toriten45

男はつらいよ 寅次郎忘れな草のtoriten45のレビュー・感想・評価

3.5
本作(シリーズ第11作)は、旅の空の下で気ままに生きる寅さんが、同じように流れ者の人生を送る女性リリー(浅丘ルリ子)と出会う物語です。偶然手に取った一本でしたが、リリーの初登場作と知って、ちょっと得した気分になりました。

リリーは、日本中のキャバレーを巡りながら日銭を稼ぐ流しの歌手。ひとところにとどまらず、自由を愛するその姿は、どこか寅さんと重なります。出会ってすぐに打ち解ける二人は、やがて“恋人未満、友達以上”という微妙で特別な関係を築いていく…。この関係こそが、後のシリーズでも長く描かれていく寅さんとリリーの魅力の核となるのでしょうね。

本作でももちろん、寅さんの「そのひぐらし」らしい自由さと不器用さが愛おしく描かれます。ときに頼れるアニキのような顔を見せながら、恋が絡むととたんにヘタレに……。そのギャップこそが、寅さんの最大の魅力。観ているこちらも、笑いながらつい応援してしまいます。

そして、寅さんと柴又のホームドラマ的なシーンも健在。タコ社長が、狙ったかのようなタイミングでのんきなことを言い出し、場が大騒ぎになるくだりもお約束です。誰もが「社長が悪いわけじゃない」とわかっていながら、結局「社長が悪い」ということで落ち着いてしまう。その理不尽さと温かさに、思わず笑ってしまいます。あったかいなあ。

旅をすることでしか得られない出会いと、帰る場所があるからこそ感じるぬくもり。その間で揺れる寅さんの姿に、人はなぜか心を動かされるのです。

不思議な魅力に満ちあふれた人。
旅と笑いと、少しの切なさを背負って、今日もどこかで風のように歩いている。
それが、葛飾柴又の車寅次郎なのです。
2件
  • こぼちゃん

    葛飾柴又の通りを歩くと、お寺や渡し場、寅さんの博物館がありました。浅丘ルリ子さんと吉永小百合さんは、複数回、出ている人気マドンナなので、特別感を感じます🥰🥰🥰

  • toriten45

    こぼちゃんさん おはようございます😃 実家のとらやとか、ひろしの勤める朝日印刷所が再現されているみたいですね❗️いつか行ってみたいです🧳 浅丘ルリ子出演作品はほぼほぼ観たので次は吉永小百合出演作品を観ようかな❓😊 特別感がありますよねー😆