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ヴァンダの部屋
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『ヴァンダの部屋』に投稿された感想・評価

emily

emilyの感想・評価

4.0
ポルトガル、リスボンのスラム街、部屋で麻薬に埋もれているヴァンダとその周りでは解体が進み、常に工事の音が鳴り響く。野菜を売り暮らす日々を切り取りつなげたような、ドキュメンタリーとフィクションが行きかう不思議な距離感を暗い映像の中で体験することとなる。

暗いヴァンダの部屋とその周辺を暗い照明の中に浮かび上がる光と、その角度や構図により切り取られたような映像を積み重ね、窮屈感のある映像の中の微かな光を堪能する。

長回し中心で、特にそこに物語が存在するわけでも、インタビューが交わる訳でもない。敢えてカメラを意識していないような、ドキュメンタリーとフィクションが行きかう中で、観客もその場にいるような、そうして濃密すぎる長時間にわたる映像を見せられる。個人的にはヴァンダと同じように、家に引きこもり何度も停止ボタンを押しながら鑑賞した。鑑賞したというより流し見したに近い。と言ってもヴァンダと同じ環境下における訳ではない。だたなんとなく今作を眺めていたのだ。それでも時折引き込まれるシーンに出くわす。

色彩の取り方においては惹かれるショットが山ほどある。特に暗闇の中に浮かぶ光の置き方は絶品だ。暗いヴァンダの部屋一つにおいても、時間帯、ほかの人が入ってくることでの配置、鏡を使っての見せ方、光の絶妙な当たり具合、暗闇の中に小さなテレビが青白く浮かぶ、ろうそくの光、たき火の光、何でもない日常にあふれてる物が光の一部として色を持ち、絶大な効果を表す。

それは同じ部屋の中、同じ日々の中でも確実に日々は流れており、そうしてそこには少なからずとも何かしらの光があることをたたきつけてくるようだ。外では解体作業がどんどん進み、暗い映像の中に時折、その光が全面に映る。それは外の光、空の明るさである。ほんの数秒のその映像に心が解放される思いがする。縮こまった狭く汚れきった部屋の中で閉鎖的に、観客も閉じ込められる。そうすることで、自分の日々の明るさがまばゆさに感じ、自分の住んでる世界に感謝の気持ちが生まれる。

これほど見るのが苦しいと思った作品はない。
これほど何度も停止ボタンを押した作品もない。
手にするまでにも非常に時間がかかった。偶然のいたずらで私の手元に届き、それを見始めるのにも、見終わるのにも時間がかかった。
良い意味でこんなに嫌な作品はない。
映画を見るということで、疲労感をここまで感じたのは初めてだ。
それだけインパクトは高く、考えればいくらでも解釈が広がる。
結局見終わった後の疲労とともに、脳裏に残るものも大きい。
映画を見るという試練を味わった。
そうしてそれ以上の苦難を重ねて作り上げたであろう今作に、出会えてよかったと思える。映画を見る姿勢というものを改めて考えさせれた。
benno

bennoの感想・評価

4.5
とても観たかった作品…。

ペドロ・コスタ監督の初期3部作を鑑賞したのも今作が観たかった為…3作目の『骨』に出演したヴァンダという女性を捉えた作品…。


こんな映像体験は初めてです…レビュー泣かせの作品っ…兎に角圧倒されました…。


リスボンの捨てられた街…
その街が消えようとしている…
麻薬に溺れる捨てられた人達…
それでもこの街に生きている…



取り壊されつつあるスラム街の住居…そこに住むヴァンダ…彼女の部屋を中心に彼女と周りに住む人々の日常を捉えたドキュメンタリー…。

監督自ら2年間に渡って一緒に暮らす中で捉えた過酷にして絶望的な状況…《究極のデカダンス》です…。

ストーリーはありません…時間経過の感覚も無いのです…映し出されるものは…スラム街のジャンキー…それが3時間…。

ベッドひとつのヴァンダの部屋では、妹と昼も夜もクスリに勤しみます…アルミホイルを炙って化学物質を吸い込み、異常な程むせて咳き込み、挙句に嘔吐…その行為の繰り返し…たまに金欠でレタスを売りに出かけます…。

瓦礫とゴミと汚れ…その中で費やされる無為の時間…絶望的でどうしようもない場所にも拘らず…それでも彼らは自分たちなりに生きています…。


そしてその映像に圧倒されます…決して綺麗ではなく…美しい…!! 確実に言葉足らずですm(=_=)mス、スビバセン!!

バロック期の絵画のような、暗闇の中に浮かび上がる輪郭…闇の中のフェルメール…その映像に陶酔です…。

スラム街に差す美しい光とパンクな破壊の音響…。

圧倒されるのは…カメラが一切動きません…まさに画集を一頁ごと捲るような感覚…被写体がフレームから外れても、決して追いかけることはなく…空間の感覚をありのまま伝えます…フレームの外から聞こえる怒鳴り声や子供たちの笑い声に《生》を感じます…厳しい暮らしの中、みんなそこで生きてるんだなぁ〰︎。


そしてラストは唐突に…。

無音のエンドロールの中、色んな思いが駆け巡ります…。

とても圧倒されました…が、万人受けする作品では無いので…おススメは出来きないです꜆꜄꜆
mi

miの感想・評価

2.0
ここまでシャブをリアルにキメまくる作品は自分は初めて観た気がする。
FIXで構図がキメキメで、自然光(室内灯も含む)だけでここまで陰影がついて、綺麗なコントラストがつくのかどうか甚だ疑問に感じた。
カメラを据えているだけのはずなのに、フレームインして、カメラのセンターで対象者が行動するのもドキュメンタリーとしてはなかなかあり得ない。
これを本当にカメラを据えているだけなら、何カメで定点なのだろうかと思ってしまう。
よって、自分にはフィクションにしか観えなかった。
そして、フィクションだとすると(この場合ノンフィクションでも)相当退屈に感じた。
大いに咳き込んでゲロ吐いたりしても、それはシャブをキメてるのが原因で、貧困がどうとかいうより、自業自得の域を出ないものにしか感じなかった。
ワンビンの「三姉妹」のお姉ちゃんの咳のほうがリアルで苦しい。
何を伝えるための映像表現なのかも理解しがたい。

残念ながら、自分にはペドロコスタのよさがわからない結果となった。

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