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『春のめざめ』に投稿された感想・評価

5.0
「春のめざめ」

〜最初に一言、世界一好きな映画に今日なりました。青きエーゲの海で、絶え間ない潮裁と、あけっぴろげの太陽の光の匂まれて、ほのぼのと描かれる春の牧歌。映画芸術が到達した最高の叙事詩を敢えて早春に贈る。アンゲロプロスのギリシャ映画とはまた違うカメラの美しさ、古代楽器による音楽の神秘なエキゾチシズムは、本作の魅力をいっそう鮮烈に映し出し、暴力と悲劇、愛欲と歓びが大人と子供の世界に別れ同時進行していく超特大の大傑作である。これは"神"映画である〜


本作はニコス・コンデュロスが1963年に監督したギリシャ映画で、国内ではメディア化されておらず、YouTubeに落ちているのを初鑑賞したが大傑作。脚本はヴァシリ・ヴァシリコス、コスタス・スフィカス、撮影はギオヴァニ・ヴァリアノがそれぞれ担当しており、63年にはベルリン映画祭最優秀監督賞を受賞している。確か当時ベルリン国際映画祭ではイギリスの「管理人」とともにグランプリ(金熊賞)の有力候補作品であったが、惜しくも大賞は逃したものの、銀賞である最優秀監督賞を獲得した作品で大いに湧いていた。この作品を初めて見て印象に残ったのは、やはり男女の間の描写が、自然主義的なリアリティを持っていたところだ。それとロケ地が遥か昔数千年前の世界観を彷仏させるかのような錯覚を生じさせる。まさに古代史劇と言っても過言ではない。

ここまで強烈な純粋さを持ったエロティシズムの作品は近年見かけない。全編にみなぎる感触は、2000年前のギリシア人の心へと帰ろうとする現代人によって生まれている感覚がある。きっと監督は古代ギリシャを愛し尊敬しているのだろう。SNSが発達した今日では、人と人の絆や結を断ち切ってしまう人が多いが、この映画には人間を人間として成り立たせる根本の機動力があり、基本の原型を映し出している。これは悪意のある物語ではなく必要悪の物語であるのかも…わからない。ここは人それぞれ解釈が違うところだろう。ネタバレになるためこの作品で悲劇的なシーンを言う事はここでは避けるが、その悲劇を生んだ〇〇は決して悪い人間ではないと少なからずこのドラマは言っているかのように感じる。それは見ればわかる事であり、そう感じてもらえれば幸いだ。

さて、物語は雲ひとつない青空に真夏の太陽がサンサンと照っている。少女のクローエは青く伸びた海のほとりに群がっている鳥を取るのに夢中になっている。まだ異性を意識しない無邪気な子供の姿である。長いこと雨ひとつ降らないために家畜の生命を気遣った牧人たちが、水を求めてこの海岸にやってきたのはそんな夏の日のことだった。海に注ぐ清らかな小川で家畜たちに水を与え、自分たちの疲れを癒した牧人たちは雨の降る秋までここに留まろうとする。牧童のスキムノスは山とは違った見られる風景に惹かれて歩きまわるうちに鳥を持って遊んでいる彼女の姿を見つけて、無意識のうちに少女の美しさに惹かれて、その後を追いかける。貧しい海岸の部落の男たちは1人残らず海に魚を取りに出かけていない。夫を海に送って寂しく家を守っている女達と山から降りて来て異郷の女たちの姿に接した男たち。

そこに恋の花が咲いても不思議は無いだろう。海岸で漁夫の妻アルタの姿を見た牧人のツァカロスは、彼女に強く心を惹かれて、彼女に愛を告白して、彼女の愛情を求めるようとする。男の心がわからないではないが、もし彼の求愛を受け入れたならば、彼女はこの村には入れない。ツァカロスが一緒に山に連れて行ってくれるのでなければ、アルタとしても男の愛情をそのまま受け入れるわけにはいかない。2人の男女の間にはこの問題をめぐって愛の絡み合いが続けられる。少年スキムノスと少女クローエの間柄はもっとあどけない。自分たちの心の隅にほのかな性の目覚めがあるとも気がつかない2人は清く澄みきった小川のほとりでたわいない遊びに明け暮れている。牧人ツァカロスと漁夫の妻アルタの間にはやがて激しい恋が生まれて、人目を忍ぶ中に変わっていく。

