ブルー・バタフライの作品情報・感想・評価

ブルー・バタフライ2014年製作の映画)

Blue Butterfly/An Ornament of Faith

上映日:2017年12月02日

製作国:

上映時間:89分

あらすじ

義父から性的暴行を受けて育ったヤズは、本来の柔和な性格が一変し、心やさしい義兄のマニーを利用しながら酒やドラッグに身を任せる荒んだ生活を送っていた。マニーはヤズを守るために犯した罪で仮釈放の身だが、ヤズへの “特別な想い” を隠しながら、困ったときに頼ってくる義妹をなんとか支えようとする。一方、マニーの保護観察官ブレナーは、自分のせいで死んだ実の息子にマニーを重ね、マニーからヤズをひき離すことで…

義父から性的暴行を受けて育ったヤズは、本来の柔和な性格が一変し、心やさしい義兄のマニーを利用しながら酒やドラッグに身を任せる荒んだ生活を送っていた。マニーはヤズを守るために犯した罪で仮釈放の身だが、ヤズへの “特別な想い” を隠しながら、困ったときに頼ってくる義妹をなんとか支えようとする。一方、マニーの保護観察官ブレナーは、自分のせいで死んだ実の息子にマニーを重ね、マニーからヤズをひき離すことで彼を立ち直らせようとする。しかしヤズの荒れ狂った行動はさらにエスカレートしていく…。

「ブルー・バタフライ」に投稿された感想・評価

菩薩

菩薩の感想・評価

4.2
幼虫から蛹、蛹から成虫へと変態を遂げる蝶のように、人も皆美しく、そして力強く空へ羽ばたいていければいいのだろうが、幼虫の段階で鳥に啄ばまれるものもあれば、せっかく蛹になったにも関わらず中で腐って死んでしまうものもいて、そうやすやすと羽を伸ばしきる事は出来ない。割れた鏡に映る粉々に砕け散った己の姿と、普通の鏡に映る己の姿と、でもおそらく、髪をかきあげながら彼女が目の前の虚像に発する言葉は、「お前は一体誰だ?」なのだと思う。森山大道が映す新宿の様に、薄汚れていながら少しばかりの威厳を保ち佇む廃墟、そして廃墟の様な人間のもがき喘ぐ姿。どうしようもないと思う、どうしようも無い女だなとは思うけど、でもそんなどうしようも無さを誰かが愛してやらないと、飛べない蝶はただの虫なのかもしれないが、そんな彼女を…無…視……出来ないのは俺も同じである、今年観たヒロインで1番魅力的だった。音楽はコンボピアノ牧野琢磨、卒なし。
日本人監督の作品ではあるが、日本人のキャストはひとりも出ていない。物語の舞台もアメリカのニュージャージー。作品の大部分はモノクロで、部分的に登場するカラーの映像が鮮烈な印象を与える。もしこれが、監督名が伏せられ、パリあたりの小さなシネマテークで上映されていたら、誰も監督が日本人であるとは気づかないだろう。それほど「日本的」痕跡はほとんど見当たらない。

監督の日比遊一は、1964年、愛知県名古屋の生まれ。87年、俳優をめざしてアメリカへ渡り、アクターズ・スタジオの共同設立者のロバート・ルイスに師事、その後7年間、演技を学ぶ。94年、撮りためていた写真をデニス・ホッパーに激賞されたことから、写真家に転身。98年には監督として初の映像作品も発表。現在はニューヨークに在住して、活動を続けている。

映画監督としては、2016年に発表したマイケル・ダグラス、ポール・シュレイダー、マーティン・スコセッシ、ジョン・ウーらの証言で高倉健を描いたドキュメンタリー作品「健さん」で、日本でも名前を知られるが、この作品「ブルー・バタフライ」は、その2年前の14年に完成させていた彼自身初の長編劇映画。アメリカのインデペンデント映画をサポートする団体IFP(The Independent Filmmaker Project)により、その年デビューした監督の作品ベスト25に選出されているという。

物語は、酒とドラッグの日々を送るメキシコ系の女性ヤズが主人公。彼女は義父から性的暴行を受け、いまは麻薬の売人としての生活を送っている。そんな彼女を守ろうとする義兄のマニーだったが、ヤズの荒んだ暮らしはあらたまる気配はなかった。孤独を胸いっぱいに抱えたヤズは、気持ちとは裏腹に、ついには救い難い邪悪な行動へと出てしまう。かつて義兄のマニーはヤズを義父から救うため犯罪を犯していたが、そのマニーをヤズから引き離そうとする保護観察官の思いも絡み、都会で暮らす心に空白を抱いた人々の人間模様が描かれていく。

写真家としてはモノクロ作品を中心に撮影している日比監督は、映画でもその流儀を通しているが、時折インサートされるカラーの映像は鮮烈で、この作品のキーポイントともなっている。物語は、マニーを救ける保護観察官の存在がストーリーに変化を与えているが、最後のヤズの行動のきっかけとなるエピソード以外は、かなりオーソドックスなものだ。もうひと工夫欲しい感じもするが、モノクロの映像から生み出される俳優たちの存在感がそれを補っている。今後もこのような劇映画も手がけていくのだとすれば、なかなか期待が持てる監督かもしれない。日本人野球選手がアメリカでも活躍する昨今、映画でも彼の地で勝負のできる監督となってほしい気がする。
Marrison

