つつんで、ひらいての作品情報・感想・評価・動画配信

「つつんで、ひらいて」に投稿された感想・評価

AnnaAbe

AnnaAbeの感想・評価

3.8
「関係性の中で人はうまれる」という菊地さんの言葉が印象的。著者によって生み出される文章と、装幀家によって形づくられる紙の本。その魂と身体がひとつになるまでに、周りの編集者や印刷会社の人、そのさまざまな人々の関わりによって、本そのものが人となっていくことに愛おしさを感じた。
私もデザインをやっていて、単純に純粋に菊地信義さんの装幀を敬愛して止まないので、食い入るように観て、その姿勢や一挙手一投足を眼に焼き付けながらずっと歓喜と感動に打ち震えてました。本当に素晴らしい。本当に有難うございます。

DFP痩金体の「雨」の文字、トレペ等の漉きムラにより同じ本でも紙の表情が全て違うこと、デジタルで調整するアシスタントはいても基本作業が全部アナログなこと、書き文字も洒落てて羨ましい、デザインとは拵えること、グラシンの代わりにトーメイ新局紙を使用、C56, M92, Y93, K36のカラーetc.と参考にも刺激にもなること盛り沢山。

生活で丸まってしまった背骨が凛と立つような気を引き締めてモノつくりに改めて向き直りたいと思わせてくれる素敵な作品でした。

〈言葉は人間なんか相手にしてない〉
菊地信義の装幀が大好きなので
死ぬほど良くて感動してうれしくて終始泣いていた。
多幸感。

クリエイティブやデザインに関わる人には絶対に観て欲しい。
おすすめとかではなく絶対に観て欲しいし、
クリエイティブやデザインに関わらない人でも
本を作るのにどれほど細部に拘って
神経を使い心血注いでるか知って欲しいから観て欲しい。
文字を1ミリ左にとか0.5下げるとか3%長体かけて詰めるとか
それだけで本の表情が変わってしまうこと、
細部にこそ神も美しさも宿るのだ。

菊地信義の弟子である水戸部功の装幀も大好きなので
水戸部功が登場してたのも良かったし、
軽やかだけど芯に強いプライドが通ってる菊地信義に対し
水戸部功が抱えてる苦悩が真に迫り過ぎていて胸が痛い。

昨今のミニマリズム思考でシンプルな生活に美徳を見出し、
物を持たないことが格好良いと洗脳されてる人たちに
資本主義とか消費社会とかいうことではなく
物に囲まれることと物が心を豊かにすることとは
本質的に違うのだということをもっと自分の頭で考えて欲しいと
美しい装幀の本を見ていると心からそう思う。
物資が豊かにするものが確実にあるのだ。
そういう意味でも色んな人に観て欲しい作品。

あと、デザイナーのアーロンチェア率の高さを改めて思い知った。
いおり

いおりの感想・評価

4.4
もう一回観たいドキュメンタリー!
本の装幀ができるまでの過程を、
プロセス順に、かつ装幀師、作家ごとの個性も交えながら観せてくれる。
劇場用のポスターは立体的な装幀紙風で、細かい部分へのこだわりが素敵。
全体的にすごく丁寧な映画!
装丁家菊池信良さんのドキュメンタリー。

・本の内容が脳や心なら、装丁はその身体となる。
・デザインにはその先に人がいる。日本語にするとしたら「こしらえる」が近いように思う

備忘録メモ
tada

tadaの感想・評価

-

このレビューはネタバレを含みます

装丁家、菊池信義さんのドキュメンタリー。ええまって未だに手で切ってピンセットで配置して、、コピーしたり色指定したりしてるの、、という衝撃と拡大トレースできる謎の機械。。。。は置いておいて、(でも昔は当たり前のことだったんだよな、映画の真珠の耳飾りの少女でフェルメールがカメラオブスキュラで像を見てるシーンをなぜか思い出してしまった)
図録などの写真で拝見するよりもずーっと楽しい。稲川方人さんの流通できなかったバージョンの『聖─歌章』なんか書店で見たら迷わず買っているなというくらいツボでかわいかった。。あ〜〜。平田俊子さんの『宝物』もそうで、一番外をグラシンで包んでいて、帯を小口まで回さないの、それが着物みたいに綺麗な色で何枚か重ねてあってめちゃくちゃ良い。というか水戸部さんか川名潤さんか誰かが、一番外をトレペで包もうとすると流通過程で破れるから出来なかったって言ってた気がするけど、この時は?グラシンだったから?大丈夫だったんだな。最後のブランショの本もとても綺麗だった。高くてなかなか買えなさそうだから古本屋か図書館で眺めようと思う。
にしてもやっぱり今書店で見る本とか、それこそ水戸部さんの世代で活躍されてる装丁家の作品と比べると、本当に装丁家に求められているものが違うんだな、と思うし、今学生の私たちの世代はこれからどんな仕事の仕方になっていくんだろうという気持ちに、どうしてもなる。ま、今はあまり真面目に考えたくない。私は楽天的すぎるが、せっかく楽しいものを見たから。
あと、文脈がわからないけど「死装束」は衝撃的だった。
Moomin

