トゥ・リエンの作品情報・感想・評価

トゥ・リエン1980年製作の映画)

TOUT RIEN

製作国:

上映時間:10分

3.9

「トゥ・リエン」に投稿された感想・評価

綺麗なタッチで描くからこそ汚さを感じる、人間として生を受けた以上わたしも強欲をもって生活をしているのに
hum

humの感想・評価

4.7
たった10分間の絵本のようなアニメーション。とにかく一度見てほしい!!
たった1人で企画・脚本・作画を行っているフレデリック・バック。
これは宮崎駿が惚れるのも頷ける…。

内容は決して軽くないが全体的に幻想的で柔らかい雰囲気の為とても見やすい作品。
自然と人類との特異な関係性を描く内容もさることながら、何より素晴らしいのは絵の表現力。幻想的な色彩に彩られた『タッチ』『質感』が動き回る。
命が吹き込まれた絵画。
特に動物の表情やしぐさが本当に愛らしい。
物凄く濃い10分間になるはず。

神は万物を創造し最後に人間をつくった。

神は人間に自然界の一員として魚の力を与えた。海を自由に泳ぎ回れるように。
最初は満足だった人間も次第に不満になり泣き始める。

次に神は人間に自然界の獣の力を与えた。
大地を走り回れるように。
次第に人間は不満になり泣き始める。

次に神は人間に自然界の鳥の力を与えた。
空を自由に飛べるように。
次第に人間は不満になり泣き始める。

とうとう呆れた神は人間に自然界の力を何も与えなかった。
すると人間はどうしたか??
武器を作り火を起こし、無差別に、又快楽的に動物達を殺し、それを着飾ってみせた。
海を汚し、木を切り倒し、膨大なゴミを日夜生産・廃棄し、大地をコンクリートで埋め尽くし巨大な建造物を建て、その力の偉大さに彼らは笑っていた。
神は驚く。何故こんなことを。
この時の神(であろう人物)の驚く表情がなんとも言えない。物言わぬ自然界の声、或いは作者自身の嘆きを代弁するかのような。そして人間の表情。とんでもない蛮行を行っているのに何故か自信と希望に満ちているように見えた。

人間の強欲による支配は次第にエスカレートし、遂には神に対して槍を投げ殺してしまう…。

物語の展開と音楽が巧みに連動しているので、繊細さと力強さの抑揚がより映える。
自然界の寛容さ・美しさの描写にとにかく説得力があるので、その反動としてそれを破壊する人間の浅ましさ、強欲さが痛い程伝わってくる。

フレデリック・バックの作品には共通して
自然に対する深い愛情と慈愛の心を感じる。とても繊細で優しい人なんだと。
しかし同時に言いたくもない事を言わなくてはいけないという嘆きと強い憤りを感じる。

人や動物、自然、地球を心から愛したからこそ彼は生涯表現を続けたのだと勝手に思う。
彼が10分間に込めた気持ちを理解するにはまだ遠いけど、感情は揺さぶられました。

音楽・線のタッチの柔らかさ、色彩のグラデーションによる幻想的な雰囲気など子供も楽しめる、教育としても素晴らしい作品なんですが表現力がありすぎる故想像以上に怖いです。
小学校高学年あたりからなら大丈夫かと。

この作品をリスペクトする事自体とんでもない矛盾。
それでもフレデリックバック尊敬します。
ありがとう!
神さまが星々や太陽を創造し、地球を作り、美しい植物を動物を作ったあと、さて、お次はと半魚人を作るんやけど、こんな姿は嫌だ!と泣くので、ならばと、獣人に変えてやると、ノミが痒い!と不平を垂れる。なので、鳥人に変えてやると、体が重くて木に泊まれねーだろぼけ!と怒りをあらわにし、ならばと特徴のない人間に作り変えてやる。すると、彼らは武器を作り出して、今まで神が創り上げた動植物を殺戮し、けばけばしく着飾り、ついには弓矢で神様をも殺してしまう。そこから蛮行に次ぐ蛮行。毛皮で着飾り、メイク塗りたくり、文明をどんどん発達させ…と展開する。本作はアーティスティックな落書きとでもいうべき柔らかく美しい画風のサイレントアニメで、最終的には人間と自然との調和のうちにこそ神が存在することを示唆して幕を閉じる。キリスト教的な天地創造から始まって、最終的には非キリスト教的な自然と人間の共存という結論に行き着くところが、内容としては面白いなぁと。滑らかに次々と展開するアニメーションが、見ててとても気持ちよくて、あと、音楽もとても印象的。こういうの見ると、この監督は一体どういう思想の持ち主なのかが気になってくるね。クリスチャンぽいようで、そうでない部分もあり…。何考えてはったんやろなーと。映画としては、短いのでパパッと見れる上、面白いのでお得な作品。是非。
切り絵の雰囲気を排し、なめらかで優しいタッチになっている。
しかし途中から人間が生まれて、神を殺し、狩を好き放題やる横暴な様を、残酷に描いている。
フレデリック・バックは、やりすぎた文明の発達により自然と共存できなくなる人間をよく描いている。