テイク・ディス・ワルツの作品情報・感想・評価

「テイク・ディス・ワルツ」に投稿された感想・評価

堊

堊の感想・評価

5.0
正午に起こったマグニチュード5.0の地震を伝えるニュースを見る二人、ニュースキャスターは喋る「今日、もっとも交わされた言葉は揺れたね、だったかと思われます」。ニュースなど見ていないかのように暗闇で夕食を黙って口に運び続けるふたり。冒頭、なんてこともないかのように挿入されたこの異様なシークエンスは一見してセス・ローゲン出演から想起されるジャド・アパトー作品やビル・マーレイ出演ラブコメディのイメージから本作を遥か彼方へ遠ざける。
この作品は揺れている。たとえば本来ならもっとも安定するはずのふたりが机で向かい合うfixショットはすべて微妙に揺れている。揺らされている。むしろわずか一瞬の「すごい速さで回るトロント島のローラーコースター」に備え付けられたカメラのほう方がよほど安定している。そして彼らは揺れていることを自覚している。もちろんわざわざ指摘するまでもなく本作の主人公は男との関係性で揺れ続ける。しかしそれが夫ルー(セス・ローゲン)と、旅先で偶然出逢ったダニエル(ルーク・カービー)との間のことだけでないことは本作を決定的に居心地の悪いものにし続ける「揺れ」を120分感じたならば誰しもが実感するだろう。飛行機の僅かな待ち時間すら待つこと出来ず障害者のふりをしてチェックインし、パーティーでは常に居心地が悪そうにし、二人っきりの会話では常にどこかへ意識が散漫になる、そうした彼女をダニエルは「君はいつも上の空だ。ここじゃないどこかにいるみたいだ」と真正面から指摘するが、その言葉すら彼女にとっては自分の言葉を吐き出すためのトリガーとして利用されるだけである。そして彼女も彼女で「何一つ書ききったこともなく、何一つ成し遂げてな」く、「雨粒を観て泣きたくなってもでも大人だから我慢するしかない」と語る。もちろん彼女の言葉は誰にも届かない。監督のサラ・ポーリーは主人公をこうした昨今のマンブルコア作品でありがちなような大人になりきれないアダルトチルドレンというよりも、もはやADHD患者そのものとして主人公を造形する。そして観客に同情させるような安易な演出はしない。監督は主人公が浴びせられ続けた冷水のように徹底して冷徹である。向かい合った彼らは空々しい会話しか許されず、僅かな会話すら制限があるかのように黙って見つめ合おうとするが、視線を交わすことすらも禁じられているかのように互いに明後日の方向を向き続ける。ただ泣き、笑うことはそれに反することではない。だから突然涙が止まらなくなったり、笑いが止まらなくなる。まちがっても本作はコメディではない。笑える箇所があるとすればそれはセス・ローゲンのシェフ姿が異様に似合っていることぐらいであろう。また、たとえば夜のプールで主人公がダニエルとふたりっきりで泳ぐことになったとしても、ドリュー・バリモアが『ローラーガールズ・ダイアリー』でさせたような夢幻的な水中での性行為に及ぶこともない。彼女は黙々と作品内に全体を彩るカラフルな色彩と反するような陰鬱な細部(アルコール依存症、年老いて垂れた乳房、あっけらかんとした全裸と排尿etc…)を配置し続ける。主人公のマーゴにはこうした諸々が決して見えていないわけではない。それどころか誰かが眠ると彼女は寝顔を見つめ続ける。しかしそれ以外の諸々は見ない。彼女は最終的に男の顔さえも見なくなることが冒頭と対になった終盤のキッチンでのカメラの被写界深度によって暗示される。
「見ない」ことで安定を手にした主人公はひとり、ローラーコースターに乗り、目を閉じ「揺れ」の快楽に身を委ねる。しかし彼女は最後の最後に目を開け、陰鬱な表情を一瞬だけ浮かべる。超絶インテリのサラ・ポーリーが監督したのは決してオリーブ少女へ捧げられたガーリームービーではなく、恋のきらめきと別れの陰鬱さ、大胆さと繊細さをショットごとに入り交ぜた只ならぬ作品である。「君の眼の中に入りつつ、あなたの眼の中にもはいっているもの。わたしにも見え、あなたにも見え、しかしそれが何かを指し示すことのできないもの」と言いながらベッドで互いの口の中を凝視してじゃれあう二人、You were the first oneでYou were the last oneと歌う歌詞、本作を彩る細部に入れ子のかたちで全体を凝縮させたサラ・ポーリーの手腕は恐ろしいとしか言いようがない。そして彼女は本作の後、手慣れた手つきで個人史を提造し、虚実入り交じる『物語る私たち』を撮る。
映像も音楽もすごく好みだった。すごくセンスの良いお洒落な画が多かった。

