーンが好きなんだよなぁ。
文学の映画化に成功している傑作だ。