isknさんの映画レビュー・感想・評価

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花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)

4.0

観る人によって感じ方がまるで違う、そんな映画だ。恋愛というのは超主観的で個人的な体験だ。だからこそ、この映画を観ると自分にしか分からない、誰とも共有できない部分に鋭い針が刺されるような感覚を覚えて、苦>>続きを読む

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

5.0

ただでさえ難解な内容の映画なのに、説明がほとんどない登場人物が矢継ぎ早に登場する。それが3時間も続くのだから、この作品を理解して鑑賞することは困難を極める。それでもどこか心地よさを覚えてしまうのは、監>>続きを読む

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

5.0

これはとても悲しい物語だ。相手のことは分からない。その人がどんな苦悩を抱えているのか、どんな地獄があるのか。それが子供の頃なら尚更だ。

美しいトルコのバカンスは、はたから見れば楽しそうな親子の二人旅
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夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.5

ほのかな暖かさが観客を照らしてくる、そんなとても優しい作品だ。人の優しさは循環していく。そしてその優しさは陽だまりのように淡い光を持って私たちを包み込む。

PMSで毎月情緒不安定になってしまう藤沢(
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市子(2023年製作の映画)

4.0

観客の倫理観や道徳観を強く揺さぶる。鑑賞後にこの映画をどう評価していいのか、どんな評価が許されるのか、よくわからなくて、しばらく呆然とした。私たちの価値基準でこの作品を、市子という女性に何か言えること>>続きを読む

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

5.0

驚くべき熱量がスクリーン全体にほとばしる。主人公の探求心が、生(=性)への渇望が、自由への賛歌が、ものすごい熱さをもって表現される映画を前に、圧倒された。

主人公のベラは、成人女性の身体をもちながら
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.5

この映画のすばらしさについて、言立てる必要などないのかもしれない。一人の男の真摯な生き方が、東京の美しい情景が、街を歩く人々の足取りが、そこに流れる生活の音が、きれいなハーモニーとなって映画館を包む、>>続きを読む

きみに読む物語(2004年製作の映画)

4.0

これは結構純度の高い恋愛映画だから、観る人によっては大好きな作品になり得るし、駄作にもなり得るかもしれない。ただ私としては、かなり好きな映画だった。やっぱり映画はこうあって欲しいよなという、夢を見せる>>続きを読む

アナログ(2023年製作の映画)

4.2

はっきり言って恋愛映画は苦手で、観るに堪えないと思ってしまう映画ジャンルの一つなのだが、原作があの北野武の小説ということで興味があり、鑑賞した。公開が終わりを迎えそうなタイミングだったが、観てよかった>>続きを読む

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)

4.7

作品自体が優しいハーモニーのように観客を包んでくれる、そんな映画だった。そして、これから何かを始める全ての人に向けた応援歌でもある、そんな作品だ。

耳が聞こえない家族を持つ主人公の女の子が、歌が大好
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ちょっと思い出しただけ(2022年製作の映画)

4.5

観終わった後に心の深いところが強く締め付けられた気がして、劇場の席をなかなか立つことが出来なかった。誰しもが体験したことがあるキラキラしていたあの時間を、演者のとても自然な演技と、少し淡い映像で映し出>>続きを読む

ルビー・スパークス(2012年製作の映画)

4.0

怖い。小説という分野においては天才的だが、人間関係においては問題があり自分大好きなひとりよがり人間が、自分の好き勝手に女の子を支配するサイコホラー恋愛ムービーである。可愛いポスターなのにこんな作品とは>>続きを読む

天使のくれた時間(2000年製作の映画)

4.0

「あの人とそのまま付き合っていれば今どうなっていたのだろう」。誰しもが1度ば考えたことがあるであろうそんな妄想を、映画はクリスマスに起きるひとつの魔法を通じて描く。もし、その世界線に切り替わったとして>>続きを読む

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

4.5

子供の目線から映された映画というのは、それだけで描かれる理由があると思う。自分の現実から飛躍させてくれるのが映画だとするなら、(というか私は勝手にそう思っているのだけど)子供という純粋な目から見た世界>>続きを読む

ブラインドスポッティング(2018年製作の映画)

4.5


黒人の差別を題材とした作品は、遠く日本に住んでいる私たちが知るべきという意味で、見る必要のある映画だと思うが、今まで数多くの良作がある以上、それを評価する目線は厳しくなってしまう。

だが、本作は現
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天気の子(2019年製作の映画)

4.5

相変わらずの美しい街の描写に雨の表現が加わり心を惹きつけるアニメーション。主人公が出会う美少女と彼らを支える大人たち。そして、お決まりの観客の心を踊らしてくれる音楽。楽しい映画だが、またこんな>>続きを読む

