ニューヨーク、ジャクソンハイツへようこその作品情報・感想・評価・動画配信

『ニューヨーク、ジャクソンハイツへようこそ』に投稿された感想・評価

資本主義の名の下、文化の淘汰・人の淘汰が起きている様子を映像に収めている。

ニューヨークはジャクソンハイツ、移民やLGBTQなど米社会のマイノリティが多く住む地域を淡々と映す。
アメリカは人種・文化のサラダボウルだと高校のときの地理の先生に教わったがまさにその通りだった。

ソースのように混ざり合うのではなく、サラダのように素材は形のまま。
出身地域、文化、経済力、性的趣向によってコミュニティが分かれてしまいそれぞれが島宇宙のようになっている。

ナレーションは一切なく物事を映像に収めているだけだが、メッセージ性は不思議とある絶妙に上手い作り。長いけど。

140
honmosuki

honmosukiの感想・評価

4.0
ドキュメンタリー。ニューヨークのクイーンズ地区の町、ジャクソンハイツの人々を撮る。ジャクソンハイツは、移民系の人が多い町とのこと。ナレーションや挿入音楽無しで、町の空気を感じられる。主に移民やLGBTの人達の困っている様子や活動のシーンが多い。それらの問題は、現在の自分の関心事では無いが、普段関わらない人達の話を聞けるのも面白い。ハラールの食肉加工のシーンは唐突で驚いたが、見たことがなかったので、興味深かった。
久しぶりのワイズマン。4/24にこれと「ニューヨーク公共図書館」、4/29に「ボストン市庁舎」を見て、感想を書くのをさぼっていたから頭のなかで混ざりまくり。

はじめて見たワイズマンはチチカット・フォーリーズな気がする。1967年に撮られたら多分ワイズマンの長編処女作? 見たときは、沸いた!見たのは2012年くらいの、オーディトリウム??で特集をやっていたとき。ユーロスペースだったかな?
その何年か後にシネマヴェーラでも特集をやっていた気がする。一本立てで(当時はまだ通常時は二本立てだった)。

最近の作品で見てるのは、「パリ・オペラ座のすべて」(2009年)とか「クレイジー・ホース」(2011年)。2010年の「ボクシングジム」も多分見てる。オペラ座やクレイジーホースもおもしろかったけど、題材が煌びやかな世界だったし、それまでのワイズマンの映画とは異なる感じもした。
今回早稲田松竹で3本かかることになって、予告編を映画館できたときも、「ワイズマン、なんか方向性変わっちゃったのかなー」と思っていたけど(Bunkamuraル・シネマ感がすごかった。そして私が好まない感じのテイストだった)、結論、変わっていなかった気がする!
でも3本みて、ちょっとやさしくなったかな?と思った。題材がというのもそうだけど、膨大なカットのなかで、どれを作品に使うか、みたいなのが…。


映画はジャクソンハイツといういろんな出自を持つ人々が集まるニューヨークの地域の話。
土地と資本主義、市長、パレード、、
麻薬のストア、フードバンク、
移民の集会、、

などがぱっと思い出せるんだけど、こういうときに思い出せないカットがよかったりするんだろうな。鶏肉の処理場、美容サロンみたいなところ、、

いろんな人のいろんな表情や顔つきを見られるのがすき。
笑っているとかいないとかの話でもなく、もちろん姿形や造形の話ではなく、人間はこんなにもいろんな顔つきをするんだなと、そして人の顔っていうのはうつくしいな、って思った気がする。気がするけど、もう一か月以上前に見た映画、なんにも覚えてないよ!
OASIS

OASISの感想・評価

3.7
切り取り方が超面白い。
毛を糸で剃る美容室とか、鶏の首を掻き切ったり羽を毟ったりを繰り返す精肉場とか。
そこを見せるかぁという独特な感性があり、もちろん街の住民たちにもクローズアップするし、お仕事映画でもあり地元密着映画でもあった。

政府の経済発展特区政策によってじわりじわりと立ち退かざるをえない状況を作り出されている店主の苦悩や、どこに行っても生きづらさを感じてしまっているLGBTQの人々などの日常を淡々と。
彼らは常にどこかしこで討論会や集会をしていて、なんだか活動に忙しそうだ。

それとは別に、多種族が住む街だからこその独自の楽器や音楽が流れる催し物もあちこちで開かれていて、様々な人たちが参加していた。
でもこころなしか彼らが特別それを楽しんでいるようなテンションには見えなかったのは気のせいか。
akubi

akubiの感想・評価

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ひとはひとのために在るべきであると、彼がていねいに集めたこの場所のひとたちの声を聴いておもう。金と権力にとりつかれてしまったこの世界において、じぶんたちのここちよい居場所を探しこころの豊かさだけは失くさずに懸命に生きるひとびとの尊さと歓びと屈辱の涙の煌めき。わたしもそのいちぶであるはずなのに、なにもかもほとんど諦めてしまっていることに気がついた。届かない声が多すぎて。叶わない想いが零れすぎていて。
生きることは闘いだ。声をあげなければ聞いてもらえないこともあるだろう。でももうへとへとなんだ。

