何回か挫折しつつ、やっと通しで観られました…。
夕焼けのあの色をもう一度見たいと思わないのか。あの世からでも見たい景色を前に、目を閉じてしまうのか。というおじいちゃんの言葉が印象的。
夕焼けだけ…
車窓から覗ける橙に染まった気色は暖かく、始終聞こえる小鳥の囀りと風のそよぐ音が心地良い。正しく、映画にしかできない表現。
指で体のあちこちを触ると、どこも痛く感じる。それは身体が悪いのではなくて、指…
静かでゆったりとした時間が流れる映画だ。しかしとてもドラマチックだ。
シナリオの構図とカメラワークの巧みさはもちろん、小説でいう余白の部分が非常に観る者の想像力を掻き立てる。
そして圧倒的なリアリズ…
結末は見せないラスト。穴の中に入っている時の表情がリアルな感じがした。
死ぬ時を自分で決められない、時や他者に決められるものであって、ただただ生きることを求められるのは苦しい。
しかし、生きものとは…
「桜桃の味を忘れてしまうのか」
小津安二郎のように抑制的なカットが多く、映画の印象を緻密にコントロールしている
話の筋がシンプルだからこそ人間と神、現世と死後の世界、倫理、宗教、道徳、様々な要素…
はじめて会った人に車の中で、穴の中に入っている私に土をかけてくれとお願いするというのは、なかなかの変態ではと思った。
何故関係性がない人に、自分の死と関わって貰いたいと思うのだろう。孤独だから…
死を求めて車を走らせる主人公、でも映像には静かに美しい風景や人の暖かさが流れ続けてる。死の予感を感じさせないままに映画は終わって、撮影シーンに。この映画が虚構であることを明確に示すと同時に、その虚構…
>>続きを読む(C)1997 Abbas Kiarostami