ROMA/ローマ(2018年製作の映画)

4.5


一人の女性が大きな屋敷で家事をする様子が淡々と描かれる。彼女はどうやら使用人であるらしく、その家族たちに慕われていることが分かる。白黒で、bgmや効果音が全くない映像と、演技しているようには見えない
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アイ・フィール・プリティ! 人生最高のハプニング(2018年製作の映画)

4.0

新年一発め、強く爽快な気分とともに今年を迎えられそうな映画だ。

容姿に優れない主人公がある事件をきっかけに、自分が美しいと勘違いし、自分自身に自信を持ち始め、人生を変えていく。そんなプロットは作品を
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ショーシャンクの空に(1994年製作の映画)

4.5

ブルータスの特集に『今さら観てないとは言えない映画』というのがあったけれど、私にとっては本作がまさにそれだった。そして多くの人が口をそろえて言うように、まごうことなき素晴らしい作品だった。観賞後、映画>>続きを読む

ボヘミアン・ラプソディ(2018年製作の映画)

4.5

クイーンというバンドは当然知っていたが、ボーカルが亡くなったのは私が生まれる前であり、特に強い思い入れは無かった。そんな私であったから本作を楽しめるか心配になりながら椅子に座ったが、生きることの素晴ら>>続きを読む

百円の恋(2014年製作の映画)

4.0

淡々と映し出される生気のない女の自堕落な生活。動きはするものの、その目は全く死んでいるかのようだ。生きたいという意志さえ感じられないその声。彼女の心を表象しているかのような、どんよりとした天気と、立ち>>続きを読む

この世界の片隅に(2016年製作の映画)

4.5

戦争それ自体を扱った作品は、当然見るべき映画の一つではあるけれど、私のような 20代の若輩者が安易に意見を言えるものではないという点で、ついつい忌避してしまう傾向があり、本作を観ずにここまで来てしまっ>>続きを読む

カメラを止めるな!(2017年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

金曜日の日本橋TOHOシネマズ、客層は主にサラリーマンのおじさんたち。少し疲れた様子の彼ら(というか僕たち)の、何がこれから起こるのだろうという微かな期待感が漂う。37分のワンカット、ノンストップムー>>続きを読む

未来のミライ(2018年製作の映画)

2.0


ここ最近、(当然私の鑑賞偏重があることは前提として)“家族”を主題とした映画が多いと感じていた中で、今作ではどのような姿が描かれていくのかを期待して観た。

なぜ昨今集中的に家族の映画が多いのかとい
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ワンダー 君は太陽(2017年製作の映画)

4.5

何かしらの障がいをもった子がそこから発展をどげ、周囲に認められるという体裁をとった作品は確かに感動的だが、作り手の、「どうぞここで泣いてください」といったポイントが垣間見えてしまい、苦手意識を持ってい>>続きを読む

万引き家族(2018年製作の映画)

4.5

淡々と進む美しい映像によって映し出される家族は楽しげだが、どこか違和感を感じる。一昔前のものと思える古びた一軒家から描かれる物語は、例えば遠くに映し出されるスカイツリーによって現代のそれだと確認できる>>続きを読む

孤狼の血(2018年製作の映画)

4.5

見終えたあと、思わず拍手をしてしまった。一人、新宿のど真ん中の劇場で。

昨今の表現規制の流れを諸共せず、ここまで警察組織、権力組織をこけおろす。なおかつ今旬の俳優陣と、そしてこの全国規模での上映。「
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時をかける少女(2006年製作の映画)

4.5


鑑賞した時代によって、その映画がくれる影響ががらりと変わる作品がある。

高校一年生の夏。
クーラーが効かない蒸し暑い部屋でその日、僕たちは男三人で、本作を見た。
どうも、女の子たちが見てる面白い映
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(500)日のサマー(2009年製作の映画)

4.0


随所に声が漏れた。

ああ、分かる。

どうでもいい人に対しては(失礼な言い方だ)ちゃんと振る舞えるし、その人の理解は容易いと思えるのに、好きになった異性の言動に理解ができず苦しむ、ということは、往
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海街diary(2015年製作の映画)

4.0

作中における「死」の描き方にとても好印象を持つ。

「死」は当然悲しい出来事ではあるけれど、同時に、生きている人間にとっては何かの始まりを予感させてくれる。

だって、誰かの死に直面したとくに僕たちが
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冷たい熱帯魚(2010年製作の映画)

4.0

肉を刻み、どす黒い血が風呂場いっぱいに広がる。動物の肉を刻んでも、同じような音が響くのだろうが、人肉であるとわかっているからなのか、その音は気持ちが悪い。

視覚的にも聴覚的にも、不快感が伴う。そして
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