街からも個性が消えてゆき、微かにあるのは完璧に計算され強者にためにつくられたそれ。小さな酒屋や商店はなんちゃらばすけっとにかわり(お世話になってます!) スーパーがすべて某グループか某グループにかわりゆき、コロナ禍でも家主は店舗の家賃もかわらず元気に請求する。大手飲食店はメーカーから安く入手し(させ)激安価格をうたい、増えすぎた小さな飲食店や昔ながらの商店を潰してゆく。これは必然だし恨むべきひともいない。過去の彼方からわたしたちが少しづつ願ったことのすべての、結果なのだろう。もう止めることはできない。
きょうはこの空を憂い、水たまりを蹴散らす。そしてほかほかの白いご飯に、わたしなりのことばで祈るんだ。
彼の”語り” を編集で魅せる妙が、ほんとうとても好き。
tarch

tarchの感想・評価

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フレデリック・ワイズマン監督。毎度私の知らない世界を広げてくれるワイズマン監督作。この当時映されたものが、その後どれだけ残り、変わっていくのか。事実をありのまま映し出す監督のこだわりが、今そこに生きる人々を、真っ直ぐに捉える。
(2022.159本目)
ドキュメンタリーでありなが、リンクレイターの「スラッカー」や「マスター・オブ・ゼロ」の“New York, I Love You”というエピソードを思い出す。
ジャクソンハイツという場所がどんな街なのかは知らなかったが、そこに生きる人々の幸せから苦悩はアメリカらしくもあり、日本に住む身としても身近に感じてしまう面白さがある。
りっく

りっくの感想・評価

4.2
街のざわめき
人間交差点、人種の坩堝
店先の商品店舗の色彩カラフル

いろいろなコミュニティ
現状を訴えるもの
熱心に耳を傾け賛同するもの
冷めた目で距離をとるもの

声を上げること
心を動かすこと
行動すること

作りて含めてジャッジしていない
よりよいコミュニティ作るには
地域の一員として参画する意識
多様性の団結誇り

LGBTQコミュニティセンター
宗教
学区再編
再開発経済発展特区による店舗移転
住宅不足により富裕層移ってくる
俺達を代表する政治家の不在
女装したほうが安全
黒人男性だと恐怖の対象
344

344の感想・評価

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とにかく丁寧。ワンカットごとに恣意性はないが、繋げていくことで物語が生まれ、観客を楽しませつつそれとなく作家性が生まれてくるのが憎めない。
LGBTqの聖地、地上げと立ち退き問題、ドラッグの話をする教会…様々な顔が重層的に折り重なる地区であるジャクソンハイツ。ただ生活があるだけであることを見るだけで我々は野次馬としての快感を得、カメラそのものになる。ドキュメンタリーは誘導があからさまだと興醒めなので、うんと明示的かワイズマンみたいに巧みに隠してくるのが好きですね。
我々がワイズマンを通してジャクソンハイツを見たからといって、押し寄せるネオリベの波なり、この地区特有の問題なりに何かが出来るわけではないが、街そのものを見たかのような感覚が人生において何らかの影響を及ばさないはずはないので、あくまでも自己満足的にドキュメンタリーを楽しんで何が悪いんだという開き直りとともに満足に見終えました。
Arx

Arxの感想・評価

4.5
いつものワイズマンスタイルではあるが、場所とテーマのチョイスによってローカルなクイーンズの1地区の記録映画ではなく、下記の重層的な問題提起を含んだ作品となった
・民主主義と人種の坩堝であるアメリカという国の理想と現実
・LGBTや移民など2010年代の問題
・貧富の格差とジェントリフィケーション

そして何より重要なのがそれを徹底的に市井の人の視点から見せていることだ。上記のようなポリティカルなシーンだけでなく、老人ホームで生きていてもしょうがないから自殺した方がマシと愚痴る98歳の老人、編み物をしながら共同墓地の管理をどうするが話している(結局好きな俳優の話に脱線するが)奥様方など、井戸端会議や買い物など取るに足らないシーンも多くある。結局、政治に関するシリアスな話もどうでも良い雑談も一般市民からしたら同じ日常の出来事である。編集によってそこをフラットに見せていきつつ、退屈しないテンポ感を出していく手腕はさすが。

内容の大小は関係なく、ここに映る「市民」は自分が体験したこと、そしてどう感じたかを明確に語り相手からの返答に明確なレスポンスを返す。この映画には冒頭の問題について、「結果」としてのハッピーエンドは提示されない(例えば店の移転話が結局どうなったかは分からない)が、コミュニケーションという「過程」こそが希望であり、それを映画的としか言いようがない方法で見せることに完全に成功している。
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