どうやら主演の子役には実際に車を盗んで感化院に収容されている少年を抜擢したようだ。また終盤の刑務所のシーンも本物の旧ソビエト強制収容所内で撮影されているが、これはもちろん初めて許可されたものであり、監督は48年、シベリア・ハバロフスク生まれである。今思えば、モスフィルムで照明係として私のALL TIME BEST 級の傑作タルコフスキーの「ストーカー」に参加後、84年から監督に進出。ビートルズを演奏するバンドを描いた作品が注目を集め、本作の次には、ソビエトが崩壊した後の行き場を失ったモスクワの若者たちを描いた名作があり、そちらも今回VHSのみだったため購入して初鑑賞したが傑作だった。その後ロサンゼルスとモスクワを活動の拠点とし、ロックウェル監督の作品の脚本執筆し、トルストイの小説をチェチェン紛争に置き換えた「コーカサスの虜」(こちらも今回VHSを購入して初鑑賞したが傑作)は96年のカンヌ国際映画祭で批評家連盟賞および観客賞、カルロヴィヴァリア国際映画祭グランプリ、ソチ映画祭グランプリを受賞し絶賛され、世界で注目される監督となった人物である。