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「粘土のお面」より かあちゃんのgenarowlandsのレビュー・感想・評価

3.8
大晦日に観たかった伊藤雄之助主演、大晦日から始まる長屋のネオレアリズモ落語風。

この一文そのままの極貧なのにブリキ職人のお父ちゃんは呑気でお母ちゃんは口は悪いが暖かくたくましく、二人の会話は掛け合い漫才で、子ども二人は純心で、暮れに借金してはしのぎ、商売道具の自転車は盗まれ、まるで『自転車泥棒』なのに、お父ちゃんはやけのやんぱちでただ飲んだくれるだけ。伊藤雄之助が好きなので、こう情けなくても仕方ないなあと許せちゃう雰囲気がお母ちゃんをどんどんたくましく賢くさせていく。

1949年設定の1961年公開で昭和の貧困の凄まじさは今まででいちばんだった。それなのに明るい。お母ちゃんは次々と知恵を使ってサバイバルするし、愛するお父ちゃんをなんとか仕事に向かわせる。

長女役は二木てるみ。歌がうまくて学校の先生が教えてくれたフランスの国歌をフランス語で歌う。主題歌がラ・マルセイエーズなのがよかった。人生を闘う人への応援歌なんだろう。

昭和魂が詰まってた。
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