アラビア語とヘブライ語の聞き分けができれば本作品の皮肉が多少なりとも理解できるのかと思うと悔しい部分もあるが、やはりそういう部分以外に"面白み"を求めてしまうあたり『天国にちがいない』で指摘されていた"部外者にも分かりやすくしないと製作資金が出せないし、セールスも出来ない"というフランスのプロデューサーの言葉を思い出してしまう。本作品の全体的な生臭さというか過激さは、それはそれで魅力的だとは思うし、デビュー中編『Introduction to the End of an Argument』が中々過激なコラージュ作品だったことを考えると、本作品を以てしても丸くなってはいると思うのだが、個人的には荒唐無稽さが増した後年の作品のほうが好き。