veさんの映画レビュー・感想・評価 - 17ページ目

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日本で一番悪い奴ら(2016年製作の映画)

4.5

組織に順応して次第に汚さを纏っていく男のなかに、どこか感じる純粋さに痺れる。 スコセッシのようなヴァイオレンス・ドラッグムービーでありながら、社会、組織に揉まれる男の哀歌でもあるのです。上司からの無茶>>続きを読む

ズートピア(2016年製作の映画)

4.0

周囲からルーザーだと蔑まれても、「世界をより良くしようよ!」と真っ直ぐに言ってみせる主人公があまりに美しい。アニメ映画はこうでなくちゃ!
しかし、ただ優等生な作品ということでなく、バカみたいに笑わせて
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たのしい知識(1969年製作の映画)

3.0

「あるものを理解するためにはそれを解体すること。」「わたしたちは音と映像を解体するのだ!」ということまでしか追いつけない。混乱で思考停止。
ただ、いつも2人が「また同じ時間に、同じ場所で!」と言って別
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レヴェナント:蘇えりし者(2015年製作の映画)

4.0

画面の強烈さがとっても良い。目を覆いたくなる恐怖の連続。大自然と人間に、精神も肉体も徹底的に痛めつけられるディカプリオを観るの、めちゃくちゃ楽しい。
怒りに任せた復讐の終わり。既視感ある話だとも思った
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サウルの息子(2015年製作の映画)

3.9

極限状態で徹底して描かれる個人。カメラは常に人物を近距離から捉え、目前で起こる惨劇は、当事者の感覚をもってただぼんやりと感じられる。結局はあの地獄を完全に体感することなどできない。しかし、聞こえてくる>>続きを読む

チャイナタウン(1974年製作の映画)

4.5

大きな力の前での無力感。それが表れるラストに向けて、ゆっくりじっくりと展開していくストーリーに引き込まれる。不快で凄惨な事実が明らかになる瞬間の見事さたるや。
それにしてもフェイ・ダナウェイのゾクゾク
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女は女である(1961年製作の映画)

4.5

「女は女である」から、男は追いかけるしかない。最高にキュートな女性にどこまでも振り回されたいし、どんな言い分も許したい。とてつもない幸福感に満ち溢れながら、どこか男としての諦めもあるかのようで微笑まし>>続きを読む

世にも怪奇な物語(1967年製作の映画)

4.0

誰もが言うことだけれど、フェリーニ作の3本目が飛び抜けて良い。奇妙なイメージの連続。主人公がドラッギーで狂っていても、この世界では全てがグチャグチャに混在していて、誰も彼もフリークス。だから彼を制止す>>続きを読む

(1954年製作の映画)

3.5

とてつもなくシンプルで分かりやすいストーリー。それでも、生活を共にする相手の大切さや人間の面倒な性質が、すべて真理であるということを改めて思い知らされる。いつまでも「話しかけたいのに吠えるしかない犬」>>続きを読む

炎上(1958年製作の映画)

4.5

市川崑映画祭にて。
誰も僕を分かってくれない、でも誰か本心を見抜いてくれよ!というドス黒い、あまりに子供すぎる思いが痛いほどよく分かる。
ただ、彼が誰かに救われるかもしれない瞬間はたくさんあった。それ
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ディーパンの闘い(2015年製作の映画)

4.0

内戦、難民といったテーマを持ちながら普遍的な感情を僕達に持たせてくれる。例えば、異国の地で自分の存在価値を見つけた主人公を、それまで至近距離にいたカメラが初めて遠くから捉える場面。ここで感じられるのは>>続きを読む

エージェント・ウルトラ(2015年製作の映画)

4.5

最高。ただただ、ひたむきな恋愛映画としての在り方に感動するばかり。「エージェント」という設定も派手なアクションも、全て2人の関係を深めるための道具にしかすぎない。例えストーリーの粗を指摘されようとも、>>続きを読む

ロッキー(1976年製作の映画)

4.0

こんな繊細なストーリーだったのか!と驚いてしまった。寂しさを紛らわすためペットに話しかけ、鏡の自分に向かって問い続ける男。ズルズルとだらしない生活を続ける一方で、悪さをする若者を叱る正しさも併せ持つ彼>>続きを読む

キャロル(2015年製作の映画)

4.5

傑作。何度も予告編を観ていてその度に打ち震えていたのだけれど、あまりに美しい。主役となる2人が持つ美しさを、彼女たちの(その多くはテレーズの)視点を借りた映像で堪能する。心奪われた人はかくも魅力的に見>>続きを読む

オデッセイ(2015年製作の映画)

4.0

めちゃめちゃ分かりやすくエンターテインメント!広大な宇宙空間に投げ出された絶望的で恐ろしい事態を、底抜けにポジティブな彼が切り抜ける。それを助ける知恵を持った仲間がいる。一切の悪も存在しない。シンプル>>続きを読む

ミニオンズ(2015年製作の映画)

4.0

国境も時代もカルチャーも全てを軽やかに、圧倒的な楽しさで横断する彼ら「クリーチャー」の可愛さ!ただただ、それに尽きる。彼らの言語を理解できなくても、何を考えているのかがちゃんと分かるし、その純粋さに応>>続きを読む

ストレイト・アウタ・コンプトン(2015年製作の映画)

4.5

どストレートな青春物語。彼ら若者の喜びも悲しみも全てが胸に突き刺さる。誰しも平等に訪れるはずの若き日々の煌めき。それがあるから、自分とは全く違うはずのギャングスタたちに心動かされてしまうのでしょう。そ>>続きを読む

チャイニーズ・ブッキーを殺した男(1976年製作の映画)