Marrisonの感想・評価

4.8
まともな人たちが本気で物づくりしたらザクッと凄味に届く。その好例。少なくともシナリオと演技(全員の)は、私に唾を簡単にはゴックンさせないキツイ素晴らしい時間帯をたくさんくれた。いい意味で、しょっちゅう緊迫してた。
技術的にどうこうっていうのはないけど、印象は端麗鮮明で、まるでカラーみたいな白黒映画。白黒みたいなカラー場面が3%ぐらいは交ざる。カラーらしいカラー場面もごく稀にあった。

じつは最初、尖りアゴで鼻がでかい三日月顔の主演派手女優(ヤズ役)への引っ掛かり(個人的理由から、警戒心とか)が少しあった私。
でも、路上での女子三人(ヤズと金髪おかっぱファティマと黒人)の悶着シーンで、作品への不信感は解消。一対一を引き締めるのは簡単だろうけど、キビキビした三つ巴っていうのはセンス良くなきゃ撮りきれないと思うから。各演技全然下手じゃないし。

マニー義兄ちゃん、いい人。寝床での兄妹の和気が、後半まで効いてる。マニー役イヴァン・カミロの叙情味が作品全体に効いてる!
そんな義兄に妹ヤズがあそこまでヤッチャウまでが、ちょっとだけ拙速。シナリオが完璧じゃないとしたらここに課題。動機づけを積み増すべきというか、もうあと二、三の必然性の襞(ひだ)を折り込んでくれないとね。
それでも、ラスト近くの兄妹の短会話は珠玉! その後の最ラストはもうちょっとコッテリさせてもいいかも。蝶のあの青色はあんまり好きじゃない。



ところで、なぜヤズ役のトレイシー・ペレスを私が警戒したかっていうと、小6から高卒頃まで親友だった元クラスメートの某美にとても似てるから。某美の方がトレイシーより一段綺麗だった。明るくて笑い上戸で八方美人で男子とも気兼ねなく自信たっぷりに喋れて友達がすごく多い子だった。(私はお茶目で笑わせ屋だけど奥手で浮き沈みが激しくてひたすら情の深いタイプだった。)
某美とは、特に小6から中1にかけて、二人だけで映画ごっこをした。某美がゾンビとか悪魔とか悪人S系の役、私がちょうど今回のファティマみたく半端善人M系の絶叫逃げ泣き役で、共作したオリジナル物語を毎日毎日演じて遊んでた。時々SとMを役交代した。チラシ・ポスター・パンフ・鑑賞券とかも手作りして本当に楽しかった。脇役の子をあと二、三人引き連れて、夏休み中も映画活動日を設けて灼熱下の公園に集まりまでした。
当時、あんまり私と某美ばかりが仲良いために周りから「あの二人は百合?」とか噂された。
華麗な某美とはその後、三角関係・四角関係・ダビデの星的ダブル三角関係とかもうドロドロのモツレと嫉妬と喧嘩と絶交と仲直りを繰り返してお互いうんざりし合いながら“親友“を続けたが、19歳の時に彼女が突然アメリカへ消えてしまって、その後彼女から私への(なぜか)長い説教の手紙が一通来て、それきりつきあいが完全に切れた。(ご近所だから親同士はその後もずっと親しくしてたみたいだけど。)
思春期を通じて最も影響を受けたと思うぐらい大切な友だったのに、切れてしまって以後は、恋を邪魔されたとかドロドロ関係が一番思い出されてしまう。もうあれから幾星霜……なのに。人間って悲しい生き物だと思う。
いつもいつも彼女は私以上に派手で楽しそうで小6時点で恋愛三回ぐらい済ませている子だったけど、家庭的には(一家崩壊的に)恵まれてなかった。私の方は、両親や兄から甘やかされて甘えんぼに育った。
…………そういうわけで、この『ブルーバタフライ』は、あの某美を醜くしたような女優さんが主演なので、気になって気になって、それと普通に期待もして観ちゃったわけなのだ。だらだらと変なことを書いた。
某美、元気でやってる?
TomoHojo

TomoHojoの感想・評価

3.9
公開前から気になっていたが、単館しかも午後の一回上映の為、ようやく時間が合ったので鑑賞。

全くもって希望の持てない、救いようのないストーリーだが、ニューヨークで写真家として活動している日々氏が製作、脚本と監督を担当して創り上げた中々見応えのある作品。自主制作感は否めないが、映像も凝っていて美しい描写が随所で表現されている。個人的には非常に好みな作風。

2014製作の作品を何故今頃公開するの?など疑問点は残るが、劇場に行って気づいたが毎週土曜日は監督自身の登壇トークがあるとの事。。。そこで色々と解明出来たのかもと思うと残念。。。

同氏がメガホンを取った大好評ドキュメンタリー「健さん」も観なきゃだが、今後の作品も大注目の監督さん登場で次回作が大いに期待出来る内容。
AS

ASの感想・評価

3.4
出口の見つからない、救い様の無い話。これとは対照的に美しいショットがチラホラ。この点は今後の強みになるだろうし、確かに次作が気になる作品ではある
Wonkavator

Wonkavatorの感想・評価

3.8
なんで日本人監督がこの設定とキャスティングでわざわざ映画を撮る必要があったんだろうか? と、鑑賞中ずっと気になって観ていたが、終映後の監督の登壇トークで全て納得。

そういう情報があった方が、変に身構えずに観ずに済んで楽だったのになあ...

「健さん」で好感触を得ていた監督なのと、自身も写真に関わっていることから、好感を持って観れた反面、「えー、そこそのフィルター使っちゃうの?!中学生がディズニーランド行って撮る写真みたいで安っぽくなるやん」みたいなのも、ちょっと気になりはした。

次回作含め今後要注目人物という理解。