幸運の星の作品情報・感想・評価

「幸運の星」に投稿された感想・評価

mfvlt

mfvltの感想・評価

4.0
『第七天国』のあの7階の部屋は窓がずっとあいていた。『幸運の星』ではジャネット・ゲイナーが石を投げたことでガラスが割れて窓がずっとあいている。爽やか。割れた窓ごしの切り返し、美しさに固唾を飲んで見守る。玄関の外と中をつらぬくようにテーブルを持ってきて、ジャネット・ゲイナーは外、チャールズ・ファレルは中で食事をする。玄関のドアからは巨大な馬車が覗いている。理由もなくふるえる。
素敵。「君はブロンドだったのか!」のくだりと雪降って以降は最高
なんかもう嬉しすぎて本当に映画観てて良かったと思った。
カメラに映る全てが美しい。ラストで舞う雪は奇跡の域。
ティムからメアリーにプレゼントしたレコードはティムに星の如く光を与え、回る。
車椅子で家の中を動き回ることしかできなかったティムが松葉杖を手に外に足を踏み出した瞬間「クララが立った!」どころの騒ぎではない感動で拍手したくなった。
車椅子により見上げることしかできない作られた高低差を破壊するための少女へ椅子を渡す行為と最後の最後に立ち上がる立派な足。
この映画の全てを独占したい。
終盤の雪中のロングショットから鳥肌。着替え汚れを落とすたびジャネットゲイナーは脱皮していく。あの小柄な姿は忘れがたい。
けんた

けんたの感想・評価

5.0
オールタイムベストの『サンライズ』と並ぶレベルの作品に出会った

電気工事士として働き、電柱の上からジャネットゲイナーを見下ろしていたチャールズファレルが、戦後は車椅子生活となり、彼女を見上げる生活に。

明暗を上手く使った映像も見事で、サイレント特有の“口で語らず仕草で見せる”恋心の清純さに心洗われる。

そしてサークの『ぼくの彼女はどこ?』のラストシーンを越す、映画史上最も美しい雪の中での幕切れに鳥肌。
 心のベストテン第1位をなぜマークしていなかったのだろう……。
秋日和

秋日和の感想・評価

5.0
チャールズ・ファレルからジャネット・ゲイナーへプレゼントされたレコードが暗闇の中できらりと光った瞬間、画面上に星が現れた、と思った 。二つの意味に於いて汚れた手をサッと隠す彼女。その悪いクセさえをも洗い落とすかのように、チャールズ・ファレルは彼女の手を取り、開かせ、そして綺麗に水で汚れを流してあげてみせる。車椅子の為にダンスをすることができない二人にとって、そのときに挿入される手と手を取り合うショットは、まるで男女が踊る前にする行為をささやかに模倣しているみたいだった。
電信柱を始めとして、濃やかな高低差演出が施されている本作だけれど、何よりも胸に突き刺さったのは、出逢ったときの上下関係が再会したときに反転していると知った瞬間だったりする。それは物理的な位置関係(所謂見上げる/見下ろす、というやつ)もそうだし、精神的なものでもある。例えば、出逢ったときのように、チャールズ・ファレルは彼女のお尻にお仕置きを与えられないだろう。そもそもジャネット・ゲイナーはとても小柄な女優で、それは彼女を狙うもう一人の男とダンスをするときに、「同じ目線で見つめあえる」ようにと言わんばかりにその身体を持ち上げられたことからも明らかだ。もしも、そんな小さな彼女とチャールズ・ファレルとが「同じ目線」にいようとするならばお互い椅子に座らなければならない。そうしないと、彼女は彼を見下ろしてしまうからだ。
この映画の終盤に登場するとあるショットが強烈な印象を与えるのは、そういった事情が観る者の頭を過るからじゃないかな。こんなにも美しく実を結ぶ高低差演出を初めて観たし、全ての画面が集約されたかのような瞬間を目撃した気さえする。お節介を炸裂させちゃうチャールズ・ファレル。大好きな彼女を輝かせる為に施した取って置きのリボン、そして卵シャンプー。本当に幸福な100分弱だった。一年に一度のオールタイムベスト。
電柱の上からジャネット・ゲイナーを見下ろしていたチャールズ・ファレルが戦後は車椅子となり、彼女を見上げることになる。当然作品は映画史上最も美しい雪の中で、同じ目線の二人により幕を閉じる。
第1次大戦の負傷で下半身不随になった元電気技師の男ティム(チャールズ・ファレル)と貧しい農場の娘メエリー(ジャネット・ゲイナー)の恋愛メロドラマ。盗み癖のある小汚い娘だったジャネット・ゲイナーが、みるみるうちに愛らしく変貌していくさまを見ているだけで幸せな気持ちに。卵シャンプーで洗ってふわふわに輝く彼女の髪の毛を見たティムの感嘆を表す、「君はブロンドだったのか!」という字幕に悶絶した。

2人の仲が深まる場面での割れた窓を介した美しい切り返しショットの直後、ティムからもらった小さなレコード・プレイヤーを大事そうに抱えて家路に着くメエリーをとらえたロングショットで、レコード・プレイヤーが一瞬キラッと光ってフェード・アウトするくだりなど、計算しつくされた光の演出が素晴らしい。

ティムが二本の足で何とか歩いてみようと、車椅子から這い降りつつ松葉杖をつかんで立とうとするも、努力の甲斐なく床にくずおれるまでをローポジションでとらえた、当時(1929年)としては破格の2分半以上の長回し1ショットは、チャールズ・ファレルの迫真の演技含めあまりに凄絶で。塩田明彦監督『抱きしめたい~真実の物語』で、北川景子さんがみせる歩行訓練のシーンは本作を参照したのでは、と見ながら思ったりしました。
神

神の感想・評価

4.0
素敵な素敵なサイレント映画。ジャネット・ゲイナーが美しくなっていく過程もまた素晴らしい。