街の天使の作品情報・感想・評価

「街の天使」に投稿された感想・評価

2014/12/27 ~ 2015/01/30 映画史上の名作12
数年前にヴェーラで見た。
サイレントなのもあって前半かなりウトウトしたのだが、
チャールズ・ファレルがジャネット・ゲイナーを殺そうと追ってから、教会の絵にたどり着いて正気に戻るまでのシークエンスが、とんでもなく素晴らしくて号泣した。
 前回見たときも何かが引っかかって、『第七天国』や『幸運の星』ほど感動しなかったのだが、今回あらためて見て思ったのは、チャールズ・ファレルがジャネット・ゲイナーを「許す」というのに、どうも違和感をおぼえるのである。中盤で彼が街娼に対しての無理解を示すシーンがあるけれど、当然その無理解が解消されるのだと思っていると、そうならずに終わってしまう。キリスト教の知識があればまた違う感想になるのかもしれない。

 画面・演出のすばらしさは他2作にまったくひけをとらない。特に今回際立つのは音の演出で、まあサイレントだから実際には音は出てないわけだが(当時はサウンドトラックが用意されていて、ほんとに鳴ったらしい)、見ているともうあの口笛が、あのドアノッカーが、頭の中で鳴り響く。ナポリのセット、特にチャールズ・ファレルがうなだれて歩くシーンは、『サンライズ』からの影響を感じる(『第七天国』を撮っているときに別のスタジオで撮影していたらしい)。

 霧のシーンは後に何かの映画でまったく同じ感じで模倣されていた気がする。プレ・コード期の映画だと思ったが。
秋日和

秋日和の感想・評価

5.0
とっておきのドラムは破れる為にあるし、破れたドラムはジャネット・ゲイナーを隠す為にある。帽子を斜めに被るのか被らないのかは人それぞれで、はたまた肩に羽織らせたストールを敢えてはだけさせるのかどうかも個人の好きなようにすればいいと思う。
『幸運の星』で素晴らしかった男女の配置はこの映画でも顕著だった。出逢ったときに二人がどのような位置関係で、時が経つにつれてどのような変化を遂げていくのかを見ていくだけで楽しい。ジャネット・ゲイナーがチャールズ・ファレルに階段を下りさせない為に何をしたのか、彼女はどうして高い位置にいられなくなってしまったのか……ボーゼージは抜け目ない。それらの場面に繋がっていく、「幸福な涙を拭いて部屋を出た彼女が悲しみの涙を拭いて部屋に戻ってくる」シーンだって素晴らしい。同じ仕草をしたって時と場合によって全然違う意味合いを持つよね、と囁かれているみたいだった。例えば、恥ずかしがっている顔を彼に見られたくないが為にギュッと顔を押し付けた彼女が、今度は悲しい顔を見られたくないが為に彼に抱きついてしまった、なんてこともそうだと思う。
霧の中で灯されるマッチの火、不穏さを告げるいくつもの影。光と、その対極に存在するものを画面上に浮かび上がらせるボーゼージのメロドラマ。街の天使は、見上げたらそこにいるんだぜ。