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『天国はまだ遠く』に投稿された感想・評価

流離

流離の感想・評価

4.5
考え事はお腹をいっぱいにしてからにしよう

民宿たむらの朝ごはん、とってもおいしそうでした。白いご飯、焼き魚(ブリの塩焼きかな?)、大根の漬物、青菜のおひたし、お出汁の香りがしてきそうなお味噌汁・・・ぼりぼりと音を立てて漬物を食べる千鶴が羨ましかったな。『かもめ食堂』以来、おいしそうだな~と思った食卓でした。

説明不足と感じるところもたくさんあったり、余分だなと思う部分もあるのだけれど、自分と合った作品だったようです。自分の琴線に触れるものがありました。観にいってよかったと思います。日常から離れた映画館で観られてよかったな、と。
徳井さんのふとした「間」が面白いのかな、何度かくすくす笑いました。田村さんでした。ぶっきらぼうで温かい、何もしない優しさ、引き算の優しさを感じました。お隣に住むご夫婦とタクシーの運転手さん、よかったです。

帰り、都会から来た久秋(かな?携帯メールの画面でしか役名を確認できませんでした・・・ネタバレになりそうでいろいろ書けません!!)のように、各駅停車で帰りたくなりました。車だったのですが。あのシーンの郭智博君に、なんだか自分を重ね合わせてしまったな。なんてことないシーンだったのだけれど、郭君の微笑にキュンとしてしまいました。

渡辺俊幸さんの音楽、よかったです。ピアノと絶妙なストリングス、サントラがほしくなりました。あるかしら。『夜のピクニック』も音楽がいいなと思いましたが、「一人でこっそり泣きたいときに流していたいBGM・No.1」かなぁ。
民宿たむらに長逗留できそうもないけれど、白いご飯をいっぱい食べて、考え事はそれからにしよう。

もう一度観に行くかも、と思ったので、満足度アップ。エンドロール最後、いいですよ。

(余談)
結局、サントラ買いました。とてもよかったです。渡辺さんが渡辺宙明さんのご子息と知ったのは、今年6月、宙明さんのご逝去のニュースでした(宙明さんに合掌)。清塚信也さんのピアノも素敵でした。
はんな

はんなの感想・評価

3.3
そして、バトンは渡された
の瀬尾まいこさん繋がりで
今更の記録です

確か
軽トラで駅まで送って
余韻もなくあっさり引き返した
と記憶してるんだけど
そこが好きだった

だから
壁の穴を絵で隠して
もの思いにふけってるのが
逆に気に入らなかった

よく寝て
よく食べて
淡々と明日を生きる
それで良いじゃない?

と思わせてくれる作品
だったと思う

ってか
映画館で観たつもりだったけど
DVDを買ってたみたい 笑
どこにあるんだろ?
あの朝ごはんの食べっぷり、目の前でされたら多分ずっと見ちゃう
【きっかけと最初の印象】
You Tubeで美味しそうにご飯を食べる映像(物語の最初の方)を見て、この作品を観たくなった。もう何年も前だけど。ついに観た。
先に原作を読んでから観た。
DVDのケースの裏の宣伝文に「せつなくも温かい、大人の恋愛ファンタジー」とある。原作とはまるで違う話なのかと思いながら観た。ほぼ原作と同じだった。恋愛と言われれば、まぁ少し恋愛っぽいか。


【感想】
何か事件が起こるというわけでもないが、魅力的な世界観だった。
いっぱい寝たあとの朝食。もりもり食べるところが最高。
加藤ローサが可愛らしくて良かった。


以下、ネタバレありです。













【『めがね』『川っぺりムコリッタ』と比較】
人との関わりを避けるため、都会生活から逃げるため、人の少ない土地へやって来る。すると、人は少ないのに、だからこそ人との繋がりが強い。そこで出会う人によって見る景色や生活が変えられていく。
『めがね』との共通点は、人の少ない田舎まで会いに来てくれる人がいるということ。また、そこが自分の居場所ではないと強く自覚するところ。