ほしいものをやっと手に入れて最初はすごく楽しい…けど、時間が経てばまた何か満たされないっていう感じのあの表現がなんとも言えずよかった。

それと、「気の長い冗談だよ…」っていうセス・ローゲンが切なくてめちゃくちゃ良かった。

ラジオ・スターの悲劇が流れるシーンはどれも印象的だったな。
私はリキシャよりチキン派🐓
あんな毎日チキン料理作ってくれる夫最強だ。なにが気にくわないってんだ。
akari

akariの感想・評価

4.2

このレビューはネタバレを含みます


少し前にレンタルで観て『これは買わねば!』と思い、一昨日DVDを購入したら久しぶりに感想が書きたくなったよ〜〜。

ミシェルウィリアムズ。ブルーバレンタインをきっかけに彼女の魅力に首ったけです。ハイブランドの広告に映える美しい容姿を持つ女性なのに、映画では生活に疲れた普通の主婦の役もばっちりハマって。美しいんだけど、どこにでもいそうな人に見えるのがすごい。そしてあの色気は何なのか。特別にセクシーな身体つきというわけでなく、髪の毛も今作ではショートカット。でもあの、どこか放っておけないような、醸し出される陰のある感じの色気...。私が男なら絶対惚れてしまう(そしてメロメロになった挙句ルーのように捨てられることでしょう)

色んな見方があると思うけど、ダニエルが現れなくてもルーとマーゴは遅かれ早かれ別れていたと思うなあ。だって旦那さんと記念日の食事中、会話したいのに『話すことがない』『僕らは毎日一緒に暮らしてるんだから話さなくても君のことは全て知ってる』なんて言われたら、心は冷めていくばかりですよ...。

『人生なんてどこか物足りないものよ』
確かにそう。欲望は尽きない。欲しいものが手に入ればまた新しいものが欲しくなる。でも、愛だけは別だよ。自分が真に求めてる愛が手に入ったとき、物足りなさなんて感じない。満たされたと感じるから、それが本物の愛だと分かるんでしょう?
だからマーゴは、ルーと別れ、ついにはダニエルとも同じ道を辿ることになると思うけど、それは別に間違いでもなんでもない。次こそは本当に自分が求める愛が見つかるかもしれないもの。

初めと終わり、カップケーキを焼くマーゴの足。ブルーの爪が印象的だった。私も爪を青く塗るとしましょう。


P.S. ブルーバレンタインのシンディとテイクディスワルツのマーゴ。多少髪型が違うとはいえ、かなり似たような設定(結婚して数年後の人妻)なのに全く違う女性に見えるのはミシェルウィリアムズの演技力の賜物だよね。すごい。
MOON

MOONの感想・評価

3.4
主人公はいつもふわふわ、ふらふらしてて何しても満たされてなくて、でも満たされたいと思ってるから厄介で。つねに誰かに求められたいなら、犬5匹と猫3匹飼えばいいんじゃない?
気の長い冗談
結婚ってなんだ、と思ってたけど
なるほど〜
もも

ももの感想・評価

3.7
見終わった今、じわじわじわ、胸がきゅーっと切ないような、寂しいような、そんな気持ち。

遊園地?の乗り物クルクルに二人で乗るシーン!なんだか久々に恋愛シーンでドキドキしたー!!きゃー!!

マーゴは何が得たかったのかな。
分かり合える心地よさと倦怠期は紙一重?

人生はどこか物足りなくて当然
名言!👏
yumi

yumiの感想・評価

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このレビューはネタバレを含みます

マーゴのお姉さんのセリフは教訓だな。
ほんとあの一言に全てが詰まってるな!

いい勉強になりました。🙏
ぐら

ぐらの感想・評価

4.0
人生でいつも手に入れたいものがあるけど、手に入れても幸せになるというわけではない…と観て思いました。
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