ドストエフスキー文学と共に歩んだ一人の女性の数奇な半生を追ったドキュメンタリー 80歳を超える翻訳家スヴェトラーナ・ガイヤーの横には、華奢な姿に不似合いな重厚な装丁の本が積まれている。『罪と罰』、『カラマーゾフの兄弟』、『悪霊』、『未成年』、『白痴』、言わずと知れたロシア文学の巨匠・ドストエフスキーの長編作品。それらを“五頭の象”と呼び、生涯をかけてドイツ語に訳をした。1923年ウクライナ・キエフで生まれ、スターリン政権下で少女時代を過ごし、ナチス占領下でドイツ軍の通訳として激動の時代を生き抜いた彼女は、なぜドストエフスキーを翻訳したのだろうか?高潔なる知性と独自の哲学を持って、ドストエフスキー文学の真の言葉を探す横顔には、戦争の記憶が深い皺となって刻まれている。彼女の戦時下の通訳として生きる術となり、家族を養った。そして、癒えることのない悲しみから、彼女を救ったのはまた言葉と本の力だった。一人の女性が歩んだ数奇な半生にひっそりと寄りそう静謐な映像が、文学の力によって高められる人の営みをたおやかに描き出す。
未来のために、過去を「金」で継ぎ合わせて。旧市街の片隅で 私たちは語る 信じて欲しい 壊れた過去も美しいと。 トビリシの旧市街の片隅。作家のエレネは生まれた時からの古い家で娘夫婦と暮らして…
>>続きを読む“完璧な⽂章などというものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね”。メッテは『⾵の歌を聴け』の⼀⽂について想いをめぐらせる。現実と空想の世界が重なり合う村上春樹の世界観は翻訳家によっ…
>>続きを読む1961年4月11日イェルサレムで始まった裁判は、イスラエル政府の意向で裁判の一部始終が撮影・録音され、その内容は全世界37カ国で放映されたと言われている。イェルサレムに保管された、アメリ…
>>続きを読むナチス宣伝大臣ゲッベルスの秘書、ブルンヒルデ・ポムゼル103歳。 彼女の発言は、20世紀最大の戦争の記憶を呼び起こす。 若きポムゼルは、第二次世界大戦中、1942年から終戦までの3…
>>続きを読む戦後に「ナチス協力者」のレッテルを貼られ、非難、黙殺を受けながらも数多くの裁判を闘い抜き、70歳を超えて写真集を出すなど101歳で亡くなるまでクリエイティブの現場で活躍し続けたレニ・リーフ…
>>続きを読む運よく収容所行きを免れ、大胆にもドイツ人兵士に成りすましてベルリン市内の空室を転々としたツィオマは、ユダヤ人の命を救うための身分証偽造を行った。友人とともに戦争未亡人を装って映画館に出かけ…
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