【原作と比較】
原作は主人公の千鶴の心理描写が多い。また、瀬尾まいこさんの読みやすい文体などが魅力的だった。
実写化するとその心理描写がどうしても少なくて、物足りなさを感じた。では、心の声を吹き替えで流せば良かったかというと、それは鬱陶しいかも。
田村の自殺した恋人が映画では描かれるが、どうして亡くなったのかなど明らかにされない点があった。原作に無いものを描いたために、原作にあった細かい描写が減っていたのが残念。また、セリフがところどころ演技っぽさが強く出ていたのが気になった。
特に、最後の眼鏡橋の場面は原作とは全然違い、残念だった。「恋愛」要素を下手に入れようとしたところが残念。
神は細部に宿る(God is in the details)という言葉を強く感じた。

原作にない場面…田村の元恋人(眼鏡橋から飛び降りた?)。田村の元職場の上司が会いに来るところ。田村の時計が止まっているところ、その時計を時計店に持っていくところ。タクシー運転手と久秋がそばを食べるところそばを村のおばさんのところに持っていくところ。ピアノを弾くシーン。村のオジサンが元調律師でピアノを調律するところ。

原作にしかない場面…パン屋のおばさん。他。


【原作と比較(セリフ)】
「あのー、ここで待ってたらダメですか?」
「あんたが行きたい言うから起こしたんやで」
「でも」
「でも何?」
「やっぱり無理かなーって」
「どうせ釣りなんかしたくなかったんやろ?」
「そういうわけじゃないんですけど」
「俺、誘ったけど、行きたなかったらそう言ってくれたら良かったんや。断られても傷つかへんし。気も悪うせんし。適当に話し合わされたほうが迷惑なんやけど?俺かて初心者と舟乗るなんて面倒なことしたないし」
「だったら、あたしが行かなかったらお互い、あの、ほら、どっちにもいい感じ。」
「わかった。ほなぁ、握手」
「交渉成立、うぃー!!え?え?え?」(舟に乗せられる)
「はははははは」


【DVDのケースの裏の宣伝文】
出会うはずのなかった二人――ここに答えがあるような気がした。
加藤ローサ×徳井義実 [チュートリアル] 異色コンビ、映画初共演!
人気作家・瀬尾まいこ×長澤雅彦監督のコラボレーションによる、心温まる再生ストーリー。
仕事も恋もうまくいかないし、ひとりでがんばるのにも疲れた。OLの千鶴(加藤ローサ)は、都会生活から逃げるように、小さな町を訪れる。人生に迷う彼女をゆっくり休息させて、たっぷり栄養を与えるのは、山奥で静かに暮らす青年、田村(徳井義実[チュートリアル])。
出会うはずのなかった2人が出会い、互いの止めていた時計がゆっくりと動き出していく。寄り添っていたいのに、その気持ちを口にできないふたり・・・。せつなくも温かい、大人の恋愛ファンタジー。






以下、小説(原作)の感想


『天国はまだ遠く』
読んだ期間:2022.10.30-2022.11.1

○感想
美味しいご飯を食べる。生きる。
瀬尾まいこ作品を読むのは初めて。とても読みやすい。他の作品も読もうと思う。
死にに来た場所は温かい場所だった。居心地がいい。3週間過ごしたが、自分の居場所ではないと自覚するようになる。


○文庫本背表紙
仕事も人間関係もうまくいかず、毎日辛くて息が詰りそう。23歳の千鶴は、会社を辞めて死ぬつもりだった。辿り着いた山奥の民宿で、睡眠薬を飲むのだが、死に切れなかった。自殺を諦めた彼女は、民宿の田村さんの大雑把な優しさに癒されていく。大らかな村人や大自然に囲まれた充足した日々。だが、千鶴は気づいてしまう、自分の居場所がここにないことに。心にしみる清爽な旅立ちの物語。


