他人のそら似の作品情報・感想・評価

「他人のそら似」に投稿された感想・評価

「仕立て屋の恋」のミシェル・ブランがミシェル・ブラン本人を演じ、脚本&監督までつとめたあげく、カンヌで脚本賞まで受賞しちゃった「ミシェルづくし」の傑作コメディ!

仕事のストレスと脚本の締め切りで悩むミシェルの元に無銭飲食やセクハラなど、さまざまなクレームが舞い込む。ミシェルにはまったく身に覚えがないのだが、果たしてその真相とは???

ドッペンゲルガーか?記憶障害か??
軽快な会話に彩られながら一転、二転するストーリー自体とっても面白いのですが、ミシェルブランの卓越した演出とマニアックな映像の遊びがまたサイコーーー!
もーほんと、ミシェルブランをハゲの覗き魔くらいにしか思ってなかった自分としては「ミシェル!あんたこんなこともできたんかい!」と目からトリュフ!

そうそう、さらに本作にはもーひとつアゲアゲポイントが!
フランス芸能界を舞台にした本作には、フランスの有名俳優たちが続々登場します。もちろん、本人役でです。
アメリカ映画では「ディス・イズ・ジ・エンド」やら、「オーシャンズ12」やら「その男、ヴァン・ダム」やら、ハリウッドスターが本人役で登場する映画がありますが、フランス映画でそれをやっちゃったのが本作。
しかも、フランス映画の香川照之ことミシェルブランが口説いただけあり、若手スターからけっこうな名優まで登場し、フランス映画ファンを喜ばせます。

親友、キャロルブーケ(!)を伴い、事件の真相を追うミシェル・ブラン!
二人が辿り着く、フランス映画界をゆるがす真相とは??

こんなオモロイ映画、DVDにもなってないのもったいないーー!
俳優のブランが監督をしてそっくりさんの奇妙な人生を描いた面白い作品。

こんなこと、本当にあったりして?なんて思える。

俳優さんたちって、たまには他人になりたいって思ったりするのかも知れませんね。

出演の俳優さんたちはきっと楽しんで撮影したのでは?と思わせます。

ちょっとあつけらかんとしたところもあり、ケ・セラ・セラ、で。
noriko

norikoの感想・評価

5.0

このレビューはネタバレを含みます

ずば抜けて面白い。
ミシェル・ブラン監督・脚本・主演のかなりシニカルなコメディ映画です。
コメディ映画というにはかなりブラックな皮肉が効いておりますし、シニカル映画というには映画への愛かなり溢れておりますし。
両方の要素が合わさった非常にフランス的な映画に思えます。
フランス映画への愛を説いているのですが、決してそのまま愛を表現するのではなく、エスプリを効かせながら、天邪鬼的に説いているのです。
天邪鬼な私だからこそ、はまったのでしょう(笑)

登場人物はみんな実名で自分自身として登場しています。
ミシェル・ブランはミシェル・ブランですし、キャロル・ブーケはキャロル・ブーケ。
他にもシャルロット・ゲンズブールやフィリップ・ノワレ、ロマン・ポランスキーらが実名で登場しています。
特に感動したのが、フランスの喜劇演劇集団”スプランディッド”のメンバーが集結したこと!
彼らはレ・ブロンゼシリーズに登場しておりますが、そのメンバーがブランの映画に登場しているというのが、非常に嬉しかったのです。
心憎いじゃないですか。
特にジョジアーヌ・バラスコが、ブランにレイプされる役!
笑っちゃいけないけれど、よりによってバラスコかと一人で笑い転げていました。

いや、実際にレイプしたのはブランではないですよ。
ブランと他人のそら似のフィリップ(ブランの一人二役)が、バラスコをレイプしたのです。
でもバラスコも警察も、ブランが犯人だと思っていて・・・
ブラン絶句。
そりゃ絶句するでしょう(笑)
だって相手がバラスコだもん。

こういう風に、フランス映画をほんのちょっとでもかじっていると笑えるシーンが多々あるのです。
ブランがベアール様を口説いたとか、ドパルデューが使ったシーツは臭いとか、「神秘は楽しい」と言うブーケに、「これだからブニュエル女優は」と悪態をついたりとか。
兎に角小気味良いジョークと言う名の悪口が満載。
ブランが他人のそら似パトリックに悩む様を見て、ブーケが一言。
「ウディ・アレンの真似はやめなさい」。
もう笑った笑った。
これこそ、映画が好きな方に見てもらいたい!

この映画は、自分と瓜二つな男に悩まされ、そして追いつめられる心理スリラーの一面もあります。
けれど緊迫感満載のサスペンス映画にしないで、少し観客と映画との間に隙間を作ったコメディ仕立てにしています。
客観的と言うほど殺伐とはしていません。
それがブランの性格なのかと思うと、かなり親近感がわきました。
回りくどく、素直じゃない。
そしてだいぶ面倒くさい男。
でも人一倍フランス映画を愛している。

この作品の本質は、フランス映画への喝でしょう。
そっくりな偽物(=アメリカ映画)に追いやられている本物(=フランス映画)。
この映画では偽物が本物の座を奪って、本物のように振る舞い生活してしまいます。
家族も仲間も偽物を本物と認識してしまいます。
路上に放り出された本物ブランと本物ノワレは、フランスの映画界を奮い起こすため、地方巡業からはじめます。
この結末はかなり現実的だと思います。
偽物の化けの皮が剥がされるのでもなく、本物が発狂するのでもなく。
一から人生を立て直そうとするその終わり方が好きです。

いまだにアメリカンエンターテイメントが猛威を振るっていますが、決して映画が死んだわけではないと思います。
小規模ながらも本物は生きていますし、その本物を守ろうとする映画ファンも多々います。
私もその一人として、しっかり映画を見ていこうと思います。

総じて、これは多くの人に見てもらいたい!
それなのにVHSのみって一体どうなのよ。
20年以上前、日本上映前に横浜のフランス映画祭で何の予備知識もなくたまたま観たのが最初だった。その時のタイトルは確か原題の直訳で『大いなる倦怠』だった。あまり期待していなかったがこれが思いがけず面白く、その後日比谷で上映された時も観て、VHSまで中古で購入。それをDVDにダビングしてあったのを思い出し、久しぶりに鑑賞した。

自分のそっくりさんに人生を乗っ取られる話だが、最後は「それも人生」とばかりにそれなりに楽しくやって行きそうなところがいかにもフランス映画っぽい。キャロル・ブーケ、シャルロット・ゲンズブール、フィリップ・ノワレらが実名で出演しているところも楽しい。特にフィリップ・ノワレはさすが名優と思わせる。ぜひDVD化して欲しい。
TaT

TaTの感想・評価

4.0
自分のそっくりさんに振り回される災難を描いた話。登場人物はみんな実名でドキュメンタリー風なインタビューまで交えて現実と虚構(映画)をこねくり回してる。

偶像的な扱いをされる俳優、スターとしての生活やハデなアクションを用いたアメリカ映画への皮肉や自己の喪失まで、なかなか侮れないシュールなコメディ。