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『S21 クメール・ルージュの虐殺者たち』に投稿された感想・評価

3.5
【カンボジアの記憶の場が世界遺産になったので】
先日、第47回世界遺産委員会でカンボジアの記憶の場が世界遺産に登録された。クメール・ルージュの虐殺の記憶を顕著な普遍的価値を有するものとして人類全体で保護していく目的がある。その構成遺産に、S21 (トゥール・スレン)が含まれていたので、ここを舞台にしたドキュメンタリーを観た。

S21へ足を運ぶ。そこには痛ましき過去が凝縮されており、虐殺被害者の写真や虐殺に関する文献がある。そして、当事者により再構築された絵もある。ありのままを捉える写真と記憶の外部化としての絵が交差する。現実/虚構、双方を繋ぐメディアとしてリティ・パンは加害者に当時のことを再現してもらう。牢屋に、犬用の皿のようなものを入り圧をかけながら与える。そこには加害者の声しかないのだが、我々は被害者の悲痛の叫びを感じ取ることができる。

本作の手法は『アクト・オブ・キリング』と同様の手法が取られているのだが、こちらは非常に露悪的な手法となっていたのに対し、『S21 クメール・ルージュの虐殺者たち』では繊細に過度な演出にならないよう再現を行う。そして目線を合わせないようなショットで加害者と被害者を同じ空間に捉え過去と向き合わせるのである。

さらに、廃墟というかつて人の活動があった場所に対し多層的なメディアを介することで今へと歴史を繋げようとする営みがここにあった。
虐殺の実行者たちが当時の様子を再現するという点で、『アクト・オブ・キリング』の元ネタと言われている。そしてこのドキュメンタリーの特徴は、彼らと生き残った者が対峙し、話し合いを行うという点にある。ぷはこれまで、虐殺の加害者が語る『日本鬼子』、『蟻の兵隊』、『アクト・オブ・キリング』、『SHOAH』や『沈黙を破る』などを観てきたが、虐殺とその正当化のプロセスは驚くほど共通している。

まず殺害や被害者をさす言葉の変異。今作ではtuerがdestructionと言い換えられていた。生存者である画家はそのことを「より倫理的であろうとするように思える」(Il semble rester un peu de morale)と言い、「動物に関しては殺すと言うのに、人間に対してそのように言われないことは、もはや埃同然として扱うことだ」と述べる。他にも拷問による死がèpuisement, maladeのように言い換えられており、それは死の責任を転嫁する呼称である。

そして殺害の正当化は、組織的には「サボタージュを行った捕虜とその家族や友人全てを殺すこと」であり、虐殺後には「彼らの将来の悪いカルマを取り除いた」というセレモニーが行われた。虐殺の実行者は、自身の行為を悪と認識していない。「自発的に殺害したのであれば悪だが、命じられて仕方なかった。従わなければ自分たちも殺されていた」「事故みたいなもので、自分たちも被害者だ」と述べる。それに対し画家は「あなたがたが犠牲者なら、殺された捕虜はどうなるのです」と質問する。すると実行者たちは「敵だと教わったから」「正しさを自分に信じ込ませた」と回答する。画家は「一歳にならない赤子も敵だったのか」と返す。シーンが変わってしばらく経った後に、実行者の当時の手記が読み上げられ、そこにはクメール・ルージュとして活動することの喜びが書いてある。彼らはもともとアメリカ支配にたいして祖国解放の希望を持った若者で、クメール・ルージュにたいする希望も持っていた。

「書類が決めたら虐殺を実行し、そこに人間性はない」という言動があったが、これは虐殺の本質だと思う。

拷問は捕虜からの返答、真実を手に入れるための目的である。そうでなければ死ぬに任せる。だからこそ、捕虜が自殺しないように身体検査を行い(隠し持ったペンで静脈を刺した捕虜などがいた)逃亡しないように飢えさせながら、自白のためにギリギリのところで生かしておいた。殺害の際には嘘をついて親子や家族を引きはがし、反乱を起こさせないようにし、効率的な方法で大量に殺害した。

異臭とそれに慣れることについての言及もあった。cf:『沈黙を破る』(知り合いは『関心領域』について臭いの言及がないことと無関心の関係を批判していた。)

この映画で印象に残ったのは以下のシーン。実行者が「あの時の自分を思うと恥ずかしい、法に違反していた。でもそれについては深く考えることができなくて頭が痛くなるんだ」〈加害者の解離?〉と言っていたことに対し、生存者が「ひとは、昔の話は忘れろと言うけれど、そんなことはできない。被害を受けた人間にとって苦しい記憶は忘れられないものなのだ」と述べ、「この機会によって、どうしてあんな目に遭わなければならなかったのかあなたたちの口から聞くことができた。しかしそれは罪を洗い流すことではない」と続ける。彼は指導者が誰も謝ろうとしないことについても述べていた。
ポルポト政権下の囚人と、大虐殺を行ったクメールルージュ側の人間の対談ドキュメンタリー


かなりしんどかったけど、なんとか100分間見終えた。

印象的なのが、終始一貫して自分の行った処刑について謝ったり反省することなく淡々と語る元クメールルージュの看守たちの姿。「こいつは俺が殺した。壊死していて臭かった」というように、ひたすら傍観者のように語る様子にずっと違和感を感じていたが、おそらく罪を認めた時点で彼らの自我が崩壊してしまうんだろうなと思った。人間らしい感情の一部にずっと蓋をして生きていかねばならない彼らもまた被害者なのかもしれないと言ったら陳腐だけど、囚人を扱う動作が20年後まで体に染み付き離れない様子を見ていると、駒の一部という言葉がしっくり来ると思った。


アクトオブキリングは傑作だったけど、この作品ももし看守側の心境に少しでも変化が見えたら、救いがあったなぁとか思う。

ハンナ・アレントの全体主義の起源を復習しよう。

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