そんなある日、激しい雨が降ってきた。暑い夏も過ぎて、なごやかな秋の来るのを告げるかのように。もう山に帰っていっても、家畜が死滅するような事はないだろう。牧人たちはやがて山に帰るための支度に取り掛かる。別れられないほどの激しい愛情にかられた彼女とツァカロスは人目につかない岩陰で、何一つまとわぬ裸のままで激しく抱き合いながら、お互いの愛情を確かめあった。激しい雨を避けようと、少年のスキムノスと少女クローエは雨に濡れない岩陰を探し求めながら、激しく抱き合っているアルタとツァカロスの姿を見てしまう。幼い2人にとって、それは激しいショックだった。今まで無意識のうちに少年と少女の心の底に潜んでいた性の衝動がはっきり2人の心に浮かんでいるのだった。牧人たちは旅支度をして旅立とうとしている。

ツァカロスに全てを与えてしまった彼女はもうここに留まることができない。家を捨て、夫を捨て身の周りの物だけを持って恋人の後を追おうとするが、ツァカロスは結局身の回り品を持った彼女を馬に乗せて牧人達と山へ帰っていく。アルタとツァカロスの激しい愛の情景を垣間見た牧童のスキムノスは部落に残るために岩影に隠れる。それに気づいた牧人たちはしつこく少年を追い回してリスのように素早く岩陰を逃げ回って、ようやく逃げることに成功して、クローエのもとに帰って行こうとした時、少年の瞳に映ったのは何であったろう。それは、彼がひたすらに愛した少女のクローエが山から一緒に降りてきた唖の牧人に強姦されている姿だった。激しい絶望が少年スキムノスの心を襲った。驚きに耐えられなくなった彼は前後もわきまえず波の中に身を投じてしまった。少年を飲み込んだ海面には彼女の大切にしていた鳥の死骸が波のまにまに漂っていた…とがっつり説明するとこんな感じで、物語が示すように題材は極めて素朴。


雨の降らない夏、家畜たちのために水を求めて山を下ってきた海岸での牧人と漁村の女たちの2組の男女の愛の物語である。その1組は夫を漁猟に送った人妻アルタと牧人ツァカロスの官能的な愛の絡み合い、他の1組はようやく性に目覚め始めた、まだ子供から抜け切らぬ少年スキムノスと少女クローエの清純な叙事とほのかな性の憧れ。この二組の男女の愛情を見事に絡み合わせながら素朴な人間への憧れが見る人の心を強い感動に引き入れていく。時代は、一応紀元前200年の時代とされているが、単に古代をそのままに描いただけではなく、複雑な社会的条件のもとで人間関係の危険に直面している現代人への調和の郷愁がこの映画の根底に流れているテーマと見るならば、大変興味深いものがあると思う。ミケランジェロ・アントニオーニの「夜」や、「太陽はひとりぼっち」とちょうど対局線上にある作品と見れば良いとされている。

この作品は非常に映像が美しいため、監督と共に仕事をした撮影のバリアノにも拍手を送りたいほどだ。その美しいカメラ目で作品の雰囲気を見事に盛り上げている。出演者の中で特に注目すべきは、主演の少女だろう。彼女の名前はクレオパトラ・ロータでまだ16歳の少女で、女子高等学生らしい。映画はこの作品がデビュー作であり、16歳には見えない立派な肉体が、この叙事詩的作品に健康的な能的ムードを盛りあげている。現題タイトルは「若いビーナス」と言うこともあり、非常に官能的で、セックスの描写に見入ってしまうほどだ。この作品のすばらしいところは、第二次世界大戦後のヨーロッパは古い人間関係や世界観が完全に崩壊し、新しい人間像のあり方を求めてきたのは言うまでもないが、そういった文学における実存主義、アンチロマンの風潮、映画におけるフランスのヌーベルバーグの監督たちがこぞって改革した認識がこの映画にもあるということだ。

先ほども述べたがアントニオーニの作品たちに似ている。とにもかくにも現実の冷徹な認識を通して人間関係の断絶と愛情の崩壊を描いているのだ。しかしながら主にフォーカスされている子供たちの性の目覚めに対して、この作品はまた絶望を知らない人間の素朴な愛情と官能と喜びと悲しみ、複雑な現代人の感覚で捉えながら、人間の喜びと悲しみを素朴に健康的に描いている。この映画は今から50年前の作品だが今見ても全くもって通じるテーマがある。複雑な人間関係の抜き差しならぬ泥沼に喘ぐ現代人の調和への憧れが見事に象微化されている。特にSNSが発達した現代に改めて観ることをお勧めする。どうやら監督はロンゴスの「ダフニスとクローエ」、ロンゴスが影響受けたと言われるテオクリトスの"牧歌"からヒントを得てこの映画のテーマを作ったと言われているようだ。