5.0

カッコよくて愛おしい。「周囲に期待されている馬鹿」を演じつつ、裏では必死に自分の愛する「家族」と帰る場所を守る男。その一方で、決して演じている訳ではない馬鹿さゆえに失態を犯してしまうのも、執着する店の>>続きを読む

フランシス・ハ(2012年製作の映画)

4.0

モラトリアムの終わりにもがきながら、街を走るフランシス。何か目的に向かうというより、どこか逃避しているかのような、それでいて軽やかな横スクロール。例え上手くいかなくても、その試行錯誤する姿が愛おしい。>>続きを読む

スター・ウォーズ/フォースの覚醒(2015年製作の映画)

4.5

2回目の鑑賞を終えて、新キャラクターがあまりに魅力的なので彼らについて。主要キャスト3人のレイ、フィン、ポー・ダメロンという圧倒的な「善」の存在。全ての行動が、この物語の人物として相応しい。劇中での意>>続きを読む

最高殊勲夫人(1959年製作の映画)

5.0

このポスタービジュアルだけで作品の素晴らしさが分かるのですが、あまりに傑作すぎて帰り道しばらく笑いが止まらず。

若尾文子が最高にキュート!冒頭の父親との野球談議とキャッチボール、そして食事シーンでの
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ミスター・ロンリー(2007年製作の映画)

4.0

誰かになることでしか生きられない人々に共感せずにはいられない。彼らはたまに僕らが脳内で行うことを常態化させただけ。だから、そんな彼らが社会との齟齬によって感じる絶望が他人事とは思えない。
生きることに
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小さな恋のメロディ(1971年製作の映画)

3.0

魅力はたくさん。子役はみんな可愛いし、音楽の映像との重なりも良い。子供と大人の極端なまでの対比もこのストーリーには適切なのでしょう。

ただノスタルジーそのものにそこまで素晴らしさを感じない。確かに学
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ローラーガールズ・ダイアリー(2009年製作の映画)

5.0

閉塞的な環境から抜け出したい少女の思いを身体の躍動で表現する素晴らしさ。心情をスポーツで表すなんてシンプルではあるけれども、そこから得られる興奮や爽快感は圧倒的。
家族や友人、恋人との関係に思い悩みな
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パンチドランク・ラブ(2002年製作の映画)

5.0

歪でありながらあまりにもストレートなロマンティックさにグッとくる。恋に落ちる幸福感に溢れた傑作。
「一生に一度」の出会いを果たした男女にはマジカルな瞬間が訪れるもの。2人が急接近する場面では、それに呼
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出発(1967年製作の映画)

5.0

ここで描かれる青春が好きでたまらない。共鳴してしまうし羨ましくもあるし、映画の中に溶け込みたい気分になる。

主人公の抑えきれない衝動が、全て突発的で結実しない行動に転化していく様がとにかく愛おしい。
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コードネーム U.N.C.L.E.(2014年製作の映画)

5.0

バッチバチにキメまくったオープニング(暗闇でベース音が流れ始めた時点でガッツポーズ!)から始まり、どのシーンも際限なくカッコいい。人が美しく見える術が分かっている。キャストのルックスだけに頼ってるわけ>>続きを読む

ヴァージン・スーサイズ(1999年製作の映画)

4.5

素晴らしい!少女の輝きと儚さの刹那を画面に収めた作品と言えばそれだけなのだけれど、あまりの見事さに感服してしまう。

かつて街で評判であった姉妹について、少年の回想で進む物語には、常に彼女たちへの憧れ
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マイ・マザー(2009年製作の映画)

4.0

感情を常に剥き出しにする人物たちと、多くの人が共感するであろう十代ならではの母親への愛憎という普遍性とのバランスが良い。ただ、物語の行き着く先が主人公の成長ではなくて、子供時代への回帰というラストはこ>>続きを読む

アルフィー(1966年製作の映画)

5.0

プレイボーイかく語りき。出会う女とことごとく関係を持つ彼は、常に画面に語りかける。彼の自分への自信を表すにふさわしい。画面に出てくる人物にも語りかけ、それ以上に私達にも語りかけるメタ構造。
しかしそん
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バクマン。(2015年製作の映画)

2.5

面白い。高評価ばかりなのも理解できる。次から次へと出てくる仕掛けには感心するばかりだ。VFXを使った映像には工夫が感じられるし、劇伴とペンが走る音の重なりはとっても映画的。エンドクレジットのアイディア>>続きを読む

ウォンテッド(2008年製作の映画)

3.5

設定に魅力ありすぎ!友人や上司に見下され、それを受け入れて生きてきたダメ男が、ある日いかにもなアブない美女と出会い、殺し屋へと変貌していく。こんなにも馬鹿馬鹿しいのに憧れてしまう話はないでしょう。終始>>続きを読む

007/カジノ・ロワイヤル(2006年製作の映画)

4.0

お恥ずかしいことにシリーズ初鑑賞。マッチョなスパイが巨大な悪に立ち向かいつつ、最高に良い女(エヴァ・グリーン!)も追いかけるという物語が楽しい。どのアクションシーンも大掛かりで思わずテンションが上がる>>続きを読む

デヴィッド・ボウイ・イズ(2013年製作の映画)

3.5

偉大なるポップアイコン、デヴィッド・ボウイ。回顧展が世界各地で開かれ、そのドキュメンタリーがこの日本でも公開されている。まだ存命しているにも関わらずこの影響力たるや。
この作品で印象的だったのは「彼
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ゼア・ウィル・ビー・ブラッド(2007年製作の映画)

4.0

悪魔のような映画。人間の尽きない欲望から目を背けることなく、欲に忠実な人間を肯定する。悪である主人公が自身の正しさを語り、暴れ回るラストにある種の爽快感を感じるのは、人物描写に導かれたからだけではない>>続きを読む