Moominの感想・評価

4.4
装丁家 菊池信義を色々な角度から描く
ファーストカット 紙をくしゃめる音の先入りから始まり手元のショットから入る 寄りから引きへ 徐々に人物が見えてくる構成 最近の作品において多く使われるサスペンス的な物語の始まり 観客の興味を引く効果
作品の構成は白バックに黒文字の短いテロップを載せ その題材を菊池さんはじめとしたアシスタントや弟子、依頼する出版社、印刷会社までに広げ「菊池信義」を描いていく
更には人物を描くと共に装丁家の職人技を深堀していく デザインに込められた気持ちを聞くわけではなく工程をカメラに収める そこから伝わるものを観客は想像していく
感想になるが 被写体と制作側との距離 それが心地良く 且つ垣間見える監督の広瀬さんが見る菊池信義さん(装丁家)の像が強く出ていたと思う そして物語の終わりが菊池さんの引退の話へとしっかりストーリーがあって 菊池信義さん自身その時その場所で撮られるべき存在であったのかなと少し思った インサートの実景がまた綺麗だった…

∴雑談
 ファーストシーンの菊池信義のテロップはフェードインからの画と一緒にカットアウト タイトルのつつんで、ひらいてはカットインからの画をフェードアウトさせてテロップ残し そこのテンポの作り方が秀逸だった
 音楽を使うシーンが多く見られた タイトル後の印刷機とのテンポの相性が良かった さがす の章の冒頭の菊池さんの買い物のシーンでの音楽など映像的工夫がいくつも見られて読み取れない部分もあったが気付いた点として
 菊池さんが人間との関わりの中でしか存在しないと語った如くの作品って感じがした
ぱん

ぱんの感想・評価

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職場の人に立て続けに勧められたのでやっっとみました。装丁やエディトリアルに興味ある人は皆みましょう本当に素晴らしかった。
私はエディトリアルに興味があるといいつつ知識は全然ないし、装丁家も正直ほんの一部しか知らない。断片的にインタビューを読んだり、売り場に出ている完成形のものを見たりしていたけどリアルな現場を映像を通してみると正直しびれた。ましてや巨匠ともなる菊地信義さんの本への姿勢たるや。PCを一切使わず切って貼って折って包んでまたひらいて本を"こさえる"。私たちが知らない写植時代とはこれなのかと目が離せなかった。紙や印刷への眼差しもまた素晴らしくて、常に新しく美しい表現に挑んでいる姿が今もなお楽しそうだった。改めて思うのは容易い仕事ではないし、志半ばでやることではない。ただ目の前の本をどう美しくできるか、なぜそれが美しいのか、ちゃんと思想理論を持って本に落とし込めるようになりたい。すごく喝が入りました。ありがとうございました!
kanko

kankoの感想・評価

4.0
本が好き、物としての本も好き、と言う方は絶対面白いと思う。もうずっとワクワクとしながら観ていた。
普段多分本と言っても中身の方しか話題に登らないと思うんだけどそれだけではきっともったいないと思う。装丁って一体どんな方に寄ってどんな風に作られているんだろうとぼんやり考えていたけれどその過程を見れて胸にグッときました。

装丁家の菊地信義さんを追いかけたドキュメンタリーなんだけど彼の装丁、文字の置かれ方が本当に良いんだよなあ。

彼が装丁を手がけている作家、在りし日の古井由吉さんがインタビューに出られていてこれからの本のありようみたいなお話もされていたのが印象的。手に取る人がいなければ本という物は無くなっていってしまう。
とは言えKindleで本を読んでいたりする自分も居るんだけど。もう、本を置く場所が本当にない。

でもこの映画に出てきた古井さんの本をポチってしまった。うっとりと手のひらにその本を感じたい。

いつかどこかの書店で菊地さんの装丁した本を集めたブックフェアやってくれないかな。きっとあれもこれも欲しくなってしまうでしょう。
装幀について。
どういう思いで制作されているのか、表紙だけでなく、その次の紙選びまで。ストーリーに繋げるように選んでいた。
俄然、紙で読みたくなる。
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