物語そのものが原作と何の関係もない独自のものである。しかも彼はこの作品の雰囲気を出すために神話的要素、古代の習慣、古代ギリシャ独特の服装などは意識的に用いないで、エーゲ海の美しい海岸にロケ地を求めて雰囲気の描写に努めたとの事だ。そんで若い2人の主人公はまったくの素人、人妻を演じた人はギリシャ古典舞踊のベテラン、他の出演者は農夫や国民舞踊のダンサーで映画はアマチュアだったそうだ。この映画のもう一つの特徴は伴奏音楽で、楽器は全て古代に小アジアからギリシャに伝えられたガイダ、ブスキ、サンテュリ、ツベレキ、それに琴などの古代楽器で、今なおギリシャ北部の田舎で用いられるものばかりである。紀元前2世紀の時代に材を求めたこの作品が見る者の心を打つのは、決して古典作品に似た美しさのためだけではなく、現代人の感覚で捉えられた素朴な人間性と調和が人間関係の崩壊に悩む現代人の深いノスタルジーとして見事に象微されているからである。

この点に、一見古めかしく見えるこの作品が、ある意味ではアントニオーニの作品よりも新しいリアリティーを持っていると言えると確か教育大学教授の桜井正美氏も言っていた気がする。ところで、ソ連の映画の全貌を捉えたパラジャーノフやタルコフスキーのような作品の風光明媚な大自然を捉えつつ神秘的に描写された作品は大いに私好みだが、ギリシャ映画の本作は古代ギリシャの自然があり、夢想するしかなかった神秘的な美しさが描写されていて、息を呑むほど美しく見終えた後の喜びはとてつもなかった。まるで人間性のデフォルメされた全く自然の姿が映し出されており、不意にスクリーンに吸い込まれる感じがする。輝く太陽と海、木々の風に匂いをつけて美しいドラマが不思議な感動とともに帰結するクライマックスの余韻はたまらない。 しかも悲劇で残酷さが残る画…。

今年で30になる自分だが、若き日々への切ないほどのノスタルジーをかき立てられる映画であった。小波の音、白鳥の美しさ、少年少女の愛情、大自然の中で無言の表情を貫く2人の姿、どれもが切望感や生活の様々な想像がうまく写し出されている。というか、全編通して格調高い詩である。人によっては樋口一葉の"たけくらべ"を思い出すのかもしれないが、この劇的な、強烈な迫力を持つ悲恋映画は、豊かな水を飲める日本で暮らす私にとっては色々と考えさせられる映画でもあった。長々とレビューしたがまだ見てない方はぜひともお勧めする。マジで素晴らしい映画だった。何が良かったかは見ればわかるが、私的には水から始まり愛へと代わり、残酷な結末が待ち、幼い恋をこんなに的確に、象徴的に、美しく描いた作品であると言うことだ。私の好きな新藤兼人監督の「裸の島」のような感触とセリフがほとんどないのがドキュメンタリーを見ているかのようで、そこも非常に良かったし。ベルイマンの「処女の泉」のような残酷な終わり方もこの映画にはある。この映画1つでヨーロッパ人の物の考え方や生き様までもが伝わってくる素晴らしい1本である。

あぁ、傑作。
sonozy
4.5
1963年のギリシャ映画 ニコス・コンデュロス監督
ベルリン映画祭 最優秀監督賞、FIPRESCI賞
英題: Young Aphrodites(若きアフロディーテたち)
※アフロディーテ=ギリシア神話に登場する愛と性を司る美の女神。

2世紀末から3世紀初め頃の古代ギリシアで書かれた恋愛物語『ダフニスとクロエ』が元。

舞台は紀元前200年、
羊飼いの男たちが海岸の集落にやってくる。

海辺で美しい少女に惹かれた、まだ幼い雰囲気の牧童(美少年)。
そして、漁に出ている夫を待つ妻に惹かれ関係を迫る羊飼いの男。

2つのラブストーリー(性愛のめざめ)のお話。
1つは成功し、1つは悲劇に。

これぞ、プリミティブ/原始的な性愛。
紀元前にワープしたような感覚でした。

海外版DVDで見ましたが、セリフが少ないので問題なかったです。
もっと高画質で見てみたいなぁ。
スウェーデンで作られた春の悶えという映画、この映画のタイトルを見るとどうしても邦題が似ている今作を思い出してしまう。

海辺の野生的な少年少女の姿が実に美しく、さながらサタジット・レイとフラハティを混ぜたような描写の数々に息を呑むことしきりだった。

未成年にやらせるにはちょっと酷な肉体的描写もいくつかあったが(というかあの横乳見える服だけでもキツいものがあったろう)、原始的な恋愛模様っていうのも中々に見応えがあったし異国情緒ある服や装飾も結構良かった。

ラストもそこそこ後味悪い感じだったけど、それもギリシャ悲劇が生まれた国らしいっちゃらしいし、その悲劇性が故に美しい映像も際立つ側面があったようにも思えた。

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