○印象的なセリフ、場面

p.93~釣りに連れて行く。
「どうせ、あんた釣りなんてしたくもないし、海なんて行きたくないんやろ」
「いえ、別にそういうわけじゃないんですけど」
「行きたくないなら、そう言えばよかったのに。俺、あんたに断られたって、ちっとも傷つかへんし、気も悪くせえへんのに。あんたが海を嫌いでも、釣りに興味がなくてもなんもなんちゃない。そんなん適当に合わせる必要はないのになあ」
「そうですね。海も釣りも素敵だとは思うんですけど、実は私泳げないんです。だから舟で海に出るなんてとてもじゃないけど……。だったら、あの、今日は遠慮します」
「もう無理や」
「へ?」
「遅いわ。今となっては断るチャンスはないで。あんた行くと思って俺、準備してもうたもん。後になってはどうにもならんのさ。さあ、もう諦め」
〜〜〜
「あの、ここで見てたらだめですか?」
「俺かって、あんたを連れて行くより、一人で舟に乗る方がよっぽど気楽なんやで。そやけど、あんたが行きたいって言うから渋々なんや」
「じゃあ、私が行くの止めたら一石二鳥じゃないですか」
「ごちゃごちゃ言っとらんと、もうええから行くで」
「そう言ったって……」
「もうそんな泣かんといて。頼むわ。俺、あんたが来るっていうから、昨日の夜いろいろ考えててんで。どの辺に舟を出そうかとか、いつぐらいに海に出ようかとかさ」
「でも……」
「こんなん、何も怖いことあらへんって。ほら、漁船かって出とるやろ?」
「大丈夫やって。今だけ怖いだけで、絶対にあんた、海に出てよかったって思うて」
「本当ですか」
「ああ。ほんまや。舟に乗ったら、絶対後悔せえへんって」
「よし、出発」
〜〜〜
「どうせあんた死にたかったんやろう?落ちてもええやん」
「でも、おぼれて死ぬのは嫌なんです」
「最近の若い子は、ほんま勝手やな。痩せたいけどケーキは食べたいって言うんと一緒やで」

p.157~
歌っていると気持ちがいい。誰もいない山の中で、大声で歌うのはたまらない解放感だった。
なのに、私はだんだん寂しくなってきた。歌えば歌うほど、寂しくなった。声がどんどん深い夜に吸い込まれていく。それと一緒にみるみる寂しくなってしまった。
ここにはたくさんの星、たくさんの木、山に海に風がある。それに、隣には田村さんもいる。今、私はたくさんのすてきなものに囲まれている。
でも、寂しかった。すてきなものがいくらたくさんあっても、ここには自分の居場所がない。するべきことがここにはない。だから悲しかった。きっと私は自分のいるべき場所からうんと離れてしまったのだ。そう思うと、突然心細くなった。まだ、そんなことに気づかずにいたい。本当のことはわからずにいたい。だけど、私の元にも時が来ようとしていた。
酔いから抜けてしまわないように、私は必死で大きい声を張り上げて、吉幾三を歌った。だけど、そんなのはささやかな抵抗だ。酔いはいつか醒めてしまう。

p.165~
自分でも不思議だけど、一時間前、どうがんばってもだるかった身体が、今は弾んでいる。二十日前、死のうとしていた私は、今、子どもの頃のことを思い出して絵なんて描こうとしている。何十年かけても変わらないこともあるけど、きっかけさえあれば、気持ちも身体もいとも簡単に変化する。それにもっと敏感に対応していかないといけない。そう思った。

