かつて、ノルマンディーでの作品情報・感想・評価

かつて、ノルマンディーで2007年製作の映画)

RETOUR EN NORMANDIE

製作国:

上映時間:113分

ジャンル:

3.2

「かつて、ノルマンディーで」に投稿された感想・評価

ほ

ほの感想・評価

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このレビューはネタバレを含みます

一番最後の、あのほんの数秒のお父さんを見せるためだけに、この映画を作ったのかな。演技するお父さん、とても愛おしく思えてぎゅんってなった。
豚の屠殺映しても好感度下げないニコラ・フィリベール。ずりい…。
1835年、フランス北西部にあるノルマンディーの農村で起こった事件。20歳の若い農民が鉈(なた)で母と妹を殺害。森をひと月さまよったのちに逮捕された。すぐに投獄された殺人者は、見事な筆致で膨大な手記を書き始め、罪を犯すに至る経緯を細かく説明した。

この事件を1976年にルネ・アリオ監督が映画化。その助監督を務め、キャスティングに携わったのがニコラ・フィリベーリだ。主人公はオーディションしたが、それ以外の主要キャストはすべて現地の村人を使った。

30年後の2006年、フィリベールは今作で再びノルマンディーの地を訪れ、当時、映画に出演した村人たちに会いに行く。主人公を演じた青年の行方だけが不明のまま‥。

主人公の両親、姉妹、その一家の隣人などの役を演じた村人に、当時の出演した経緯、周囲の反応、その時の心境をインタビューしていくだけだ。それがただ「記録」されている。

でも、彼らが“カメラ”を向けられるのは初めてではない。30年もの時を経て、フィリベール監督が再びカメラを向けたことで、点と点が線になり、映っていない時間が見えてくる。

何者でもなかった農民が、少しの間だけ俳優という憧れの仕事をし、また何者でもない農民に戻る。口々に皆「話がきた時は喜んだ」「撮影は楽しかった」と話す。この間、それぞれにそれぞれの人生があった。

そして最後に主人公を演じた青年のその後が明かされていく。その後成功し、カンヌのレッドカーペットを歩いたこと。そして俳優を辞めたこと。人生は本当に様々である。


‥久々にドキュメンタリーを見たせいか、そもそもの「本当」の強さをまざまざと見せつけられた。
冒頭から豚の出産シーンで始まるように、養豚場の描写が所々に挿入されている。屠殺シーン。大きな豚が、魚のように三枚に卸されていく。グロテスクという言葉は失礼だと思うほど、それは「本当」だった。