チェコスロヴァキア・ヌーヴェルヴァーグ特集。

こいつは面白い。好みですねえ。70分って上映時間もナイス。カフカ的官僚性と迷宮性、その不条理さへのあてこすり&後藤明生的なすっとぼけて先の読めない「アミダクジ式」展開。モノクロの美しく端正な画作りが題材と不釣り合いで、それが余計に奇妙さを引き立てる。パーティー主催者=権力者のいささか頭が弱そうな義理の息子がパーティー中に出す意味不明の司令に人々が何の感情も表すことなく淡々と立ち上がって従うところなんぞドライなユーモア炸裂。そりゃあこんな作品作れば国から「俺らを揶揄しとるんか」となりますよ（逮捕&上映禁止）。抑圧的な社会体制が二重言語的作品を生み出す下地になるという好個の例。

• #2017藤原

露骨なまでなおっぱいと太ももへの寄りに「おおっ！」となってたら、あれよあれよと全く意味のわからない迷路に迷い込んで行き「んんっ！？」となったけど、ブニュエル的（って言いたくなる）な不条理さは好みでしかないし、この「パーティー」は「集会」でありながら「政党」の意味も併せ持つと勝手に解釈すれば、そりゃ全体主義下でこのふざけ具合で目をつけられない筈はない。このギリギリアウトのラインを攻めてくる感じはまさにな感じ。判然とせず漠然としており、享楽的であり雑多、説明もつかぬ目的意識に意味も分からず強制（矯正）参加をさせられた挙句、脱落したものは罪人として追及される、指導力なき一党独裁の成れの果ては、おそらく飼い犬に手を噛まれて終わる。皆々がもれなくコミュニュケーション不全、ダメだこりゃな3人目のジョイマンみたいなおっさんがどっかの国のデブにすら見えてくる。ワンカット平均1秒くらいの矢継ぎ早。

洗脳する側・される側のそれぞれの闇。ダークな笑い。強烈だった最初の違和感もいつの間にかなくなり、徐々に”パーティー”になじんでいく。これこそ弾圧され続けた歴史を持つチェコの状況だったのだろう。恐怖きわまりないが、まあ現在の日本もこれ以上の悲劇的な現状なのだろうなと思った。この比喩、”パーティー”に違和感を持ち続け、参加せずに帰った1人の男の存在あってこそ。平和ボケした私たちのためにはこういう映画はないのか。

• #ooospem'17