p.169~
やっぱり私の絵に関する才能は皆無だったのだ。
「いくらなんでもひどすぎる……」
私は一人でそうつぶやいて、また笑った。
そして、私が描いたとんでもなくへたくそな絵は、私に答えを教えてくれた。
私は自然を見ることはできても、それを描き出すことはできない。自然の中に入ることはできても、自然と共に暮らせる人間ではないのだ。
私はこの地が好きだ。朝露に湿った道を歩くのも、夕焼けにそまる枯れ枝を見上げるのも大好きだ。葉の匂い、風の音、きれいな水、きれいな空気。どれも捨てがたい。おいしい食事に、心地よい眠り。この生活にも身体が順応している。古い民宿だって、鶏たちだって気に入ってる。だけど、ここには私のするべきことはどこにもない。自然は私を受けいれてくれるし、たくさんのものを与えてくれる。でも、私はここで何をすればいいのかちっともわからない。
都会に戻ったからって、するべきことがあるわけじゃない。やりたいこともない。存在の意義なんて結局どこへ行ったって、わからないかもしれない。けれど、それに近付こうとしないといけない気はする。ここで暮らすのは、たぶん違う。ここには私の日常はない。ここにいてはだめなのだ。
私には、田村さんのようにこの地を守らないといけないという使命はない畑のおばあさんのように全てにとらわれず自分のルールで生きていく強さもない。パン屋のおばさんみたいにこの地に惚れ込んでしまえるようなまっすぐさもない。
ここから抜け出すのにはパワーがいる。だけど、気づいたのなら行かなくてはいけない。今行かないと、また決心が緩む。そして、私はやるべきことがないのを知りながら、ここでただ生きるだけに時間を使うことになってしまう。それは心地よいけど、だめだ。温かい所にいてはだめだ。私はまだ若い。この地で悟るのはまだ早い。私は私の日常をちゃんと作っていかなくちゃいけない。まだ、何かをしなくちゃいけない。もう休むのはおしまいだ。

p.182~文庫版あとがき
中学校教員として丹後地方で勤務した経験から生まれた作品。
永遠にここでくらすという実感はわかない。昔からの人ばかりの土地。自分がよそから来ている人間だという違和感。現実に丹後で生活しているのに、なんとなく夢の中にいるような部分。それがその地の魅力でもある。
『青空のゆくえ』と同じ、長澤雅彦監督作品。

千鶴は自殺する場所を求めて、夜行に乗り、見知らぬ田舎の駅で降りた。
タクシーの運転手さんが連れて行ってくれた宿は、客を採るのは3年ぶりの寂れた民宿。
そこで自殺に失敗した千鶴は、その宿にずるずる居つく事になるのだった…、
という癒し系の物語。

主人公は加藤ローサが演じていて、宿の若き主人、田村から、
「あんた、自分が思っているより図太い性格してんで」と言われる通り、
天真爛漫な千鶴役がピッタリだったのだが、
田村役は14年前のチュートリアルの徳井義実。
ハッキリ言ってイケメン。
この美男美女が二人っきりで一つ屋根で暮らしているのに、何も起こらないのでじれったい。

ちなみに私は、長澤雅彦監督作品は『ココニイルコト』が一番好きで、
『ココニイルコト』でほんわか癒し系男子を演じていたのが、まだ有名になる直前の堺雅人さんだったのですが、
やはりこの田村役を演じるのは、顔だけではなく、この雰囲気が出せる俳優でないといけなかったのかもしれません。
最近だと、中村倫也かな(でも、この作品も9年前の作品なので、タイミングが合わないけれど)。
quino

quinoの感想・評価

-
原作、めちゃくちゃ大好きなんだけど映画化してたのか‥!!!!
徳井さん演じる田村さん予想以上に良かった

また本読みたいな。
とても素晴らしい映画でした。田舎の風景、鶏や魚などの命を頂いた食、ピアノの音、夜空に輝く星など日本の自然の素晴らしさを存分に感じられる内容で、まさに「生きてる」ってこういうことを言うんだなと思います。京都の宮津市という場所が舞台なんですね。一度訪れてみたいです。
RiRi

RiRiの感想・評価

3.8
原作が大好きで見た映画。

田村さんのそっと寄り添う感じがとてもよくて、映画版もとても良いなと感じた。
目新しいことは何もないけど、行間が美しい。

予告編
https://www.youtube.com/watch?v=nh8X2Y4ShL8
m

mの感想・評価

3.5
仕事も恋愛も上手くいかなくて、京都の田舎へ人生を終わらせるためにやって来た主人公のお話。たむらさんが民宿で作るご飯が本当に美味しそう。健康的な食事、森や海などの綺麗な風景、優しい人の気遣いなど…人生に疲れた時はこれだけのことが、涙が出るほど沁みる時がある。瀬尾まいこさんのお話は、優しくて温かくてすきです。
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